股関節を深く曲げると前がつまるのはなぜ?挟み込みと関節の動きの考え方
症状コラム
「股関節がつまる」あの感じ、どう考えるか
あぐらをかく、しゃがむ、膝を胸に抱える。股関節を深く曲げていくと、途中で前のほうがつまって、それ以上いかない感じがすることがあります。痛みというより「引っかかって止まる」感覚です。これは何が起きていて、どう向き合えばよいのかを整理します。
床に座ろうとしたとき、靴下をはこうと脚を抱えたとき、股関節の前あたりがグッとつまって、そこで動きが止まる。無理に押し込むと鈍い痛みが出る。そんな経験はないでしょうか。つまる感じの原因はひとつではありませんが、考え方と、とんとんでの向き合い方をお伝えします。
院で行う、股関節の動きの余裕を引き出すアプローチの様子(施術者向けの実演)。ご自身では無理に行わないでください。
股関節を曲げると、なぜ前でつまるのか
股関節は、太ももの骨の丸い先端(骨頭)が、骨盤側のくぼみ(寛骨臼)にはまり込んだ関節です。脚を深く曲げるときは、骨頭がただ転がるだけでなく、くぼみの中で少し滑り込むような動き(関節の中での小さな遊び)が必要になります。
この「遊び」が少なくなっていると、曲げていく途中で前側の組織が窮屈になり、つまって止まる感じが出やすくなります。原因は、関節まわりの硬さや、骨盤・背骨の向きの影響などさまざまで、一概に決められません。だからこそ、つまる感じがあるからといって、すぐに関節そのものが悪いと決めつけないことが大切です。
「曲げるとつまる」は、必ずしも軟骨がすり減ったサインとは限りません。関節の中での動きの余裕が減っていて、その先まで曲がりにくくなっていることもあります。
ただし、変形がかなり進んでいる場合など、当てはまらないケースもあります。自己判断で強く動かす前に、状態を確かめることが先です。
「軟骨がすり減ったのかも」と決める前に
股関節がつまると、年齢のせいでもう戻らない、と不安になりがちです。患者さんからよく聞かれる声を、まなぶ先生と教子先生に代弁してもらいます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎とんとんでの確認とアプローチ
とんとんでは、まずどの角度でつまるのか、どこに引っかかりを感じるのかを確かめます。そのうえで、動画のように太ももの骨を軸の方向へやさしく引き離す(牽引する)アプローチを行うことがあります。手順の考え方は次のとおりです。
- 脚を抱え、つまる手前の角度まで股関節を曲げて止める
- 太ももの骨の長い軸に沿って、軽く揺らしながらやさしく引き離す(牽引する)
- もう一度曲げてみて、動きの余裕が出ていれば、その先の角度で同じことを繰り返す
こうして動きの余裕を少しずつ引き出していくと、曲げられる範囲が変わってくることがあります。即時に変化を感じやすい方法ですが、どこまでも広がるわけではなく、限界はあります。また、変形が進んでいる場合などは向かないこともあるため、全員に同じように行うわけではありません。
動画は施術者向けの実演です。牽引はかける方向と力加減が難しく、ご自身で無理に引っ張ると、かえって痛める可能性があります。同じことをご自分で行う必要はありません。
自分でできること・気をつけること
家では、無理のない範囲で次のことを意識してみてください。
- つまる手前までやさしく動かして、痛みのない範囲で股関節を動かす習慣をつける
- つまる方向へ反動をつけて押し込んだり、無理にあぐらを深めたりしない
- 長く座ったあとは、立って股関節をゆっくり動かしてから歩き出す
- 痛い場所を強く押し込んだり、グリグリ揉んだりしない
セルフケアは「気持ちよく感じる範囲」が目安です。つまりや痛みが増すなら中止してください。これらで必ず良くなると約束するものではなく、合わない場合もあります。
こんなときは医療機関へ
・安静にしても強い痛みが続く、夜間にうずく
・脚のしびれや力の入りにくさを伴う
・関節が大きく引っかかって動かせない、ロックされる
・歩くと脚を引きずる、左右で開きにくさの差が強い
・転倒や打撲のあとに急に出たつまり・痛み
こうしたサインがあるときは、自己判断せず、整形外科などの医療機関にご相談ください。
瀬谷崎














