仙腸関節障害の病態分類において、Grade I・II・IIIで何が違うか

仙腸関節障害の病態分類
Grade I・II・IIIで何が違うか

仙腸関節障害は、進行するフェーズによって見え方が変わります。靭帯刺激痛、靭帯炎、滑膜炎・関節炎という分類を知っておくと、症状の強さや反応の違いを整理しやすくなります。

この記事について

仙腸関節障害の病態分類を整理したものです。ここで扱うGrade分類は、病態を理解し、評価や対応の方向性を考えるための整理です。医療機関での診断や治療方針を置き換えるものではありません。

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伊藤聡史

仙腸関節障害は、進行するフェーズによって分類されます。関節外の病変から進行すると、関節内にまで病変が及びます。

結論:仙腸関節障害は、炎症の有無と病変が関節外か関節内かを意識すると、Gradeごとの特徴を整理しやすくなります。

仙腸関節障害を一つの病態としてまとめてしまうと、症状の強さや反応の違いが見えにくくなります。実際には、関節外の靭帯刺激痛から始まり、炎症を伴う靭帯炎、さらに関節腔内の滑膜炎・関節炎へ進むように分類されます。

この分類を知っておくと、「徒手療法で比較的変化しやすい状態なのか」「炎症への配慮が必要なのか」「骨盤ベルトで悪化する可能性があるのか」といった見通しを立てやすくなります。

病態分類の全体像

資料では、縦軸に炎症の有無、横軸に関節腔外病変と関節腔内病変が置かれています。Grade Iは炎症がない関節腔外病変、Grade IIは炎症を伴う関節腔外病変、Grade IIIは炎症を伴う関節腔内病変として整理されています。

仙腸関節障害の病態分類
仙腸関節障害の病態分類。関節腔外から関節腔内へ、炎症なしから炎症ありへ進むイメージで整理します。
Grade I 靭帯刺激痛。仙腸関節周囲の関節腔外組織が刺激されている状態として考えます。
Grade II 靭帯炎。関節周囲靭帯に炎症が生じ、夜間痛や温熱での増悪などがみられることがあります。
Grade III 滑膜炎・関節炎。関節腔内に炎症が及び、骨盤ベルトで痛みが増悪する場合があります。

Grade I:靭帯刺激痛

Grade Iは、関節不適合による仙腸関節周囲の軟部組織刺激痛として整理されます。仙腸関節に微小な不適合が生じることで、関節周囲の後方靭帯に過緊張が起こり、靭帯組織に分布する神経終末の侵害受容器が刺激されて疼痛が生じる状態です。

この段階では、徒手療法によって比較的容易に関節不適合が解消され、疼痛が軽減する場合が多いとされています。

  • 炎症所見は強くない
  • 関節腔外の靭帯刺激痛として考える
  • 徒手療法で変化が出やすい場合がある
  • 痛みの反応を見ながら、関節適合性や周囲組織の緊張を確認する

Grade II:靭帯炎

Grade IIは、Grade Iの状態が長期間継続した結果、仙腸関節周囲靭帯に炎症が生じている状態です。仙腸関節周囲靭帯の侵害受容器の感受性が高まり、夜間痛、温熱療法による痛みの増悪、気圧の変化での増悪がみられることがあります。

この段階では、徒手療法だけでは改善されない場合が多く、通常は仙腸関節腔外ブロックや局所の冷却によって靭帯炎を軽減した後に、徒手療法や運動療法を行うことが有効とされています。

評価のヒント

夜間痛、温熱での増悪、気圧変化での増悪がある場合は、単なる関節不適合だけでなく、炎症を伴う状態として慎重に扱う必要があります。

Grade III:滑膜炎・関節炎

Grade IIIは、Grade IIの状態が長期間継続し、仙腸関節腔内に炎症を合併して、仙腸関節炎・滑膜炎の状態になることがある段階です。夜間痛、温暖による痛みの増悪、気圧の変化での増悪がみられることがあります。

Grade IIとの大きな違いとして、骨盤ベルトの装着により疼痛が増悪されることが多い点が挙げられます。関節腔内の炎症が疑われる場合、仙腸関節腔内ブロックで症状改善がみられるものが多い一方で、難治性では手術適応となるものもあるとされています。

骨盤ベルトで悪化するかを見る

骨盤ベルトは仙腸関節周囲の安定性を高める目的で使われることがありますが、Grade IIIでは装着によって疼痛が増悪することが多いとされています。つまり、骨盤ベルトで楽になるか、逆に痛みが増えるかは、Grade IIとIIIを分けて考える材料になる可能性があります。

骨盤ベルトで楽になるか、悪化するかは重要な反応です。ただし、それだけで決めるのではなく、夜間痛、温熱での増悪、圧痛、疼痛誘発テストなどと合わせて見ます。

臨床ではどう使うか

Grade分類は、症状の背景を整理するための視点です。徒手療法で変化しやすいGrade I、炎症への配慮が必要なGrade II、関節腔内病変を考えるGrade IIIでは、評価中に見るべき反応が変わります。

特に、痛みが強い時期や夜間痛がある場合に、無理に強い刺激を加えると症状を悪化させる可能性があります。病態のフェーズを考えながら、どの程度介入できる状態かを見極める必要があります。

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伊藤聡史

それぞれのGradeに特徴があり、特に骨盤ベルト装着時の疼痛変化はGrade IIとIIIの鑑別に重要な可能性があります。反応を一つずつ確認して、病態のフェーズを整理することが大切です。

Grade分類は、症状の背景を読むための地図になる

仙腸関節障害は、Grade Iの靭帯刺激痛、Grade IIの靭帯炎、Grade IIIの滑膜炎・関節炎として整理できます。

炎症の有無、関節腔外か関節腔内か、夜間痛や温熱での増悪、骨盤ベルト装着時の反応を確認することで、病態のフェーズを考えやすくなります。

とんとん整骨院では、痛みの場所だけでなく、症状の出方、夜間痛、姿勢、骨盤ベルトでの変化、動作での反応を確認し、状態に合わせた評価を大切にしています。

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伊藤聡史

Grade分類は、痛みの強さだけでなく、炎症の有無や病変が関節腔外か関節腔内かを整理するための視点です。夜間痛、温熱での増悪、骨盤ベルトでの反応を合わせて見ることで、病態のフェーズを考えやすくなります。

伊藤聡史
株式会社とんとん/とんとん整骨院。臨床技術責任者。柔道整復師。

臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」講師。院内では臨床研修責任者として若手の技術指導を担い、論文抄読会の主催など、根拠に基づく施術(EBM)の浸透に取り組んでいる。

監修:瀬谷崎将也
とんとん整骨院代表・柔道整復師

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