日高先生の卒業に思う、とんとん整骨院で伸びる人の条件

退職は、終わりではなく次の現場への持ち出しです

長く一緒に働いたスタッフが離れるのは、もちろん寂しいことです。ただ、その人が学んだものを次の土地で使ってくれるなら、それは前向きな卒業でもあります。

日高先生の卒業と、これからの働き方について話しています。

退職は、必ずしもネガティブな出来事ではありません。理由と、次に何を持っていくのかを見ると、その人がどんな時間を過ごしてきたのかが見えてきます。

とんとん整骨院で長く一緒に働いてきた日高先生が、5月末で退職することになりました。

こういう話をすると、「何かあったのかな」と受け取られることもあります。人間関係なのか、給与なのか、働き方なのか。外から見ると、どうしてもいろいろ想像されます。

でも、今回の退職はそういう話ではありません。

子どもが生まれて、地元の鹿児島で育てたい。親に孫を見せたい。家族の時間をどう作るか考えた時に、次の場所へ進むことを選んだ。

これは、治療家としての成長とは別に、人としてのライフステージが変わったという話です。

まなぶ先生
まなぶ先生

退職と聞くと、どうしても悪い理由を想像されやすいですよね。

瀬谷崎
瀬谷崎

そうですね。でも大事なのは、辞めること自体より、なぜ辞めるのかと、次に何を持っていくのかだと思います。

退職理由だけで、職場は判断できない

退職者が出ると、それだけで職場に問題があるように見えることがあります。

もちろん、職場に問題があって人が離れるケースもあります。そこはきれいごとでごまかすべきではありません。

ただ、すべての退職がそうとは限りません。

結婚、出産、地元へのUターン、家族の事情、独立、別領域への挑戦。人生のフェーズが変われば、働く場所も変わります。

今回の日高先生も、鹿児島に戻って、弟さんが運営する鍼灸整骨院でまた一からやっていく予定です。

しかも、とんとんで学んだ臨床の考え方やオペレーションを、次の現場でも使っていく。

学んだことを次の土地で使えるなら、それは単なる退職ではなく、現場を変えた実践です。

だから、寂しさはあります。

でも、悪い別れではありません。

むしろ、ここで身につけたものが別の地域で患者さんに届くなら、それはすごく良いことだと思っています。

とんとんで伸びる人は、患者さんのことを考え続けられる

とんとん整骨院に向いている人、向いていない人は、わりとはっきりあります。

ひとつ大きいのは、患者さんのことを考える時間に耐えられるかどうかです。

これは勤務時間だけの話ではありません。

施術が終わった後も、「あの症状は何だったのか」「次に何を評価するか」「説明は伝わっていたか」「危ないサインはなかったか」と考える。

こういう脳内の拘束時間が長い仕事です。

そこを面倒に感じる人には、正直しんどいと思います。

向いている人

治療や評価のことを考えるのが嫌いではない人。分からないことを放っておけない人。患者さんの状態を、施術時間の中だけで終わらせずに考え続けられる人は伸びやすいです。

逆に、勤務時間が終わったら全部切り離したい。最低限だけやって早く帰りたい。練習や勉強はできるだけ少なくしたい。

そういう働き方が悪いわけではありません。

ただ、とんとんの風土とは合いにくいと思います。

言い訳が多い人には、少しきつい環境です

もうひとつ、かなり大事なのが言い訳です。

うまくいかなかった時に、すぐ環境や患者さんや先輩のせいにする人は、伸びにくいです。

もちろん、環境に問題があることもあります。指導する側が悪いこともあります。

でも、毎回そこに逃げていると、自分の課題が見えなくなります。

まなぶ先生
まなぶ先生

言い訳をしないって、かなり耳が痛いですね。

瀬谷崎
瀬谷崎

できないこと自体はいいんです。問題は、できない理由を全部外に置いてしまうことです。そこに逃げると、次の練習が決まらないんですよね。

とんとんは、言い訳を責めたい場所ではありません。

ただ、患者さんに向き合う仕事なので、できないことをそのままにしておくわけにもいきません。

評価が甘かったなら、評価を練習する。説明が伝わらなかったなら、説明を見直す。技術が足りないなら、触り方を練習する。

地味ですが、こうやって課題を分解できる人が伸びます。

練習量の基準は、思っているより大事です

「練習しています」と言っても、その中身は人によってかなり違います。

