肩後方の痛みで知っておきたい3つの間隙。間隙はクワドリラテラルスペースだけではない
施術・検査ガイド
肩の後ろの痛みで、見落としたくない通り道
肩の後方には、神経や血管が通る間隙がいくつかあります。有名な四辺形間隙だけでなく、内側腋窩隙や上腕三頭筋裂孔も、肩後方痛や絞扼を考えるうえで知っておきたい部位です。
この記事は、臨床メモをもとに、肩関節後方で形成される間隙を整理したものです。肩後方の痛みやしびれを考えるとき、筋や関節だけでなく、神経・血管が通過するスペースにも目を向けることで、臨床推論の幅が広がります。
結論:肩後方の痛みを見るときは、関節や筋だけでなく、神経・血管が通る後方の間隙も評価の引き出しに入れておきたいところです。
肩後方の痛みは、腱板、関節包、後方組織、肩甲骨運動など、さまざまな要素と関係します。その中で見落としやすいのが、肩関節後方に形成される「間隙」です。
これらの間隙には、腋窩神経、肩甲回旋動静脈、橈骨神経、上腕深動脈などが通過します。つまり、構造を知っておくと、肩後方痛や神経症状、血管性の痛みを考えるときの視点が増えます。
肩後方には神経・血管が通る間隙がある
肩後方の間隙として有名なのは、四辺形間隙(Quadrilateral Space)です。ただ、それだけではありません。内側腋窩隙(Triangular Space)、上腕三頭筋裂孔(Triangular Interval)も、肩後方の解剖を考えるうえで重要です。

| 四辺形間隙 Quadrilateral Space |
上腕三頭筋長頭、大円筋、小円筋、上腕骨で構成されます。 腋窩神経と後上腕回旋動静脈が通過します。 |
|---|---|
| 内側腋窩隙 Triangular Space |
上腕三頭筋長頭、大円筋、小円筋で構成されます。 肩甲回旋動静脈が通過します。 |
| 上腕三頭筋裂孔 Triangular Interval |
上腕三頭筋長頭、外側頭、大円筋で構成されます。 橈骨神経と上腕深動脈が通過します。 |
四辺形間隙だけ見ればいいわけではない
四辺形間隙は、肩後方の絞扼を考えるうえでよく知られています。腋窩神経が通過するため、三角筋周囲の症状や肩外側の感覚、肩関節周囲の機能と関連して考えられることがあります。
ただ、肩後方のスペースは四辺形間隙だけではありません。内側腋窩隙や上腕三頭筋裂孔にも血管・神経が通過しており、痛みやしびれ、血流に関わる症状の背景として考える余地があります。
「肩後方の間隙」と聞くと四辺形間隙に意識が向きやすいですが、通過する組織まで見ると、他の間隙も無視できません。
絞扼部位として見る視点
これらの間隙は、神経や血管が通過する通路です。通路である以上、周囲組織の緊張、滑走不全、姿勢や肩甲骨位置、反復動作などによって、絞扼やストレスが生じる可能性があります。
- 肩後方の深い痛みがある
- 肩後方から上腕にかけて違和感がある
- 外転・外旋・水平伸展などで症状が変化する
- 肩甲骨位置や胸郭の動きによって症状が変わる
- 局所の筋緊張や圧痛だけでは説明しにくい症状がある
肩後方痛を評価するときは、痛む部位だけでなく、どの肢位で神経・血管へのストレスが増えるのか、肩甲骨や上腕骨の位置で症状が変わるのかを確認します。
臨床ではどう活かすか
肩後方の痛みがあるからといって、すぐに神経や血管の絞扼と考える必要はありません。ただ、解剖学的に通過する場所を知っていると、評価で見落としにくくなります。
たとえば肩甲骨の位置、上腕骨の外旋・内旋、外転位、水平伸展位などで症状が変化する場合、肩後方のスペースにかかるストレスを考えるきっかけになります。
肩甲骨運動ともつながる
前回の肩甲骨運動の話と同じように、肩後方の間隙も肩甲骨や上腕骨の位置関係と無関係ではありません。肩甲骨がうまく動けない状態では、肩後方の組織にストレスが集まりやすくなることがあります。
局所だけでなく通過組織を考える
痛みのある場所だけを押したり緩めたりするのではなく、その部位に何が通っているのか、どの動きでストレスが増えるのかを考えることで、評価の精度が上がります。
肩後方痛は「通り道」も見ておく
肩関節後方には、四辺形間隙、内側腋窩隙、上腕三頭筋裂孔といった間隙があります。これらは筋や骨で形成され、神経や血管が通過する場所です。
そのため、肩後方の痛みや違和感を評価するときは、筋・関節だけでなく、神経や血管の通り道としての間隙も視野に入れる必要があります。
とんとん整骨院では、痛みのある場所だけでなく、解剖学的な通過組織、肩甲骨や上腕骨の位置、動作での症状変化を合わせて確認し、症状の背景を多角的に見極めることを大切にしています。













