目を閉じるとふらつくのはなぜ?触覚・深部感覚の通り道

見なくても立てる体は、感覚情報に支えられている

触覚や深部感覚は、身体の位置や接触の情報を脳へ届ける大切な感覚です。目を閉じた時のふらつきや感覚障害を考える時、後索路の理解が臨床の助けになります。

この記事について

この記事は、とんとん整骨院の研修担当 伊藤先生が、しびれ・感覚障害の臨床で確認したいポイントをまとめた解説です。触覚、深部感覚、後索路、閉眼時のふらつき、感覚障害の確認ポイントを扱います。

伊藤先生
研修担当:伊藤

足元を見ていなくても立てるのは、筋力だけではなく、足裏や関節からの感覚情報が働いているからです。しびれやふらつきでは、その情報がうまく届いているかを考えます。

結論:触覚・深部感覚は、身体の位置や接触を脳へ伝える情報です。閉眼でふらつく場合は、後索路や末梢神経、前庭機能なども含めて確認します。

人は、目で見ている情報だけで立っているわけではありません。足裏の接地感、関節の位置、筋や腱からの情報などが合わさることで、身体の傾きや足の位置を感じ取っています。

この感覚情報がうまく使えないと、目を開けている時は何とか立てても、目を閉じると急にふらつくことがあります。ロンベルグ徴候や感覚障害を考える時に、触覚・深部感覚の通り道を押さえておくと整理しやすくなります。

触られた感覚と、体の位置を伝える情報

触覚は、皮膚に触れた刺激を感じる感覚です。深部感覚は、関節の位置や動き、筋や腱の伸び具合などを感じる感覚です。どちらも、身体の状態を脳が把握するために欠かせません。

しびれの訴えでは、ビリビリする異常感覚だけでなく、触られた感じが鈍い、足の位置が分かりにくい、地面を踏んでいる感覚が弱いといった訴えが混ざることがあります。

触覚 皮膚に触れた刺激を感じる感覚です。左右差や範囲を比べることで、感覚低下の有無を確認します。
深部感覚 関節の位置、動き、筋や腱の状態を感じる感覚です。足元を見なくても立つ、歩くために重要です。
臨床での訴え 足裏がぼんやりする、地面を踏んでいる感じが弱い、目を閉じるとふらつくなどの表現につながることがあります。

深部感覚は、患者さんが自覚しにくい感覚です。ふらつきや足元の不安定感として表に出ることがあります。

後索路は「位置の情報」を上へ運ぶ

触覚や深部感覚の一部は、脊髄の後索を通って上行し、脳へ伝わります。この経路は、後索路として整理されます。

ざっくり言えば、足や手から入った感覚情報が末梢神経を通り、脊髄へ入り、後索を上がって、脳幹で中継され、最終的に大脳で認識されます。どこかで情報が途切れたり弱くなったりすると、感覚低下や位置覚の低下として現れることがあります。

経路のイメージ

末梢から入った触覚・深部感覚の情報は、脊髄後索を上がって脳へ向かいます。細かい神経解剖を暗記するより、どの段階で感覚情報が乱れそうかを考えることが大切です。

目を閉じた途端に崩れる理由

立位バランスには、視覚、深部感覚、前庭機能、小脳などが関わります。目を開けている時は、視覚情報である程度補正できます。

ところが、目を閉じると視覚情報が使えなくなります。その時に深部感覚や前庭機能の情報が弱いと、立位を保ちにくくなります。ロンベルグ徴候では、この開眼と閉眼の差を確認します。

開眼で安定 視覚情報を使って姿勢を保てている可能性があります。閉眼でどう変わるかを確認します。
閉眼で不安定 視覚が使えない状態で、深部感覚や前庭機能の情報をうまく使えていない可能性を考えます。
開眼でも不安定 小脳性の関与、筋力低下、めまい、痛み、恐怖心、全身状態なども含めて確認します。

末梢神経だけで完結しない

触覚や深部感覚の低下を見た時、末梢神経だけで考えると見落とすことがあります。感覚情報は末梢神経、神経根、脊髄、脳幹、視床、大脳皮質までつながっているためです。

症状の範囲、左右差、急性発症かどうか、筋力低下や歩行障害を伴うかによって、考えるべき場所が変わります。特に急な片側症状や顔面を含む症状では、中枢神経系の可能性も含めて慎重に扱います。

検査では左右差と閉眼時の変化を比べる

触覚・深部感覚に関わる所見では、左右差、範囲、閉眼での変化を確認します。しびれの場所だけでなく、触られた感覚、足元の安定感、歩行、片脚立位なども合わせて見ます。

  • 触覚に左右差があるか
  • 足裏の接地感が弱くないか
  • 目を閉じるとふらつきが強くなるか
  • 歩行でつまずきやすい、足元が不安定な訴えがあるか
  • しびれの範囲が末梢神経や神経根の分布と合うか
  • 筋力低下、腱反射、病的反射など他の所見と矛盾しないか

急なふらつきや感覚障害は慎重に扱う

触覚や深部感覚の問題が疑われる場合でも、施術で様子を見る前に医療機関での確認を考える場面があります。急な発症、進行性、広範囲、顔面症状、ろれつ、強い頭痛、歩行困難などがある場合です。

重要

急に片側の感覚障害が出た、歩けないほどふらつく、ろれつが回らない、強い頭痛を伴う、進行する脱力がある場合は、まず医療機関での評価を優先します。

関連症状:こんな訴えと合わせて考える

  • 足裏の感覚がぼんやりする
  • 地面を踏んでいる感じが弱い
  • 目を閉じるとふらつく
  • 暗い場所で歩きにくい
  • 触られた感覚が左右で違う
  • しびれに加えて歩行の不安定さがある

触覚・深部感覚は、立つことにも歩くことにも関わる

触覚や深部感覚は、身体の位置や接触の情報を脳へ伝える感覚です。足元を見なくても立つ、歩く、バランスを保つために重要な役割があります。

しびれや感覚低下、閉眼時のふらつきがある場合は、末梢神経だけでなく、後索路、前庭機能、小脳、中枢神経系の所見も含めて確認します。

とんとん整骨院では、しびれの訴えを部位だけで判断せず、感覚の種類、左右差、閉眼での変化、歩行や筋力の状態まで合わせて確認することを大切にしています。

伊藤先生
研修担当:伊藤

目を閉じるとふらつく方では、筋力だけでなく感覚情報も考えます。足裏や関節からの情報がうまく使えているかを確認すると、ふらつきの見方が少し変わります。

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