走ると膝の内側が痛い、ランニングで出る膝の痛みをどう考えるか。症例をスタッフで検討

走ると出る膝の内側の痛み、なぜ「足首の動きとお尻の力」に着目したのか

1つの症例を、担当した中村拓真先生(とんとん整骨院 東武練馬店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。走ったり階段を上ったりすると出る膝の内側の痛み。膝そのものでなく、足首の動きとお尻の支える力に出どころを見た判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、ランニングを習慣にしている20代の女性。前の晩から、走るときや階段を上るときに膝の内側が痛むようになった方の症例です。事実と結果から見ていきます。

症例カルテ:走ると出る膝の内側の痛み、足首の動きとお尻の力に着目
今回検討する症例(担当:中村先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=走る・階段を上るときに出る膝の内側の痛み(20代・女性)。背景=ランニングを習慣にしており、前の晩から走る動作や階段の上りで痛むようになった。所見=ランジ動作で膝の内側に痛み、足首を反らす動き(背屈)の制限、お尻(臀部)の支える力の低下、太ももの外側(大腿筋膜張筋)の張り、着地のときに膝が内側へ入りやすい傾向。とらえ方=足首の動きにくさとお尻の支える力の低下により、着地のたびに膝が内へ向かい、膝の内側に負担が集まっていたと考えた。対応=股関節・足首まわりの押圧、ハイボルテージ、お尻(大腿筋膜張筋・大殿筋)のトレーニング、太もも外側のストレッチ、着地の意識づけ。経過=日常で感じていた膝の痛みが和らぎ、走ったあとの負担も気になりにくくなった。現在は再発予防のメンテナンスを継続。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

走ると膝の内側が痛む、原因は足首とお尻の働きか

主訴は走ると出る膝の内側の痛み。けれど中村先生は、膝そのものより、足首の動きとお尻の支える力に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

中村先生中村先生

主訴は、走ったり階段を上ったりすると出る膝の内側の痛みでした。所見をとると、足首を反らす動きが硬く、お尻の支える力も落ちていました。走って着地するたびに、膝が内側へ入りやすくなっていたんです。痛む膝そのものより、その動きを支える足首とお尻に出どころがあるのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

膝の内側が痛いと、膝そのものを痛めたように思えます。それでも足首やお尻に目を向けたのはなぜですか。

中村先生中村先生

走る動きは、膝だけでなく、足首のクッションとお尻の支えで分担しています。足首が硬くてお尻が働きにくいと、着地の衝撃を膝が受けやすく、膝が内へ入って内側で擦れる負担が増える。ランジ動作で内側に痛みが出た所見とも一致したので、まずその仮説で進めました。

趣味のランニングを、続けながら治していけるか

この方は、できればランニングを続けたい、という希望がありました。そこを確かめます。

教子先生教子先生

趣味を続けたい、という希望なんですよね。念のため、膝が腫れる・熱をもつ、膝に力が入らない・膝くずれ、安静にしても強く痛む、転倒やひねったきっかけといった、急いで受診すべきサインは外せていましたか。

中村先生中村先生

そこは確認しました。強い腫れや熱感、膝くずれ、安静時の強い痛みはなく、ひねった・ぶつけたきっかけもありませんでした。痛みは走る・しゃがむ動作で再現しました。こうしたサインがあれば医療機関の受診をご案内します。今回はそれらがないことを確かめたうえで、続けたい気持ちを大事にしながら進めました。

瀬谷崎瀬谷崎

痛いからと走るのを完全にやめると、今度は体力や走る感覚が落ちてしまう。危ないものを外したうえで、距離や頻度を一度調整しつつ、足首とお尻が分担できるようにしていく。同じ走る動作でも膝に集まる負担は小さくできます。続けながら整える、という方向が妥当だと思います。

膝の内側に強い体にするための介入と経過

膝を直接ケアするだけで終わらせない、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

膝そのものでなく、足首やお尻のほうから整えていったんですね。

中村先生中村先生

はい。硬くなっていた足首まわりや太ももの外側をゆるめて、足首が動きやすいようにしました。あわせてお尻を使えるようにして、着地で膝が内へ入りすぎないように。走り方やセルフケアも一緒に続けてもらって、日常の痛みがまず和らぎ、走ったあとの負担も気になりにくくなっています。

瀬谷崎瀬谷崎

膝の内側の痛みの出どころを、膝そのものでなく、足首の動きとお尻の支える力に戻して整えにいっているのが要点ですね。分担できれば、同じ走る動作でも膝に集まる負担が小さくなる。落ち着いた経過もその方向を支持しています。ただ繰り返し走る趣味なので、足首とお尻の準備は続ける前提で見ていきたいところです。

考察:足首の動きとお尻の力からとらえる、走ると出る膝の内側の痛み

所見という事実(足首を反らす動きの制限・お尻の支える力の低下・着地で膝が内へ入る傾向・ランジ動作での内側の痛み)と、経過という結果(日常の膝の痛みが和らぎ、走ったあとの負担も気になりにくくなり、ランニングを続けられていること)。この両方が、「膝そのものでなく、足首の動きとお尻の力に出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。走ると膝の内側が痛むのは、足首のクッションとお尻の支えが足りない分を膝が受け、内へ入って擦れるため。その場をケアするだけで終わらせず、足首とお尻が分担できるように整える。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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