股関節の痛みは「はまりのズレ」から考える。とんとんの股関節アプローチ

足の付け根やお尻の痛み、土台の3つの要素から見る

足の付け根やお尻、股関節まわりの痛みには、いくつかのタイプがあります。ただ、その多くには共通する原因があります。骨盤の傾き、お尻の筋肉の弱り、太ももの筋肉の使いすぎ。とんとん整骨院が股関節の痛みをどう見て、どう考え、どうアプローチをするのか。とんとん社長 瀬谷崎将也と臨床技術責任者 伊藤聡史が分かりやすくご紹介します。

股関節は、太ももの骨の先端の『ボール』が、骨盤側の『受け皿』にはまってできています。痛みの多くは、このボールが受け皿にきれいにはまらず、少しズレたまま動くことで起こると考えられます。細かなタイプ分けに立ち入る前に、まず知っておきたい共通の要点を整理します。

足の付け根やお尻まわりの痛み。立ち上がりや歩き出しなど、動き
足の付け根やお尻まわりの痛み。立ち上がりや歩き出しなど、動きのなかで気になることが多い症状です。
2ヶ月間続いた背中と腰の痛み、原因は股関節にあった例もありま
2ヶ月間続いた背中と腰の痛み、原因は股関節にあった例もあります(症例レポートを読む)。
大畑維吹大畑維吹

この方は、2ヶ月ほど続いた背中と腰の痛みでご来院されました。調べていくと、痛む場所そのものより股関節まわりの動きの制限が関わっていて、股関節から整えていくと背中や腰の負担も変わっていきました。

瀬谷崎将也瀬谷崎

痛むのは背中や腰でも、引き金は股関節にあった例ですね。股関節は体の土台なので、不調が離れた場所に出ることもあれば、股関節そのものが痛むこともあります。

股関節の痛みは、骨盤・お尻・太ももの3つが重なって起こることが多い

伊藤聡史伊藤聡史

社長、股関節が痛い方は『軟骨がすり減ったのでは』と心配される方が多いです。

瀬谷崎将也瀬谷崎

心配になりますよね。ただ、股関節の痛みの多くは、骨そのものより『はまり』の問題だと考えています。太ももの骨のボールが受け皿に深くはまって安定していれば、痛みは出にくい。そのはまりが浅くなったり少しズレたりすると、組織の挟み込みや、筋肉やスジのこすれ、一点への負担の集中が起きます。

伊藤聡史伊藤聡史

はまりを浅くする要因が3つあるんですよね。座り方のクセで骨盤が前後に傾くと、受け皿の向きと深さが変わる。ボールを受け皿へ引き寄せる小殿筋(しょうでんきん)などの支え役が弱ると、股関節がグラつく。そしてその代わりに、もも裏や外側、前の大きな筋肉が働きすぎてボールを引っぱる。

瀬谷崎将也瀬谷崎

ええ。前がつまるタイプ、脚を閉じると痛いタイプなど、型はいろいろありますが、根っこにあるこの3要素は共通していることが多いんです。だから、痛いところだけほぐしても戻りやすい。

ここがポイント

股関節の痛みの多くは、骨盤の傾き・お尻の支え役の弱り・太ももの筋肉の使いすぎが重なり、股関節の『はまり』が浅くなることで起こると考えられます。タイプが違っても、この土台の3要素は共通していることが多い、という見方です。なお、生まれつき受け皿のかぶりが浅い方(臼蓋形成不全=きゅうがいけいせいふぜん)はこの影響を受けやすく、将来的な変形性股関節症につながることがあると言われています。

前がつまる感じの仕組みは股関節を深く曲げると前がつまるのはなぜ?、骨の個体差の話は内股・がに股は直すべき?股関節の骨のねじれ「前捻角」という個体差、体のつながりは痛い場所が、悪い場所とは限らない。運動連鎖とはにまとめています。

どこが・どの動きで痛むか。見極めの手がかりと、注意したいサイン

伊藤聡史伊藤聡史

見極めは、どう進めていきますか。

瀬谷崎将也瀬谷崎

手がかりは2つ。どこが痛むかと、どの動きで痛むかです。足の付け根(鼠径部=そけいぶ)なら前側での挟み込みやインナーの筋肉、お尻なら深いところの筋肉の張りや使いすぎ、外側なら歩くときのこすれが考えやすい。深く曲げると痛い、後ろに伸ばすと痛い、脚を組むと痛い、体重をかけると痛い。どの動きで痛むかは、原因を知る大切な手がかりになります。

伊藤聡史伊藤聡史

当院では、痛む動きの最中に、原因と考える筋を少し押さえたり支えたりして、痛みが減るかを確かめますね。痛みが変われば、そこが関わっている手がかりになる。

瀬谷崎将也瀬谷崎

そうです。それと、痛い場所=悪い場所とは限りません。股関節の不調が太ももの裏や膝に出ることもあれば、逆に腰の不調がお尻や付け根の痛みに感じられることもある。決めつけずに、動きと合わせて確かめていきます。

こんなときは医療機関へ

次のような場合は、筋肉や姿勢のケアより先に、整形外科などの医療機関での検査をおすすめします。筋肉や骨盤のバランスだけでは説明できない、別の原因が隠れているサインのことがあるためです。