1日15分で十分やった気になる人もいれば、休みの日を使って資料を作り、評価を調べ、ロープレをして、ようやく少し分かった気になる人もいます。

どちらが正しいというより、目指している場所が違います。

日高先生は、とんとんにいる中でかなり勉強してきました。

レッドフラッグのセミナー、腰痛や下肢痛の鑑別、対診の考え方。普通に柔道整復師として働くだけでは経験しにくい領域まで、かなり踏み込んできました。

伸びにくい姿勢 伸びやすい姿勢
できない理由を外に置く 次に練習する課題へ分解する
短い練習で満足する 分かるまで何度も確認する
患者さんのことを勤務時間だけで考える 施術後も評価や説明を振り返る
環境が整うのを待つ 環境を使って自分を鍛える

勉強の習慣は、才能だけで決まるものではありません。

環境によって作られる部分も大きいです。

周りがやっている。先輩が見ている。セミナーを作る。質問される。人に説明しなければいけない。

そういう負荷があるから、半ば強制的に伸びることがあります。

レッドフラッグを学ぶ意味

とんとんで大切にしていることのひとつが、レッドフラッグの見落としを減らすことです。

腰痛や下肢痛といっても、全部が筋肉や関節の問題とは限りません。

整骨院で対応していいものもあれば、医療機関で確認すべきものもあります。

ここを曖昧にしたまま、手技だけで何とかしようとするのは危険です。

とんとんの基本姿勢

自分たちが診ていいものと、医療機関へつなぐべきものを分ける。派手な手技より先に、この判断ができることを大切にしています。

日高先生が関わってきたセミナーも、そこが中心にあります。

ただ腰を触る、ただ下肢をほぐす、ただ運動を出すのではなく、何を疑い、何を除外し、どこまで自分たちが介入するのか。

こういう考え方は、地味ですが治療家としてかなり重要です。

地方に戻ることは、キャリアダウンではない

地方から東京に出てきて、学んで、また地元へ戻る。

これは、キャリアダウンではありません。

むしろ、都市部で学んだ臨床の考え方や運営の仕組みを、地元の患者さんに届けられるなら、大きな意味があります。

日高先生も、鹿児島で一からやり直すと言っています。

一から、という言葉は謙虚ですが、何も持たずに戻るわけではありません。

とんとんで身につけた評価、説明、オペレーション、練習の基準を持って戻る。

場所が変わっても、患者さんに向き合う姿勢は持っていけます。むしろ、それを持って帰れることに価値があります。

東京で働くことだけが正解ではありません。

独立することだけが正解でもありません。

今のライフステージで、どこで、誰に、どんな価値を届けるのか。

キャリアは、その問いに合わせて変わっていくものだと思います。

とんとん整骨院に向いている人

とんとん整骨院に向いているのは、最初から能力が高い人だけではありません。

むしろ、分からないことを分からないままにしない人。言い訳せずに練習できる人。患者さんのために自分の基準を上げられる人です。

  • 患者さんのことを考える時間を面倒だと思わない
  • できないことを、次の練習課題に変えられる
  • 地味な評価や説明を大切にできる
  • レッドフラッグや対診の判断を学びたい
  • 地方からでも、何かを掴むつもりで環境を選べる

逆に、楽な環境だけを求めている人には合わないと思います。

勉強すること、練習すること、患者さんの状態を考え続けること。

ここを仕事の中心に置けるかどうかが、大きな分かれ目になります。

卒業しても、臨床の姿勢は残る

日高先生が退職するのは寂しいです。

一緒にやってきた時間が長い分、簡単に「お疲れさまでした」で終わる話ではありません。

でも、学んだことを次の現場で使ってくれるなら、それはすごく良い卒業です。

場所が変わっても、患者さんを見る時の考え方、危ないサインを拾う姿勢、分からないことを調べる習慣は残ります。

治療家として大事なのは、そこだと思います。

瀬谷崎
瀬谷崎

退職は寂しいです。でも、ここで学んだことを鹿児島で使ってくれるなら、それは良い卒業だと思います。場所が変わっても、患者さんに向き合う姿勢は持っていけますから。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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