その腕のしびれ、首のせい?頚椎症性神経根症の基本

首・肩甲骨まわりの痛みが先に出る時

頚椎症性神経根症では、首の痛みだけでなく、肩甲骨まわり、肩、腕、手指へ症状が広がることがあります。しびれの場所だけでなく、首の動きで変わるか、筋力や反射に変化があるかを合わせて確認します。

この記事について

この記事は、とんとん整骨院の研修担当 伊藤が、頚椎症性神経根症の基本的な見方をまとめた解説です。首から肩甲骨まわり、腕、手指へ広がる痛みやしびれ、神経根症状の特徴、評価で確認したい問診・知覚・筋力・反射のポイントを扱います。

伊藤聡史
伊藤聡史

頚椎症性神経根症は、首だけを見ると拾いにくいことがあります。肩甲骨まわりの痛みや腕のしびれまで、症状のつながりを確認します。

結論:頚椎症性神経根症では、首の動きで変わる上肢症状と、知覚・筋力・反射の神経学的所見を合わせて見ます。肩や腕だけの問題として決めつけないことが大切です。

頚椎症性神経根症は、頚椎まわりの変性や椎間孔の狭さなどにより、神経根が刺激されて首から上肢へ痛みやしびれが出る状態として整理されます。首の痛みよりも、肩甲骨まわりの痛み、腕のだるさ、手指のしびれが前面に出ることもあります。

そのため、患者さんが「肩が痛い」「腕がしびれる」と訴えていても、肩関節や肘・手首だけで判断しないことが大切です。首の動きで症状が変わるか、神経根に対応する感覚・筋力・反射の変化があるかを見ます。

頚椎症性神経根症とは

頚椎症性神経根症は、首の神経根が刺激されることで、首、肩甲骨まわり、肩、腕、手指に痛みやしびれが出る状態です。症状は片側に出ることが多く、首の姿勢や動きで変化することがあります。

神経根は、脊髄から枝分かれして腕へ向かう神経の入口にあたります。この部分が圧迫や炎症の影響を受けると、神経の支配領域に沿って症状が出ることがあります。

腕や手のしびれでも、入口は首にあることがあります。症状がどこに出るかだけでなく、首の動きで変わるかを確認します。

肩甲骨まわりから始まることがある

頚椎症性神経根症では、首の痛みだけでなく、肩甲骨の内側や背中側の痛みとして始まることがあります。そのあと肩、上腕、前腕、手指へ症状が広がるケースもあります。

患者さんは「肩こりが強い」「肩甲骨の奥が痛い」「腕が重い」「指先がしびれる」と表現することがあります。肩や腕の局所症状として見える訴えでも、首からの放散症状として整理できるかを考えます。

  • 首から肩甲骨まわりへ痛みが出る
  • 肩から腕、手指へしびれが広がる
  • 片側の上肢に症状が偏っている
  • 首を反らす、傾ける、回す動きで症状が変わる
  • 咳やくしゃみ、姿勢で症状が強くなることがある
  • 筋力低下や反射変化を伴うことがある

神経根ごとの症状分布を考える

頚椎症性神経根症では、どの神経根が関わるかによって、症状が出やすい場所や筋力低下、反射変化が変わります。たとえばC6、C7、C8などでは、腕や手指の症状分布が異なります。

ただし、デルマトームはきれいに教科書通り出るとは限りません。しびれの範囲だけで高位を決めず、知覚、筋力、反射、誘発テストを合わせて判断します。

※表は横にスクロールできます

知覚 しびれや感覚低下が、どの指・前腕・上腕に出ているかを確認します。左右差と範囲を分けて記録します。
筋力 肩外転、肘屈曲、手関節伸展、肘伸展、手指の動きなど、対応する筋力低下がないかを見ます。
反射 上腕二頭筋反射、腕橈骨筋反射、上腕三頭筋反射などの左右差や減弱を確認します。

首の動きで変わるかを見る

頚椎症性神経根症を疑う時は、首の動きと上肢症状の関係を確認します。首を反らす、患側へ傾ける、回旋する動きで腕や手の症状が強くなる場合、神経根への負荷を考える材料になります。

一方で、首の動きと関係が薄く、肩の動きでだけ痛む場合は肩関節由来の問題も考えます。手首や肘の動き、末梢神経の絞扼部位で症状が変わる場合は、手根管症候群や肘部管症候群なども鑑別に入ります。

見方

首の動きで腕や手指の症状が変わるかを確認します。肩や手首だけで症状を説明できるか、首からの放散として見るべきかを分けます。

似た症状を出すものと分ける

腕や手のしびれは、頚椎症性神経根症だけで起こるわけではありません。手根管症候群、肘部管症候群、胸郭出口症候群、肩関節疾患、Pancoast腫瘍、脳血管障害など、似た訴えを出すものがあります。

だからこそ、症状分布だけで決めず、発症経過、夜間痛、安静時痛、体重減少、発熱、強い筋力低下、顔面症状、ろれつの回りにくさなども確認します。

※表は横にスクロールできます

末梢神経絞扼 手根管症候群や肘部管症候群では、手首や肘の部位で症状が再現されることがあります。Tinel徴候や誘発テストも参考にします。
肩関節疾患 肩の動きで痛みが出る場合、腱板や関節包など肩由来の問題も考えます。しびれの有無と分布を分けます。
中枢・重篤疾患 急な片側症状、顔面症状、ろれつ、強い夜間痛、全身症状がある場合は、頚椎だけで考えず医療機関での評価を優先します。

進行する脱力や歩行障害は注意する

頚椎症性神経根症では、しびれや痛みだけでなく筋力低下を伴うことがあります。進行する脱力、手指の使いにくさ、歩行障害、両手両足のしびれ、排尿・排便の変化がある場合は、神経根だけでなく脊髄レベルの関与も考えます。

症状が強い場合や進行している場合は、施術で様子を見る前に医療機関での評価を優先します。特に脊髄症を疑う所見がある場合は慎重な判断が必要です。

重要

進行する筋力低下、歩行障害、両側症状、手指の巧緻運動障害、排尿・排便の変化がある場合は、頚椎症性神経根症だけでなく脊髄障害も考え、医療機関での評価を優先します。

頚椎症性神経根症で確認したいこと

  • 首の動きで腕や手の症状が変わるか
  • 肩甲骨まわりから上肢へ症状が広がるか
  • しびれの範囲が神経根分布に近いか
  • 筋力低下や反射変化が同じ高位にあるか
  • 末梢神経絞扼や肩関節疾患と矛盾しないか
  • 進行する脱力や脊髄症状がないか

首から腕へ広がる症状は、つながりで読む

頚椎症性神経根症では、首だけでなく、肩甲骨まわり、肩、腕、手指へ痛みやしびれが広がることがあります。肩や腕の症状として訴えられていても、首からの放散として見た方が整理しやすいケースがあります。

評価では、症状分布、首の動きでの変化、知覚、筋力、反射、誘発テストを合わせます。しびれの場所だけで高位を決めず、複数の所見が同じ方向を向いているかを確認します。

とんとん整骨院では、首・肩・腕・手指の症状を別々に切り離さず、神経のつながりと危険サインを確認しながら、必要に応じて医療機関での評価につなげています。

伊藤聡史
伊藤聡史

腕や手のしびれでも、首から症状が出ていることがあります。首の動き、肩甲骨まわりの痛み、筋力や反射まで合わせて見ると整理しやすくなります。

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