神経障害性疼痛はなぜ長引きやすいのか

神経障害性疼痛はなぜ長引きやすいのか

神経の痛みは、原因になった組織の問題が落ち着いたあとも残ることがあります。だからこそ、ビリビリ・ジンジンする痛みを「筋肉が硬いだけ」として扱わないことが大切です。

神経障害性疼痛は、慢性化しやすい痛みです。神経可塑性、脱髄、異所性発火、自発痛、アロディニアなどが関わり、早い段階から刺激量と疼痛管理を考える必要があります。

痛みには、いろいろな種類があります。

組織が傷ついたり炎症を起こしたりして出る痛み。

神経そのものの損傷や病変によって出る痛み。

痛みの処理システムが変化して、過敏になっている痛み。

その中でも、神経障害性疼痛は長引きやすく、扱いを間違えるとかなり厄介です。

まなぶ先生
まなぶ先生

神経の痛みって、普通の痛みと何が違うんですか?

瀬谷崎
瀬谷崎

神経そのものの損傷や病変が関わるので、原因が落ち着いても痛みの信号が残りやすいことがあります。ここが難しいところです。

神経障害性疼痛は、神経系の損傷や病変に関わる痛み

神経障害性疼痛は、体性感覚神経系の損傷や病変によって生じる痛みとして整理されます。

たとえば、神経根症、末梢神経障害、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害などが代表的です。

痛みの表現としては、ビリビリ、ジンジン、電撃のような痛み、灼けるような痛み、冷たく痛む感じ、しびれ、チクチクなどが出ることがあります。

ただし、表現だけで決めるわけではありません。

神経の分布、感覚低下、筋力、反射、アロディニア、経過を合わせて疑います。

ここを分ける

患者さんが「しびれ」と言っているだけで神経障害性疼痛とは断定しません。神経障害性疼痛を疑う言葉と、実際の神経所見は分けて確認します。

なぜ長引きやすいのか

神経障害性疼痛が長引きやすい理由は、単に「治りにくい神経だから」ではありません。

神経そのものや、痛みを処理する回路に変化が起きることがあるからです。

神経可塑性
神経系が痛みの入力に合わせて変化し、痛みが残りやすい回路になることがあります。

脱髄
神経の伝達が乱れ、異常な感覚や痛みとして感じられることがあります。

異所性発火
本来の刺激がなくても神経が勝手に興奮し、自発痛につながることがあります。

アロディニア
触れる、冷える、こすれるなど、本来痛くない刺激が痛みとして処理されます。

このような変化があると、原因になった圧迫や炎症が落ち着いたあとも、痛みだけが長く残ることがあります。

だから、神経障害性疼痛では「組織をほぐせば終わり」とは考えにくい場面があります。

自発痛とアロディニアは、介入の難しさを上げる

神経障害性疼痛で厄介なのは、刺激していないのに痛むことがある点です。

これを自発痛と呼びます。

さらに、軽く触れる、服がこすれる、冷たい刺激が当たるだけで痛いアロディニアがあると、普通の施術刺激でもつらく感じることがあります。

神経障害性疼痛が疑われる時は、「刺激すれば良くなる」と考えすぎないことが大切です。

痛い場所を強く押す。

無理に伸ばす。

しびれを散らすために刺激を増やす。

こうした介入が、かえって痛みの警戒を強めることもあります。

下手に手技にこだわらない

ここは少し強めに言いたいところです。

神経障害性疼痛が疑われる時に、手技だけで何とかしようとしすぎるのは危険です。

もちろん、施術や運動が役立つ場面はあります。

でも、神経の痛みでは、刺激量の調整や疼痛管理、医療機関との連携が必要になることがあります。

痛みを速やかに落ち着かせることが、慢性化を防ぐ上で重要になる場合もあります。

介入の優先順位

強いアロディニア、自発痛、灼熱痛、電撃痛、進行するしびれや脱力がある場合は、施術刺激を増やす前に、医療機関での疼痛管理や神経学的評価の必要性を考えます。

整骨院で抱え込むべきではない痛みもあります。

だからこそ、神経障害性疼痛を疑う目を持つことが大切です。

どこを評価するか

神経障害性疼痛を疑う時は、痛みの表現だけでなく、神経所見を確認します。

どの範囲に痛みやしびれがあるのか。

神経の走行やデルマトームと合うのか。

感覚低下はあるのか。

筋力低下や反射の変化はあるのか。

触れるだけで痛いのか、冷刺激で痛いのか。

夜間痛や自発痛があるのか。

  • ビリビリ、電撃痛、灼熱痛、冷たく痛む感じがある
  • 触れる、こすれる、冷えるだけで痛い
  • 感覚低下、筋力低下、反射の変化がある
  • 痛みやしびれが神経の分布に沿っている
  • 痛みが長引き、普通の刺激で悪化しやすい

こうした所見が複数重なる場合、神経障害性疼痛の要素を疑いやすくなります。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、しびれや神経痛のような訴えを、単に筋肉の硬さだけで説明しないようにしています。

患者さんの表現を聞き、神経の分布、感覚、筋力、反射、刺激への反応を確認します。

施術や運動で対応できる範囲なのか。

医療機関での確認や疼痛管理が必要そうなのか。

ここを見極めることを大切にしています。

大切なこと

神経障害性疼痛が疑われる時ほど、刺激量を慎重にします。痛みを我慢させるより、まず神経が過敏になっている可能性を考えます。

神経の痛みは、早めに見極めたい

神経障害性疼痛は、慢性化しやすい痛みです。

神経可塑性、脱髄、異所性発火、自発痛、アロディニアなどが関わると、原因が落ち着いたあとも痛みが残ることがあります。

だから、早い段階で見極めたい。

筋肉をほぐすだけでいいのか。

刺激量を下げた方がいいのか。

医療機関での確認が必要なのか。

この判断が、長引く痛みを防ぐために大切です。

瀬谷崎
瀬谷崎

神経障害性疼痛っぽい時に、手技だけで押し切ろうとしないことです。早めに痛みを落ち着かせる選択肢まで含めて考えたいですね。

参考

  • Finnerup NB, et al. Neuropathic pain: an updated grading system for research and clinical practice.
    PMC
  • Costigan M, Scholz J, Woolf CJ. Neuropathic pain: a maladaptive response of the nervous system to damage.
    PMC
  • Colloca L, et al. Neuropathic pain.
    PMC
  • International Association for the Study of Pain. Allodynia and Hyperalgesia in Neuropathic Pain.
    IASP

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