ロンベルグ徴候で見るふらつき。開眼と閉眼で何が違うか

目を閉じた時のふらつきは、ただのバランス不良で終わらせない

ロンベルグ徴候は、立位でのふらつきを開眼と閉眼で見比べる検査です。小脳性のふらつきなのか、深部感覚や後索系の情報がうまく使えていないのかを考える入口になります。

ロンベルグ徴候で正常と異常を比較した立位姿勢
ロンベルグ徴候では、足をそろえた立位で開眼・閉眼時のふらつきを確認します。転倒リスクがあるため、検者は必ず近くで支えられる位置にいます。
この記事について

この記事は、とんとん整骨院のロンベルグ徴候に関する臨床メモをもとに作成しています。ロンベルグ徴候は、開眼と閉眼での立位バランスの変化を見て、感覚性失調や小脳性失調の関与を考える検査です。ここでは、検査の目的、開眼・閉眼での見方、評価の注意点、転倒リスクへの対応を整理しています。

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指導統括:髙原

ロンベルグ徴候は、ふらつきの出方を開眼と閉眼で見比べる検査です。転倒リスクがあるので、検者は必ず患者さんの側で支えられる位置にいます。

結論:開眼でもふらつきが強い場合は小脳性の関与を疑う材料になります。開眼では保てるのに閉眼で崩れる場合は、深部感覚・後索系などの関与を考える材料になります。

ロンベルグ徴候とは

ロンベルグ徴候は、立位姿勢でバランスを保てるかを確認する神経学的検査です。足をそろえて立ってもらい、まず開眼で姿勢を保てるかを見ます。その後、閉眼してふらつきが強くなるかを確認します。

バランスは、視覚、深部感覚、前庭機能、小脳などの情報が合わさって保たれています。目を閉じると視覚情報が使えなくなるため、深部感覚や前庭機能の情報に頼る割合が増えます。

Chapter 1開眼でふらつく場合

開眼状態ですでにふらつきが強い場合、視覚情報が使えていても姿勢を保ちにくい状態です。この場合は、小脳性の運動失調や強いバランス障害の関与を疑う材料になります。

ただし、開眼でふらつくから小脳の問題と断定するわけではありません。筋力低下、痛み、めまい、薬剤、血圧、疲労、恐怖心などでも立位は不安定になります。他の神経学的所見や症状と合わせて見ます。

開眼で崩れる場合は、ロンベルグ陽性というより「そもそも立位保持が不安定」と見ます。小脳性の関与だけでなく、痛みや筋力、めまいなども合わせて確認します。

Chapter 2閉眼でふらつきが強くなる場合

開眼では姿勢を保てるのに、閉眼すると大きくふらつく、倒れそうになる。この反応がロンベルグ徴候で大切なポイントです。

閉眼で視覚情報がなくなった時に姿勢が崩れる場合、深部感覚の情報がうまく使えていない可能性を考えます。代表的には脊髄後索、末梢神経、前庭系などの関与を疑う材料になります。

見方の整理

開眼で安定、閉眼で不安定になる場合は、感覚性失調を考える入口になります。閉眼で崩れるからといって一つの原因に決めるのではなく、深部感覚、前庭機能、末梢神経、脊髄後索などを広く見ます。

Chapter 3検査の基本手順

検査では、患者さんに足をそろえて立ってもらいます。まず開眼で姿勢が保てるかを確認し、その後に閉眼してもらいます。ふらつきの大きさ、倒れそうになる方向、足を踏み出すか、体幹がどちらへ崩れるかを見ます。

検査中は、患者さんが急に倒れる可能性があります。検者は正面でじっと見るだけではなく、横や少し後方など、すぐ支えられる位置にいる必要があります。

確認場面 見ること 考え方
開眼 足をそろえて立てるか、左右に崩れないか 開眼で不安定なら小脳性の関与や全体的な立位不安定を考える
閉眼 閉眼後にふらつきが強くなるか、倒れそうになるか 視覚で代償できない深部感覚・後索系などの関与を考える
安全管理 転倒しそうな時にすぐ支えられるか 検査の正確さよりも、まず転倒を防ぐことを優先する

