腕を上げると肩の一点が痛い。支えながら動かすと変わることがあるのはなぜ?
症状コラム
動かすと痛い肩に、支えながら動かすという選択肢
腕を上げるとある角度で肩が痛む。そんなとき、肩の関節の骨の頭(上腕骨頭、じょうわんこっとう)が動きに合わせて前へ滑りすぎているパターンがあります。骨頭を正しい位置に支えながら動かすと、その場で痛みが軽くなり、腕が上げやすくなることがあります。マリガンコンセプトという徒手療法の考え方です。
腕を上げると肩が痛いと、動かさない方がいいのか、我慢して動かした方がいいのか、迷う方が多いです。肩の痛みには色々なタイプがありますが、その中に、動かすときに骨頭が前へ滑りすぎて痛むタイプがあります。そういう肩に、支えながら動かすとどうなるのかを整理します。
院での肩関節痛へのアプローチ(マリガンコンセプト)の様子(施術者向けの実演)。ご自身では無理に行わないでください。
腕を上げると痛い肩、何が起きている?
肩は、腕の骨の頭(上腕骨頭)が、肩甲骨側の受け皿の上で転がったり滑ったりしながら動きます。この関節の中の細かな滑りは、副運動(ふくうんどう)と呼ばれます。腕を上げる動きに合わせて、この骨頭がわずかに前へ滑りすぎてしまうと、その動きの一部の角度で痛みが出ることがあります。
この場合、痛いのは肩全体というより、腕を上げていく途中の決まった角度です。痛みの原因が骨頭の滑りすぎにあるなら、その滑りを整えれば、痛みの出方が変わるかもしれない、という発想が出てきます。
「もっと動かせばいい」と思う前に
肩が痛むと、動かし方に迷いが出ます。患者さんからよく聞かれる声を、まなぶ先生と教子先生に代弁してもらいます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎とんとんでの確認とアプローチ
とんとんでは、次のような順番で確認しながら進めます。無理に動かすのではなく、その場で変化があるかを一つずつ確かめていきます。
- まず腕を上げてもらい、どの角度で肩が痛むのかを確認します。
- 施術者が骨頭を前から手のひらで支え、正しい位置に整えた状態で、もう一度腕を上げてもらいます。痛みが減るか、さっきより上がるかを確かめます。
- 支えたまま、痛かった上げ下げの動きを、患者さん自身に何回か繰り返してもらいます。
- 手を離した状態で、もう一度同じ動きをやってもらい、痛みや動かしやすさが変わったかを確認します。
骨頭を支えるときは、手首に近い硬い部分の一点で強く押すと、押された場所自体が痛くなってしまいます。手のひら全体で面として、均等に支えるようにします。押し込むのではなく、滑りすぎを防ぐように支えるのがポイントです。
動画は施術者向けの実演です。ご自身で同じ手技を行う必要はありません(強く押しすぎて、かえって痛める可能性があります)。
支えながら動かすと、なぜ変わることがあるの?
骨頭を正しい位置に整えた状態で、痛くない動きを自分の力(自動運動、じどううんどう)で繰り返すと、体はその動きを「痛くない動き」として覚え直していきます。動かす筋肉どうしのタイミングや連携が整い、痛みに対する過敏さがやわらぐことも背景にあると考えられています。
その場で変化が出ることもあれば、出ないこともあります。骨頭の滑りが痛みの主な原因でない場合は、この方法だけでは変わりません。だからこそ、支えて動かして、変化を一つずつ確かめながら進めます。合わないと感じたら別の見方に切り替えます。
自分でできること・気をつけること
家では、無理のない範囲で次のことを意識してみてください。
- 痛みが強く出る角度で、無理に腕を上げ下げして繰り返さない
- 痛い場所を強く押し込んだり、グリグリ揉んだりしない
- 動画の手技を自分や家族に見よう見まねで行わない
- 痛みが落ち着いている範囲で、肩を軽く動かす習慣は続ける
セルフケアは「痛みが増えない範囲」が目安です。痛みが強まるなら中止してください。これらで必ず良くなると約束するものではなく、合わない場合もあります。
こんなときは医療機関へ
・安静にしても強い痛みが続く、夜間にうずいて眠れない
・転倒や打撲、腕を強くひねったあとに急に出た痛み
・腕や手のしびれ、力の入りにくさを伴う
・肩がほとんど上がらない、あらゆる方向で動かしにくい
こうしたサインがあるときは、自己判断せず、整形外科などの医療機関にご相談ください。骨や腱、神経の問題が隠れていることもあります。
瀬谷崎













