内股・がに股は直すべき?股関節の骨のねじれ「前捻角」という個体差
症状コラム
つま先の向き、無理に矯正していませんか
つま先が内に向く、あるいは外に向く。「歩き方のくせ」「姿勢の悪さ」と思われがちですが、太ももの骨のつき方そのものに、生まれつきの個体差があります。股関節の「前捻角(ぜんねんかく)」という角度の話と、とんとんが施術やエクササイズの前にこの角度を確かめる理由を紹介します。
「昔から内股で、直したいんです」「つま先はまっすぐ前に向けるのが正しいんですよね」。院でよくいただくご相談ですが、じつは、その方にとっての「まっすぐ」が、教科書どおりの向きとは限りません。鍵になるのが、太ももの骨のねじれ具合を表す前捻角です。
院で行っている前捻角の確認の様子(施術者向けの実演)。ご自身では無理に行わないでください。
太ももの骨は、少しねじれてついている
太ももの骨(大腿骨・だいたいこつ)の先端は丸い形をしていて、骨盤側の受け皿(寛骨臼・かんこつきゅう)にはまり込んでいます。ただ、まっすぐきれいにはまっているわけではなく、多くの人で、骨の首の部分が少し前にねじれてついています。このねじれの角度を前捻角と呼び、大きさは人によってずいぶん違います。
前捻が強い人は、股関節を内側に少しねじった位置のほうが骨どうしのおさまりがよく、自然とつま先が内を向いて、内股気味に見えることがあります。逆に前捻が浅い人は、つま先が外を向きやすくなります。つまり、つま先の向きは、歩き方のくせや筋力だけでなく、骨のつくりで決まっている部分があるのです。
股関節にとって自然な真ん中の位置(中間位・ちゅうかんい)は、前捻角によって人それぞれ違います。一見内股に見えても、骨格的にはそれがその方にとっての中間位、ということがあります。
「つま先はまっすぐが正しい」と一律に決めてしまうと、その方の骨に合わない向きを無理に作らせてしまうことがあります。
「内股だから直さなきゃ」と決める前に
つま先の向きについて、患者さんからよく聞く声を、まなぶ先生と教子先生に代弁してもらいます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎とんとんでの確かめ方
動画で行っているのは、特別な機械を使わない、手での評価です。流れは次のとおりです。
- 施術ベッドで膝を直角に曲げた姿勢をとってもらい、施術者は太ももの外側の出っ張った骨(大転子・だいてんし)に手のひら全体を当てる
- 膝を支点に、股関節をゆっくり内側にねじっていく
- 手に当てている大転子が、一番外側に出っ張る角度を探して、そこで止める
すねがほぼ垂直の位置で一番出っ張るなら中間的、垂直より手前なら前捻が浅め、垂直を越えて深くねじった位置なら前捻が強め、というのが目安です。
手で確かめる方法なので、数度単位の細かい違いは誤差になります。正確な角度を測るというより、中間的か、極端に浅いか、強くねじれているか、という大まかな傾向をつかむための評価です。そのうえで、その方の中間位に合わせて施術やエクササイズの向きを決めていきます。
自分でできること・気をつけること
家では、次のことを意識してみてください。
- つま先の向きだけを無理にそろえて歩き続けない
- 股関節を外にひらくストレッチで付け根に痛みが出るなら、いったん中止する
- お子さんの内股・がに股が気になるときも、押さえつけて矯正しようとしない
- 向きを変える練習やストレッチは、痛みのない範囲を守る
つま先の向きそのものは、悪さの証拠とは限りません。ただし、痛みを伴う場合や左右差が大きい場合は話が別です。自己流で矯正を続ける前に、状態を確かめることをおすすめします。これらは体調や状態に合わない場合もあり、効果を約束するものではありません。
こんなときは医療機関へ
・股関節や付け根の痛みが続く、夜間にうずく
・脚のしびれや力の入りにくさを伴う
・関節が引っかかって動かせない感じがある
・お子さんが脚の痛みを訴える、歩き方が急に変わった
・転倒や打撲のあとに出た痛み・動かしにくさ
こうしたサインがあるときは、自己判断せず、整形外科などの医療機関にご相談ください。
瀬谷崎













