大手接骨院から転職して感じた、若手が本当に伸びる職場の条件

「自由な職場」が、若手を伸ばすとは限らない

早く帰れる、手技が自由、細かく言われない。一見すると良い職場に見える条件でも、若手にとっては「何を学べばいいか分からない」環境になることがあります。

大手接骨院から転職してきた若手スタッフの声を入口に、働く環境と臨床の学び方を考えます。

職場選びは、条件の良さだけでは判断できません。自由度、勤務時間、練習環境、基準、サポート体制を合わせて見ないと、成長できる環境かどうかは分かりません。

若手セラピストが職場を選ぶ時、分かりやすい条件に目が行きます。

早く帰れる。シフトが柔軟。手技が自由。細かく怒られない。大手で制度が整っている。

もちろん、それらは大事です。働きやすさは軽視してはいけません。

ただ、働きやすいことと、臨床家として伸びやすいことは、必ずしも同じではありません。

少し辛口に言うと、自由すぎる環境は、基準を持っていない若手にとっては放置に近くなることがあります。

まなぶ先生
まなぶ先生

手技が自由って、若手には魅力的に見えますよね。

瀬谷崎
瀬谷崎

基準を持っている人には自由も良いです。でも、まだ何を見ればいいか分からない人には、自由より基準が必要な時期があります。

自由は、基準があって初めて生きる

「自由にやっていいよ」は、聞こえは良いです。

でも、新卒や経験の浅いセラピストにとっては、かなり難しい言葉でもあります。

何を評価するのか。どこまで見ればいいのか。何を優先するのか。危ないサインをどう拾うのか。患者さんにどう説明するのか。

このあたりの基準がないまま自由を渡されると、結局、目の前で知っていることだけをやるしかなくなります。

自由は、土台がある人にとっては武器になります。土台がない人にとっては、迷子になる理由にもなります。

手技の自由度だけを見て「良い職場」と判断するのは少し早いです。

若手のうちは、むしろ評価の順番、説明の型、練習の基準がある方が伸びやすいことがあります。

早く帰れるだけでは、練習時間は生まれない

勤務時間が短いことは、もちろん大事です。

身体が壊れるほど働く必要はありませんし、プライベートがなければ長く続きません。

ただ、早く帰れることと、練習できることは別です。

シフトがバラバラで先輩と時間が合わない。帰ったら疲れて勉強できない。誰に何を聞けばいいか分からない。

こうなると、時間はあるように見えても、成長にはつながりにくくなります。

見たいのは時間の中身

勤務時間が短いかどうかだけでなく、その職場に練習の仕組みがあるか、先輩に見てもらえる時間があるか、何を練習すべきかが明確かを見た方がいいです。

これは、若手本人の努力不足だけで片づける話ではありません。

もちろん自分で勉強する姿勢は必要です。でも、職場側にも「育つための構造」を作る責任があります。

マニュアルは、考えないためではなく考える土台になる

マニュアルという言葉に、あまり良い印象を持たない人もいます。

型にはめられる。個性がなくなる。流れ作業になる。そんなイメージです。

でも、本来のマニュアルは、考えないためのものではありません。

最低限の見落としを減らし、評価の抜けを防ぎ、説明の質をそろえるための土台です。

自由すぎる環境 基準がある環境
何を見ればいいか迷いやすい 評価の順番が分かりやすい
先輩ごとに言うことが違う 院として最低限の共通認識がある
派手な手技に流れやすい 地味な基礎を繰り返しやすい
自己流が早く始まりやすい 土台を作ってから応用しやすい

臨床では、応用が必要です。

でも、応用は土台があるからできます。最初から全部自己流でやろうとすると、患者さんを見る目が育つ前に、手癖だけが育ってしまいます。

厳しい基準と、怖い職場は違う

とんとん整骨院は、外から見ると少し厳しそうに見えるかもしれません。

レッドフラッグを見落とさない。評価を丁寧にする。説明を曖昧にしない。流行りの手技に雑に飛びつかない。

こういう基準を言葉にすると、どうしても硬く見えます。

でも、厳しい基準があることと、できない人を責めることは違います。

誤解しやすいところ

できないことを怒る環境ではなく、できるようになるまで一緒に見る環境かどうか。ここが大事です。高い基準だけあって放置される職場は、若手にはかなりきついです。

基準が高いなら、その分サポートも必要です。

面談がある。悩みを拾ってもらえる。練習を見てもらえる。できないところを整理してもらえる。

このセットがあるから、若手は前に進めます。

まなぶ先生
まなぶ先生

SNSの印象だけで、職場まで怖そうと思う人もいそうです。

瀬谷崎
瀬谷崎

できない人を責めたいわけではありません。怠けることや、患者さんに雑に向き合うことには厳しくしたいだけです。

伸びる職場には、孤立させない仕組みがある

若手が伸びる職場には、共通して「一人で抱え込ませない仕組み」があります。

臨床でうまくいかない。説明がまとまらない。患者さんの反応が怖い。体調が崩れている。自信がなくなっている。

こういうことは、どの若手にも起こります。

問題は、それを拾う仕組みがあるかどうかです。

  • 定期的に面談や振り返りの時間がある
  • 練習のテーマが明確になっている
  • できないことを責めず、次の課題に分解してくれる
  • 先輩ごとに基準がバラバラになりすぎない
  • 体調やメンタルの変化を相談しやすい
  • 派手な手技より、評価と説明を大事にしている

こういう環境は、最初は少し窮屈に感じるかもしれません。

でも、基準とサポートがあるからこそ、自信がない人でも前に進めます。

職場選びは、楽かどうかだけで決めない

働きやすさは大事です。

ただ、「楽そう」「自由そう」「早く帰れそう」だけで選ぶと、数年後に不安が残ることがあります。

患者さんを前にした時に、自分は何を見ればいいのか。どう説明すればいいのか。危ないサインに気づけるのか。自信を持って判断できるのか。

そこまで考えると、職場選びの基準は少し変わります。

若手にとって本当にきついのは、忙しさだけではありません。何を積み上げているのか分からないまま時間が過ぎることです。

転職を考えるなら、給与や勤務時間だけでなく、学べる内容、練習の仕組み、先輩の関わり方、院としての臨床基準を見た方がいいです。

条件が良い職場と、成長できる職場は重なることもあります。でも、必ず同じとは限りません。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、派手な手技を覚えることより、患者さんを安全に見るための評価と説明を大切にしています。

レッドフラッグを見落とさない。必要な評価をする。患者さんに分かる言葉で説明する。できないことを一人で抱え込ませない。

そのために、基準を作り、練習し、面談し、できるまで見ていく。

簡単ではありません。楽な環境とも少し違います。

ただ、まともな臨床を身につけたい人にとっては、基準があることが安心になるはずです。

見てほしいところ

厳しいかどうかより、放置されないかどうか。自由かどうかより、基準があるかどうか。職場選びでは、このあたりを見てほしいです。

自由より先に、土台を作る

若手のうちから自由にやれることは、魅力的に見えます。

でも、自由に臨床するには、まず土台が必要です。

評価の土台。説明の土台。リスクを見落とさない土台。患者さんに向き合う土台。

そこがないまま自由だけを渡されると、結局、自信がないまま現場に立ち続けることになります。

本当に成長したいなら、少し窮屈でも、基準とサポートがある環境を選ぶ価値はあります。

瀬谷崎
瀬谷崎

自由にやるのは、土台ができてからでいいと思います。最初は地味でいい。評価して、説明して、練習して、少しずつ自信を作る。その環境を選べるかどうかが大事です。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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