入社3年目で研修を任される人は何が違うのか?伊藤先生の学び方と信頼の理由
セラピスト向け
任せたくなる人は、点数の先を見ている
研修担当を任せられる人は、ただ知識量が多い人ではありません。何を学び、どう整理し、どう現場に返すか。そこに、その人の信頼される理由が出ます。
優秀さは、暗記力だけでは測れません。テストに受かることより、なぜそう考えるのかを理解し、臨床や後輩指導に使える形で整理できるか。そこが大きな差になります。
とんとん整骨院には、伊藤先生というスタッフがいます。
入社3年目で、臨床研修やペーパーテストの採点を任されるようになった先生です。
こう書くと、もともと勉強が得意で、学生時代から優等生だった人を想像するかもしれません。
でも、話を聞いていると少し違います。
すごいのは、知識量そのものよりも、学び方です。
テストのために覚えるのではなく、現場で使えるように理解する。ひとつの情報を絶対視せず、複数の視点から考える。分からない部分をそのままにしない。
地味ですが、こういう積み重ねが、研修を任せられる信頼につながっているのだと思います。

まなぶ先生

瀬谷崎
テストの点数だけでは、優秀さは分からない
新人研修では、ペーパーテストを行います。
もちろん点数は大事です。知識が入っているかを確認するためには、ある程度の基準が必要です。
ただ、点数が高いだけで臨床ができるとは限りません。
覚えるのが上手い人はいます。テストに出そうなところを拾うのが上手い人もいます。
でも、患者さんの前では、問題文は出てきません。
その場で聞き、考え、説明し、必要な判断をする必要があります。
テストで正解できることと、臨床で使えることは似ているようで違います。
伊藤先生が面白いのは、資料に書いてあることだけでなく、講義中に出た補足や、その背景まで拾っているところです。
「ここを覚えれば合格できる」ではなく、「ここが分からないと臨床で使えない」と見ている。
だから、回答の厚みが違う。
少し辛口に言うと、テストに受かるためだけの勉強は、現場に出た瞬間に薄さが出ます。
逆に、プロセスまで理解している人は、患者さんへの説明にも後輩への指導にも強いです。
ひとつの情報源だけで決めつけない
伊藤先生の学び方で大事だと思うのは、ひとつの情報源だけで決めつけないところです。
本を読む。別の本も読む。論文も見る。人の話も聞く。
その上で、自分なりに整理する。
これは簡単なようで、けっこう手間がかかります。
でも、この手間をかけないと、ひとつの考え方に引っ張られすぎます。
大事なのは、情報をたくさん集めることだけではありません。違う情報が出てきた時に、どこが一致していて、どこがズレているのかを整理することです。
臨床では、断言したくなる場面がたくさんあります。
「これは〇〇が原因です」
「この方法が一番です」
「この検査が陽性だから、こうです」
でも実際には、身体の状態はもっと複雑です。
だから、複数の情報を見て、不確実性を残しながら判断する力が必要になります。
統計を分かっている人は、断言が慎重になる
研修を任せる上で、統計の考え方を分かっていることは大きいです。
統計が分かると、言葉が少し慎重になります。
これは弱気になるという意味ではありません。
むしろ、臨床で誠実になるということです。
検査の結果、研究の結果、施術の変化。どれも100%ではありません。
可能性が高い、低い。関与が疑われる。現時点ではこう考える。経過を見て修正する。
こういう言い方ができるかどうかで、説明の質は変わります。

まなぶ先生

瀬谷崎
後輩に教える時、強く言い切った方が分かりやすく見えることがあります。
ただ、分かりやすさのために不確実性を消しすぎると、臨床判断が雑になります。
伊藤先生に研修を任せたいと思えるのは、そのあたりの温度感が合っているからです。
丸暗記では、後輩に教えられない
自分がテストに受かるだけなら、暗記でも何とかなるかもしれません。
でも、後輩に教えるとなると話は変わります。
なぜそう考えるのか。
どこまで言ってよくて、どこからは言いすぎなのか。
臨床では、どういう順番で使うのか。
ここまで説明できないと、研修としては弱くなります。
| 学習の状態 | 現場で起きやすいこと | 研修担当に必要な視点 |
|---|---|---|
| 丸暗記している | 想定外の質問に弱い | 背景や理由まで説明できるようにする |
| ひとつの情報を信じきる | 患者さんや後輩に断言しすぎる | 複数の情報を比べて整理する |
| テスト合格が目的になる | 臨床で使えない知識になる | 現場でどう使うかまでつなげる |
| 説明が感覚的になる | 教える人によって内容がバラつく | 判断のプロセスを言語化する |
教える側に立つと、自分の理解の浅さが見えます。
だから、研修担当はただ知っている人ではなく、考え方を言葉にできる人でないと難しいです。
とんとん整骨院が大切にしていること
とんとん整骨院では、研修を「マニュアルを覚える時間」だけにはしたくありません。
もちろん、基礎知識や手順は必要です。
でも、それだけでは患者さんの前で対応できません。
症状の出方は人によって違います。生活背景も違います。検査の反応も、毎回きれいに教科書通りには出ません。
だから、考える力が必要になります。
伊藤先生のように、情報を集め、整理し、臨床にどう使うか考える人が研修に入ることで、院全体の基準も少しずつ上がっていきます。
知識量だけではなく、言い切りすぎない慎重さ、患者さんに伝える言葉の選び方、後輩が自分で考えられるようにする説明力。こういう部分も研修では大切にしています。
抄読会や統計の学びを、院の文化にしていく
今後、とんとん整骨院では、論文の読み方や統計の知識もさらに研修に入れていきたいと考えています。
これは、難しい言葉を覚えるためではありません。
検査や施術の情報を、強く言いすぎず、弱く見積もりすぎず、ちょうどよく扱うためです。
論文を読めるようになると、流行りの情報に振り回されにくくなります。
統計が分かると、検査結果や研究結果を「どこまで信じていいか」考えられるようになります。
これは患者さんへの説明にもつながります。
不安をあおるのではなく、根拠と限界を踏まえて伝える。分からないことは、分からないまま丁寧に扱う。
そういう文化を作ることが、院としての強さになると思っています。
任される人は、見えないところで積み上げている
伊藤先生が研修を任されるようになったのは、特別な一発芸があったからではありません。
見えないところで読んで、考えて、整理して、現場に返す。
その積み重ねが、周りからの信頼になっています。
若手の先生にとっても、これは大事なヒントだと思います。
テストに受かることはゴールではありません。
知識を覚えることもゴールではありません。
その知識を、患者さんの前でどう使うか。後輩にどう伝えるか。自分の判断をどう更新していくか。
そこまで考えられる人が、少しずつ任される人になっていきます。

瀬谷崎













