回内回外試験とは?変換運動障害(小脳性運動失調)を確認する検査の見方

手の返しが速く正確に続くか。
反復動作から小脳機能を見る

回内回外試験は、素早い反復動作の正確さを見る神経学的検査です。手のひらを返す動きをリズムよく繰り返せるか、リズムの乱れ、ぎこちなさ、左右差を見ます。

この記事について

この記事は、小脳性の運動失調を確認する検査である回内回外試験について整理したものです。手のひらを返す動きを素早く繰り返してもらい、リズムの乱れやぎこちなさを見ます。うまく続けられない状態は変換運動障害として整理され、上肢を見る鼻指鼻試験や下肢を見る踵膝試験と合わせて、協調運動の乱れを評価する手がかりになります。

著者アイコン 髙原佑輔

回内回外試験は、素早い切り返しがリズムよく続くかを見る検査です。速さよりも、リズムが一定か、動きが崩れないか、左右で差がないかを見ることが大切です。

結論:回内回外試験は、手のひらを返す反復動作から、小脳性運動失調による変換運動障害を確認する検査です。

回内回外試験は、患者さんに手のひらを上に向けたり下に向けたりする動きを、片方の手のひらや太ももの上で素早く繰り返してもらう検査です。切り返しを速く正確に続けられるか、といった反復動作の協調性を確認します。

小脳の働きに問題があると、リズムが不規則になる、動きが遅くぎこちなくなる、切り返しが崩れる、といった反応が出ることがあります。こうした反応は変換運動障害、または拮抗運動反復不能として整理されます。上肢の鼻指鼻試験、下肢の踵膝試験と並ぶ、小脳機能を見る代表的な検査の一つです。

回内回外試験とは?

回内回外試験は、素早い反復動作の正確さを確認する検査です。手のひらを返す動き、つまり回内と回外を交互に、リズムよく素早く繰り返せるかを見ます。神経学的検査の中では、小脳機能を確認する代表的な検査の一つです。

検査名の通り、前腕を回内、回外させます。反対側の手のひらや自分の太ももを台にして、手のひらの表と裏を交互に当ててもらうと、リズムの乱れが分かりやすくなります。

主な目的 小脳性運動失調による変換運動障害や、反復動作の協調性の乱れを確認します。
見る動き 前腕の回内と回外を素早く繰り返す動作です。リズム、なめらかさ、速度、左右差を確認します。
陽性として見る反応 リズムが不規則になる、動きが遅くぎこちない、切り返しが崩れる、左右差があるなどです。

回内回外試験は「速く動かせるかどうか」だけを見る検査ではありません。リズムが一定に保てるか、動きが崩れないか、左右差はないかまで見ます。

変換運動障害と小脳の関係

小脳は、運動の正確さ、タイミング、力加減、協調性に関わります。特に、素早く切り返す反復動作では、動きのタイミングとリズムを整える働きが求められます。小脳の働きに問題があると、この切り返しがうまく続かなくなることがあります。

回内回外試験で見られる代表的な所見が、リズムが不規則になる、動きが遅くなる、切り返しのたびに動きが崩れる、といった反応です。これらは変換運動障害として整理されます。

変換運動障害 回内と回外の切り返しがリズムよく続かず、不規則でぎこちなくなる反応です。小脳性運動失調を考える代表的な所見です。
動作の緩慢さ 反復のスピードが上がらず、全体に遅くもたつく反応です。
分解運動 本来なめらかに切り返す動作が、いくつかの動きに分かれるようにぎこちなくなる反応です。

回内回外試験のやり方

回内回外試験は、患者さんに座ってもらって行うことが多い検査です。片方の手のひらや太ももを台にして、もう一方の手の表と裏を交互に素早く当ててもらいます。

  1. 姿勢を整える患者さんに座ってもらい、肩や腕に余計な力が入らない姿勢を作ります。肩や肘の痛み、可動域制限がないかも確認します。
  2. 動きを説明する手のひらを上に向けたり下に向けたりする動きを、検者が見本を見せて説明します。台にする手のひらや太ももを決めます。
  3. 素早く繰り返す手のひらの表と裏を、台の上で交互に素早く当ててもらいます。リズムが一定か、動きが崩れないかを確認します。
  4. 左右で比較する片側ずつ実施し、左右差を確認します。どちらか一方だけリズムが乱れる、遅い、ぎこちない場合は所見として整理します。
  5. 続けて確認する数秒間続けてもらい、途中でリズムや正確性が崩れないかを確認します。無理のない速さから始めます。
注意点

