しびれているのに感覚は落ちていない?訴えと知覚検査のズレ
施術・検査ガイド
しびれの訴えと、触覚低下は同じではない
患者さんが「しびれる」と言っていても、知覚検査で明らかな感覚低下が出るとは限りません。しびれの訴え、感覚鈍麻、感覚消失、左右差、範囲を分けて確認することで、神経症状の読み間違いを減らせます。
この記事は、とんとん整骨院の研修担当 伊藤が、しびれと知覚検査の見方をまとめた解説です。患者さんの訴えるしびれと、実際に触覚・痛覚などが低下している範囲を分けて確認する意味、左右差の取り方、検査時の聞き方を扱います。
結論:しびれの評価では、自覚症状としてのしびれと、検査で確認する感覚低下を分けます。範囲、左右差、感覚の種類、他の神経学的所見を合わせて読みます。
患者さんの「しびれ」という言葉には、いくつかの意味が含まれます。ビリビリする、ジンジンする、触ると鈍い、膜がある感じ、感覚がない、痛いようなしびれがある。こうした表現が、すべて一つの言葉で語られることがあります。
そのため、しびれの評価では、自覚症状としてのしびれと、実際に検査で確認する感覚低下を分けて扱います。ここが混ざると、「しびれているのに検査では正常」「感覚が落ちているのに本人はしびれと言わない」といったズレを読み損ねます。
まず本人の言う「しびれ」を分解する
最初に確認したいのは、患者さんが何を「しびれ」と呼んでいるかです。電気が走るような感覚なのか、感覚が鈍いのか、痛みを伴うのか、力が入りにくいことをしびれと表現しているのかで、評価の方向が変わります。
問診では、言葉を言い換えながら確認します。「ビリビリですか」「触った感じが鈍いですか」「熱さや冷たさは分かりますか」「力が入りにくい感じもありますか」と具体的に聞くと、症状の輪郭が見えやすくなります。
しびれという言葉だけで進めず、感覚の質を聞き分けます。異常感覚なのか、感覚低下なのか、痛みなのか、脱力なのかを分けることが入口です。
知覚検査では感覚低下を確認する
知覚検査では、触覚、痛覚、温度覚、振動覚、位置覚などを確認します。整骨院の現場では、まず触った感じが左右で違うか、鈍く感じる場所があるか、範囲が神経分布と合うかを見ます。
大切なのは、検査者が「しびれていますか」と聞くだけで終わらせないことです。「左右で同じですか」「どちらが鈍いですか」「この場所とこの場所で違いますか」と、比較できる形で聞きます。
※表は横にスクロールできます
| 触覚 | 軽く触った感覚が左右で同じか、鈍い場所がないかを確認します。訴えの範囲と一致するかを見ます。 |
|---|---|
| 痛覚 | 鋭い刺激や痛みの感じ方に左右差があるかを見ます。安全に配慮し、強い刺激は避けます。 |
| 温度覚 | 熱い・冷たいの感じ方が左右で違うかを確認します。痛覚と合わせて脊髄視床路の関与を考える材料になります。 |
| 深部感覚 | 位置覚や振動覚の変化を見ます。閉眼時のふらつきや歩行の不安定さとも合わせます。 |
範囲は本人の訴えと検査結果を分けて残す
しびれの範囲と、感覚低下の範囲は一致することもありますが、ズレることもあります。本人は手全体がしびれると言っていても、触覚低下は一部の指だけに出ることがあります。反対に、本人の訴えは軽くても、検査では明らかな左右差が出ることもあります。
そのため、記録では「本人がしびれを訴える範囲」と「検査で感覚低下が確認できる範囲」を分けると、経過を追いやすくなります。
自覚的なしびれの範囲と、検査で確認した感覚低下の範囲を分けて残すと、次回来院時の変化や医療機関への情報提供がしやすくなります。
左右差と近位・遠位差を見る
知覚検査では、左右差を見ることが基本になります。片側だけ明らかに鈍いのか、両側に出ているのか、末端ほど強いのか、近位にも広がるのかを確認します。
左右差がある場合は、神経根や末梢神経の分布に近いかを見ます。両側性で末端から出ている場合は、多発性ニューロパチーなど全身性の背景も考えます。
- 左右で触った感じが同じか
- 指先や足先など末端ほど鈍いか
- 神経根や末梢神経の分布に近いか
- 本人のしびれの範囲と検査結果が一致するか
- 筋力低下や反射変化も同じ側に出ているか
- 前回より範囲が広がっていないか
検査の聞き方で結果は変わる
知覚検査は、検査者の聞き方で結果がぶれやすい検査です。「分かりますか」だけだと、患者さんは何を答えればよいか迷うことがあります。
左右で比べる、近くの正常そうな場所と比べる、目を閉じてもらう、同じ強さで触る。こうした条件をそろえることで、感覚低下の有無を読みやすくします。
※表は横にスクロールできます
| 聞き方 | 「左右で同じですか」「どちらが鈍いですか」「ここよりこっちはどうですか」と比較で聞きます。 |
|---|---|
| 触り方 | 同じ強さ、同じリズムで触ります。強く押しすぎると痛みや圧覚の検査に近くなります。 |
| 目線 | 見ながら答えている場合は、視覚情報で補正されることがあります。必要に応じて閉眼で確認します。 |
感覚低下が広がる時は慎重に扱う
感覚低下が急に広がっている、左右差が強い、脱力や歩行障害を伴う、サドル部の感覚異常や排尿・排便の変化がある場合は、施術で様子を見る前に医療機関での評価を考えます。
知覚検査は、危険サインを拾う入口にもなります。単に「しびれがあるかどうか」ではなく、範囲がどう変化しているかを追うことが大切です。
急な感覚低下、片側の脱力、歩行障害、顔面症状、サドル部の感覚異常、排尿・排便の変化がある場合は、医療機関での評価を優先します。
しびれと感覚低下で分けたい項目
- ビリビリ、ジンジンなど異常感覚なのか
- 触った感じが鈍い感覚低下なのか
- 感覚が分からない感覚消失なのか
- 痛みや灼熱感を伴うのか
- 筋力低下や反射変化を伴うのか
- 自覚症状と検査結果の範囲が一致するのか
しびれの言葉と、検査所見を分けて読む
しびれの評価では、患者さんの言葉と検査所見を分けて扱うことが大切です。しびれていると訴えていても、触覚や痛覚の低下がはっきりしないことがあります。逆に、本人の訴えが軽くても、検査で明らかな左右差が出ることもあります。
自覚的なしびれの範囲、検査で確認した感覚低下の範囲、左右差、近位・遠位差、筋力や反射との一致を合わせることで、神経症状の読み間違いを減らしやすくなります。
とんとん整骨院では、しびれという言葉だけで判断せず、感覚の質と範囲を分けて確認し、必要に応じて医療機関での評価につなげています。













