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右側だけ強い首肩のこりと頭痛、自分でマッサージして強まったのはなぜか。症例をスタッフで検討

片側に偏る首肩こり、なぜ「肩甲骨の位置」に着目したのか

1つの症例を、担当した川口流世先生(とんとん整骨院 下板橋店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。右側を中心に強まった首肩のこりと頭痛。自分でマッサージをしたらかえって強まった、という経緯も手がかりに、こる筋肉そのものでなく肩甲骨の位置に出どころを見た判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、もともとあった肩こりが2週間ほど前から強まり、右側を中心とした首肩のこりと頭痛で日常生活に支障が出ていた30代の男性。自分でマッサージをしたところ、かえって症状が強まった経緯のある方の症例です。事実と結果から見ていきます。

症例カルテ:右側に強く出た首肩のこりと頭痛、肩甲骨の位置に着目
今回検討する症例(担当:川口先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=右側を中心とした首肩のこりと頭痛(30代・男性)。背景=もともとあった肩こりが2週間ほど前から強まり、日常生活に支障。仕事の忙しさが影響していると感じ、自分でマッサージをしたところかえって強まった。来院2日前に整形外科でレントゲンの検査を受け、骨などに問題はないとの結果。週1〜2回ジムに通う習慣。所見=首の屈曲で違和感、伸展・右回旋で痛み、肩甲骨が外側・下方に開いた位置、首を反らす方向への負担、肩甲骨まわりの筋の働きにくさ。とらえ方=肩甲骨が外側・下方に開いた姿勢と、首を反らす方向への負担が重なり、右側を中心に首肩の筋肉へ負担が集まっていたと考えた。対応=頭板状筋(とうばんじょうきん)・肩甲挙筋(けんこうきょきん)・小胸筋・上腕二頭筋・前鋸筋(ぜんきょきん)への手技(肩甲骨の位置に対して)、電気施術。経過=2回目で大きく和らぎ、いったん戻る場面もあったが、3回目にはほぼ日常生活に支障のない状態、4回目にはほぼ気にならない状態になり、施術を終了。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

右側だけ強いこりと頭痛、原因は肩甲骨の位置か

主訴は右側を中心とした首肩のこりと頭痛。けれど川口先生は、こっている筋肉そのものより、肩甲骨の位置に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

川口先生川口先生

主訴は右側を中心とした首肩のこりと頭痛でした。所見をとると、肩甲骨が外側・下方に開いた位置で止まっていて、首から肩甲骨につながる筋肉が引き伸ばされながら働き続けていました。こっている右側の筋肉そのものより、その筋肉に負担をかけ続ける肩甲骨の位置に出どころがあるのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

片側だけ強く出る、というのが特徴ですよね。同じ姿勢で過ごしているはずなのに、なぜ右に偏るんですか。

川口先生川口先生

利き手の使い方や仕事の姿勢で、肩甲骨の開き方には左右差が出ます。この方は右の肩甲骨の開きが強く、首から肩甲骨につながる筋肉が右だけ張りっぱなしでした。首を反らす・右に回す動きで痛みが出た所見とも一致します。

自分でマッサージして強まった、のはなぜか

セルフマッサージで強まった経緯は、この症例の大きな手がかりでした。教子先生が確認すべきサインとあわせて尋ねました。

教子先生教子先生

マッサージで強まった経緯が気になりますよね。頭痛を伴うので、突然の激しい頭痛や、手のしびれ・力の入りにくさといった、急いで受診すべきサインは外せていましたか。

川口先生川口先生

そこは確認しました。来院2日前に整形外科でレントゲンの検査を受けて骨などに問題はないと言われており、突然の激しい頭痛や手への神経症状もありませんでした。こうしたサインがあれば医療機関の受診をご案内します。マッサージで強まったのは、引き伸ばされて張っていた筋肉に、さらに押す刺激が重なったためと考えています。

瀬谷崎瀬谷崎

こりの正体が「縮んで硬い」でなく「引き伸ばされて張っている」場合、強く押すと刺激が上乗せされて強まることがあるんですよね。押して強まったという経緯そのものが、位置の問題を示す手がかりでもある。受診で骨の問題が外れていたのも、進めやすい材料でした。

こりの場所でなく、肩甲骨の位置を変える介入と経過

こっている場所を強く押すのでなく、位置から変える、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

こっている場所を押すのでなく、肩甲骨の位置から変えていったんですね。

川口先生川口先生

はい。肩甲骨を外へ引っぱる胸の前の筋肉などをゆるめ、肩甲骨まわりの支えを働きやすくして、首の筋肉が引き伸ばされ続けない位置に戻しました。2回目で大きく和らぎ、いったん戻る場面もありましたが、4回目にはほぼ気にならない状態になり、終了しています。

瀬谷崎瀬谷崎

戻る場面を挟みながらも短い経過で落ち着いたのは、負担の元が変わったからだと思います。忙しさやジムの習慣は続く方なので、同じ位置に戻らない使い方は意識してもらいたいところですね。強く押すほど効くとは限らない、というのもこの症例から学べるところだと思います。

考察:肩甲骨の位置からとらえる、片側に偏る首肩こりと頭痛

所見という事実(肩甲骨が外側・下方に開いた位置・首を反らす方向への負担・伸展や右回旋での痛み)と、経過という結果(短い経過でほぼ気にならない状態になり終了したこと)。この両方が、「こっている筋肉そのものでなく、肩甲骨の位置に出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。引き伸ばされて張っている筋肉は、押すほど刺激が重なって強まることがある。急いで受診すべきサインと骨の問題を外したうえで、位置から負担を変える。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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