超音波の非温熱作用とは。マイクロマッサージとキャビテーションの考え方
温めない超音波にも、狙える反応がある
超音波治療器というと温熱効果をイメージしやすいですが、非温熱作用も大切です。マイクロマッサージやキャビテーションは、組織を強く温めるのではなく、微細な機械的刺激として反応を狙います。

この記事は、とんとん整骨院の超音波治療器の非温熱作用に関する臨床メモをもとに作成しています。超音波治療器は、温熱効果だけでなく、マイクロマッサージやキャビテーションなどの機械的刺激も考える物理療法です。ここでは、非温熱作用の目的、微細振動、細胞膜の透過性、組織液の動き、浮腫や炎症への見方を整理しています。
結論:超音波の非温熱作用は、マイクロマッサージやキャビテーションによる機械的刺激を通して、細胞膜周囲の反応や組織液の動きを狙う考え方です。温める目的とは分けて設定します。
超音波の非温熱作用とは
超音波治療器の作用は、大きく温熱作用と非温熱作用に分けて考えます。温熱作用は組織温の上昇を利用する考え方ですが、非温熱作用は温度上昇を主目的にしません。
非温熱作用では、超音波による微細な振動、音響流、気泡の発生や振動など、機械的な刺激がポイントになります。組織を温めるというより、細胞や組織液の動きに働きかけるイメージです。
Chapter 1マイクロマッサージの考え方
マイクロマッサージは、超音波の刺激によって、細胞・組織・液体などの粒子が微細かつ高速に振動する作用として説明されます。
手で押すマッサージのように大きく動かすわけではありません。もっと小さいレベルで、細胞や組織の周囲に機械的な刺激が入ると考えると分かりやすいです。
マイクロマッサージは、強く揉むような刺激ではありません。超音波による微細な振動を、細胞や組織液のレベルで考える作用です。
Chapter 2細胞膜や組織反応への見方
マイクロマッサージでは、微細振動によって細胞膜周囲の反応や透過性、細胞の活性に影響を与えると説明されます。これにより、炎症後の治癒過程を支える可能性があると考えられています。
ただし、「炎症があれば必ず超音波」という話ではありません。急性期の炎症、熱感、腫れ、疼痛の強さ、出血リスクなどを見ながら、温熱を避けて非温熱的に使うのか、そもそも使わないのかを判断します。
| 作用 | 起こる反応のイメージ | 臨床での見方 |
|---|---|---|
| マイクロマッサージ | 細胞・組織・液体が微細に振動する | 細胞膜周囲の反応や治癒過程への補助として考える |
| 音響流 | 液体中に微細な流れが生じる | 組織液の動きや細胞周囲の環境を考える時に見る |
| キャビテーション | 液体中の小さな気泡が発生し、圧縮と拡張を繰り返す | 浮腫や組織代謝への影響を考える時に整理する |
Chapter 3キャビテーションとは
キャビテーションは、超音波の流れに沿って、組織液や血液などの液体内に小さな気泡が生じ、その気泡が圧縮と拡張を繰り返す作用として説明されます。
治療目的で考える時は、安定した気泡の振動による機械的刺激をイメージします。強すぎる刺激で不安定な反応を狙うものではなく、設定の範囲内で組織液や細胞周囲の動きを促す考え方です。

キャビテーションは「気泡ができる作用」として説明されますが、臨床で狙うのは危険な破裂ではなく、安定した微細な機械的刺激です。強い刺激ほど良い、という考え方ではありません。
Chapter 4浮腫や炎症をどう見るか
キャビテーションや音響流によって、細胞間隙の組織液の動きが活発になり、組織代謝や浮腫の軽減に関わる可能性があると整理されます。
ただし、浮腫があるから必ず超音波でよいわけではありません。外傷直後で出血や熱感が強い場合、感染が疑われる場合、血管や神経へのリスクがある場合は、超音波を使う前に状態確認が必要です。
- 温熱を狙うのか、非温熱作用を狙うのかを決める
- 熱感や急性炎症の強さを確認する
- 出血リスクや皮膚状態を確認する
- 照射部位と症状のつながりを整理する
- 施術後の腫れ、痛み、動きやすさを再評価する
Chapter 5非温熱作用を狙う時の設定
非温熱作用を狙う場合、温度上昇を強く出しすぎない設定が必要になります。一般的には、連続照射よりもパルス照射を選ぶなど、温熱が出にくい条件を考えます。
周波数、出力、デューティ比、照射時間、プローブの動かし方、照射範囲によって反応は変わります。非温熱作用を狙っているのに、結果として強い温熱刺激になっていないかを確認します。
超音波は、骨端線、妊娠部位、悪性腫瘍が疑われる部位、感染、血栓、強い知覚障害など、禁忌や注意が必要な場面があります。機器の添付文書や院内ルールに沿って判断します。
温めるか、機械的刺激を狙うか
超音波治療器は、温熱作用と非温熱作用を分けて考えると使い方が整理しやすくなります。可動域改善のために温熱を狙うのか、組織液や細胞周囲の反応を狙って非温熱的に使うのかで、設定は変わります。
「超音波を当てる」ではなく、「何の作用を使いたいのか」を先に決めることが大切です。
非温熱作用は、温めないから弱いわけではない
マイクロマッサージやキャビテーションは、超音波の非温熱作用として整理されます。細胞や組織液に対する微細な機械的刺激を通して、細胞膜周囲の反応や組織液の動きに関わる可能性があります。
大切なのは、温熱作用と非温熱作用を混ぜて考えないことです。炎症や浮腫、組織の状態を見ながら、温めたいのか、非温熱的な刺激を入れたいのかを判断して設定します。
超音波の非温熱作用は、音響流や安定したキャビテーションなどが関わると説明されます。ただし臨床効果は、照射条件、組織状態、対象疾患によって変わるため、施術前後の反応を合わせて確認します。