  • 安静にしても痛みが強い、夜間や寝ているときにも痛む
  • 日を追うごとに悪化する、急に強い痛みが出た
  • 発熱を伴う、または転倒・打撲などのケガのあとに痛みが出た
  • 脚のしびれや力の入りにくさを伴う
  • 関節リウマチや骨粗しょう症がある。お酒を多く飲む方やステロイドを使用中の方も、骨への影響に注意

押さえて確かめる考え方はとんとん独自の検査「ANO(アノ)テスト」をやさしく解説、腰との切り分けはとんとんの腰痛アプローチもあわせてどうぞ。

痛いところをほぐす前に。支え役を働かせ、使いすぎを休ませる

伊藤聡史伊藤聡史

原因が共通しているなら、対処の柱も共通するんですよね。

瀬谷崎将也瀬谷崎

ええ、3つです。1つ目は、お尻の支え役、特に小殿筋などを軽い力で正しく働かせる練習。強い負荷はいりません。2つ目は、働きすぎているもも裏・外側・前の筋肉をゆるめて、ボールを引っぱる力を減らすこと。3つ目は、骨盤の傾きや座り方・立ち方など、日常のクセを整えることです。

伊藤聡史伊藤聡史

順番が大事で、『痛いところをほぐす』より先に、弱っている支え役を働かせて、働きすぎている筋肉を休ませる方が近道だと。

瀬谷崎将也瀬谷崎

そう考えています。それと、痛みを我慢して大きく動かすのは避けたい。一方で、安静にするだけも正解ではありません。痛みの出ない範囲で適度に動かすことが大切です。変形が進んでいる方は無理をせず、状態に合わせて進めます。

ご自宅でできる工夫
  • いつも同じ側で足を組まない。組むなら左右を替え、組みすぎない
  • 座りっぱなしを避け、30分〜1時間に一度は立って動く
  • 痛みの出ない範囲で、歩く・動かすを続ける
  • 座って軽く行う貧乏ゆすり(ジグリング)は、股関節に良い影響が期待できると言われています

骨盤まわりの考え方はとんとんの骨盤の悩みアプローチ、座り方・姿勢のクセはとんとんの姿勢アプローチもあわせてどうぞ。

股関節の症例やスタッフで検討した記事のまとめは股関節の痛みナビもどうぞ。

とんとんの股関節の痛みへのアプローチの流れ

ここまでの考え方を、実際の進め方として整理すると、次のような流れになります。

  1. 急いで受診すべきサインを外す夜間の強い痛みや発熱、ケガのあとの痛みなど、先に医療機関をおすすめするサインがないかを最初に確認します。
  2. どこが・どの動きで痛むかを見極める痛む場所と動きを確かめ、痛む動きの最中に押さえて変化を見ながら、関わっている筋を絞り込みます。
  3. 支え役を働かせ、使いすぎをゆるめるお尻の支え役を軽い力で働かせ、引っぱりすぎている太ももの筋肉をゆるめて、はまりの安定を助けます。
  4. 骨盤と日常のクセを整える座り方や立ち方のクセを見直し、負担のかたよりを減らして、戻りにくい状態を目指します。

股関節の痛みは、「はまり」を支える土台から整える

股関節の痛みは、タイプこそさまざまですが、骨盤の傾き・お尻の支え役の弱り・太ももの使いすぎという土台の3要素が重なって『はまり』が浅くなることで起きている場合が多いと考えられます。だからこそ、痛いところをほぐすだけで終えず、支え役を働かせ、使いすぎを休ませ、日常のクセを整える。これがとんとんの股関節へのアプローチです。変化の出方には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。

※本記事は一般的な情報です。症状の感じ方や経過には個人差があります。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、自己判断せず医療機関への受診もご検討ください。

よくある質問

レントゲンで異常なしと言われたのに、なぜ痛むのですか?

股関節の痛みの多くは、骨そのものの変形ではなく、筋肉のバランスや骨盤の傾きによる『はまり』のズレが関わっていると考えられます。これはレントゲンに写らないため、異常なしでも痛みが出ることは珍しくありません。

痛いときは安静にした方がよいですか?

安静にすると楽になることは多いですが、動かさない方がよいという意味ではありません。強い負担は避けつつ、痛みの出ない範囲で適度に動かすことが大切です。変形が進んでいる場合は無理に動かさず、専門家にご相談ください。

足を組む癖は股関節に良くないですか?

いつも同じ側で足を組むと、片方の股関節が長時間ねじれた状態になり、負担のかたよりや痛みの一因になることがあります。左右を替える・組みすぎないのがおすすめです。

変形性股関節症は手術しかないのですか?

進行の程度によります。初期であれば、運動やケアで痛みをやわらげられることも多いと言われています。進行している場合は手術が有効なことが多いですが、時期や方法はご自身の状態・生活に合わせて主治医とご相談ください。

貧乏ゆすりが良いと聞きましたが本当ですか?

座って軽く行う貧乏ゆすり(ジグリング)は、関節内の循環を促し、股関節に良い影響が期待できるとされています。負担が少なく続けやすいセルフケアのひとつです。

股関節の痛みでお困りの方へ

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瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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