足首が上がらない・つまずく。腓骨神経麻痺(下垂足)を腰のせいにしない

「足が上がらない」を腰だけで片付けない

足首や足の指が上がらない、歩くとつまずく、足の甲のしびれ。こうした「下垂足(かすいそく)」は腰椎(L5神経根)の問題と思われがちですが、ひざ下の外側=腓骨頭(ひこつとう)で腓骨神経が圧迫されて起こることがあります。腰か、ひざ下か。出どころを分けて確認します。

この記事について

足首が上がらない「下垂足」を起こす腓骨神経麻痺について、症状の出かた、腰椎(L5神経根)由来との見分け、原因になりやすい姿勢や場面、医療機関へつなぐ判断を整理します。

伊藤聡史伊藤聡史

下垂足を見ると腰椎のL5神経根を考えますが、ひざ下の腓骨頭での圧迫でも同じように足が上がらなくなります。足を組む癖や長いしゃがみ姿勢のあとに片足だけ、というときは、腓骨頭での圧迫を疑います。

結論:足首が上がらない下垂足では、片側性か、腓骨頭の圧痛やチネル徴候、足の甲のしびれの範囲、股関節を横に開く力(中殿筋)を確認します。腰椎のL5神経根か、ひざ下の腓骨神経麻痺かを分け、進行する筋力低下や両側性があれば医療機関での確認を優先します。

「足が上がらない」下垂足は腰だけが原因ではない

下垂足とは、足首や足の指を上に反らせなくなる状態です。歩くとつま先が引っかかる、階段や段差でつまずく、足を高く上げて歩く、といった形で気づかれます。腰椎のL5神経根の障害でも起こりますが、ひざのすぐ下の外側にある腓骨頭で腓骨神経(総腓骨神経)が圧迫されても、同じように足が上がらなくなります。「足が上がらない=腰」と決めつけると、ひざ下の圧迫を見落とします。

腰から足へ広がる神経症状の切り分けはL4・L5・S1で切り分ける神経根評価を、しびれの範囲の見方はデルマトームと末梢神経分布の見方を参考にしてください。

腓骨神経麻痺で確認したいサイン

ひざ下での圧迫を疑うときに確認したいサインです。

  • 足首を上に反らす力の低下:足首や足の指が上がらず、足の甲を持ち上げられない。
  • 足の甲から下腿の外側のしびれ:腓骨神経の支配域に沿って現れる。
  • 腓骨頭のチネル徴候・圧痛:ひざの外側のすぐ下を軽く叩くと、足の甲へ響く。
  • 片側性:多くは片足だけに起こる。

足首を反らす力の確認は下肢の筋力テスト、末梢神経のチネル徴候の見方は末梢神経障害とチネル徴候もあわせてご覧ください。

腰椎(L5神経根)との見分けの入口

下垂足が腰椎のL5神経根由来か、ひざ下の腓骨神経麻痺かを分ける手がかりです。

  • 腰痛・殿部痛:L5神経根では伴いやすい/腓骨神経麻痺では伴わないことが多い。
  • 股関節を横に開く力(中殿筋):L5では弱くなりうる/腓骨神経麻痺では保たれる(中殿筋は腓骨神経の支配ではないため)。
  • 再現する場所:L5は腰の動きや脚を上げる検査で誘発/腓骨神経麻痺は腓骨頭の圧迫で再現。

足首を反らす力は両方で弱りますが、股関節を横に開く力(中殿筋)が保たれていれば腓骨神経麻痺寄り、弱ければL5神経根寄り、というのが分けるポイントです。一つの所見で決めず、複数を合わせて見ます。

原因になりやすい姿勢・場面

腓骨頭はひざ下の浅いところを神経が通るため、外からの圧迫を受けやすい場所です。

  • 脚を組む癖、長時間のしゃがみ姿勢や正座
  • きついブーツ・ギプス・サポーターによる圧迫
  • 急な体重の減少(クッションになる組織が減る)
  • 手術後など、寝ている間の長時間の圧迫

こうした圧迫が原因の場合、避けるだけで軽くなることもあります。逆に、思い当たる圧迫がないのに進む下垂足は、別の原因を考えます。

整骨院での立ち位置(疑ったら受診へつなぐ)

整骨院でできるのは、圧迫を避ける生活の見直しや足首まわりの運動、出どころの見極めと連携です。進行する筋力低下、両側に起きるもの、思い当たる圧迫がないのに急に出たもの、足以外にも神経症状が広がるものは、施術の可否を考える前に医療機関(整形外科・神経内科)での確認(神経伝導検査・画像など)を優先します。確定診断や装具・手術の判断は医療機関の領域です。

足首が上がらない、つまずく、足の甲がしびれるといった症状が続くときは、自己判断せず、早めに医療機関へご相談ください。

伊藤聡史伊藤聡史

下垂足は「腰のせい」で止まりがちですが、ひざ下の圧迫のことも多いんです。片足だけで、腰痛がなく、股関節を横に開く力が保たれている。そんなときは腓骨頭を一度確認してください。原因の場所が分かれば、まず避けるべき姿勢が見えてきます。

伊藤聡史
株式会社とんとん/とんとん整骨院。臨床技術責任者。柔道整復師。

臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」講師。院内では臨床研修責任者として若手の技術指導を担い、論文抄読会の主催など、根拠に基づく施術(EBM)の浸透に取り組んでいる。

監修:瀬谷崎将也
とんとん整骨院代表・柔道整復師

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