Chapter 4転倒リスクを甘く見ない

ロンベルグ徴候の注意点は、検査そのものが転倒リスクを伴うことです。閉眼した瞬間にバランスを崩すこともあります。

患者さんの前だけに立っていると、後方や斜め方向へ崩れた時に支えきれないことがあります。検者は患者さんの側に立ち、必要なら両肩や体幹をすぐ支えられる距離で行います。

  • 検査前に「ふらついたら支えます」と説明する
  • 周囲にぶつかる物がないか確認する
  • 検者は患者さんのすぐ側に立つ
  • 強いふらつきがある場合は無理に閉眼まで進めない
  • 高齢者、めまい、下肢筋力低下がある場合は特に慎重に行う
安全管理

ロンベルグ徴候は、倒れるかどうかを試す検査ではありません。転倒しそうな反応が出た時点で支え、検査を中止する判断も大切です。

Chapter 5他の所見と合わせて見る

ロンベルグ徴候だけで、原因を一つに決めることはできません。ふらつきの背景には、小脳性の問題、深部感覚の低下、末梢神経障害、前庭機能、筋力低下、薬剤、全身状態など、さまざまな要因があります。

整骨院で見る場合は、歩行、片脚立位、深部感覚、下肢筋力、しびれ、めまい、眼振、頭痛、ろれつ、手足の麻痺などを合わせて確認します。急なふらつきや神経症状を伴う場合は、施術で様子を見るより医療機関での評価を優先します。

見逃したくない所見

急にふらつきが出た、ろれつが回りにくい、片側の麻痺やしびれがある、強い頭痛やめまいを伴う。このような場合は、ロンベルグ徴候の結果に関係なく医療機関での評価を考えます。

開眼と閉眼の差を見る

ロンベルグ徴候で大切なのは、ただ「ふらついたかどうか」ではありません。開眼でどうか、閉眼でどう変わるか、その差を見ます。

開眼でも不安定なら小脳性の関与や全体的な立位不安定を考えます。開眼では保てるのに閉眼で崩れるなら、深部感覚や後索系、前庭系などの関与を疑う材料になります。

ふらつきを見る検査ほど、支える準備が必要

ロンベルグ徴候は、ふらつきの原因を考えるうえで役立つ検査です。開眼と閉眼の反応を分けて見ることで、小脳性の関与なのか、感覚入力の問題なのかを考える手がかりになります。

ただし、検査中に転倒するリスクがあります。検者は必ず患者さんの側に立ち、必要な時にすぐ支えられる位置で行います。評価は大切ですが、まず安全に検査できることが前提です。

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指導統括:髙原

ロンベルグ徴候は、検査中にふらつくことを前提に準備します。結果を見る前に、まず転倒させない位置取りが大切です。

補足

ロンベルグ徴候は、古典的には開眼で立てるのに閉眼で崩れる反応を感覚性失調の所見として扱います。開眼でも不安定な場合は、ロンベルグ陽性というより、小脳性の関与や別の立位不安定として他所見と合わせて見ます。

髙原佑輔
株式会社とんとん/とんとん整骨院。店舗統括・物理療法指導責任者。柔道整復師。

2014年より整形外科に勤務し、骨折・捻挫など多数の外傷症例を経験。勤務先で出会った患者の「私、ここの病院に30年通ってるの」という一言をきっかけに、「症状を抑え続ける」のではなく「通院に頼らない身体づくり」を追求するようになる。その後、大手整骨院グループの技術統括責任者を経て現職。現在は、とんとん整骨院グループを統括し、物理療法の品質管理・スタッフ指導を担うほか、noteでは物理療法やテーピングに関する技術情報の発信にも取り組んでいる。

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