患者さんが動きを理解できているか、肩や肘の痛み、可動域制限で動作が制限されていないかも確認します。検査のぎこちなさが、純粋な協調運動の問題なのかを見極めるためです。

陽性所見として見る反応

回内回外試験で陽性として見たいのは、素早い切り返しがリズムよく続かない反応です。単に少し遅いことだけで陽性とするのではなく、リズムの乱れや左右差、動きの崩れ方を確認します。

  • 切り返しのリズムが不規則になる
  • 動きが遅く、もたついて見える
  • 切り返しのたびに手の向きが崩れる
  • 動きがなめらかではなく、分解されるように見える
  • 続けるうちにリズムや正確性が崩れていく
  • 左右で明らかにリズムや速さが違う

回内回外試験で大切なのは、リズムの乱れ、動きの崩れ、緩慢さ、左右差をセットで見ることです。

リズムの乱れは左右差で見る

両側とも同じようにぎこちないのか、片側だけ目立つのかで意味が変わります。片側だけ明らかにリズムが乱れる場合は、同側の小脳半球やその連絡路の関与を考える材料になります。上肢の鼻指鼻試験や下肢の踵膝試験と合わせて見ると、失調の広がりを整理しやすくなります。

速さよりもリズムの安定を見る

患者さんに速く動かしてもらうと、健常でも多少はもたつくことがあります。まずは無理のない速さでリズムが保てるかを見て、そのうえで速度を上げたときや反復で崩れるかを確認します。

小脳以外の影響も考える

回内回外試験でぎこちなさが出たからといって、すべてを小脳性運動失調と決めることはできません。筋力低下、感覚障害、痛み、可動域制限、理解の問題、動きの遅さを起こす他の病態などでも動作が乱れることがあります。

筋力低下 前腕を素早く動かす力が弱いと、反復が遅くもたつきます。MMTや日常動作も合わせて確認します。
感覚障害 深部感覚の低下があると、手の向きを正確に把握しにくくなります。知覚検査や位置覚も参考にします。
痛み・可動域制限 肩や肘の痛み、可動域制限があると、動作がぎこちなく見えることがあります。
動作の緩慢さ 基底核の障害など、全体に動きが遅くなる病態でも反復がもたつくことがあります。動きの質を合わせて見ます。
整理

回内回外試験は小脳性運動失調を疑う手がかりになりますが、単独で原因を決める検査ではありません。筋力、感覚、痛み、可動域、動きの質、病歴と合わせて読みます。

急な運動失調は慎重に見る

回内回外試験で明らかなぎこちなさがあり、それが急に出た症状であれば注意が必要です。小脳や脳幹の血管障害など、中枢神経系の問題が背景にある可能性も考えます。

特に、めまい、ふらつき、ろれつが回りにくい、飲み込みにくい、片側の手足の脱力やしびれ、強い頭痛などを伴う場合は、早急に医療機関での確認が必要になることがあります。

重要

急に手の動きがぎこちなくなる、歩けないほどふらつく、ろれつが回らない、片側の脱力やしびれがある、強い頭痛を伴う場合は、まず医療機関での確認が必要です。

関連症状:こんな訴えと合わせて見る

  • 手先の細かい動きがぎこちなくなった
  • ボタンやはしなど、素早い切り返しの動作がしにくい
  • 片側だけ手の動きがぎこちない
  • 歩行時のふらつきやバランス低下がある
  • めまい、ろれつの回りにくさ、飲み込みにくさがある
  • 急に協調運動が乱れたように感じる

回内回外試験は「リズムの安定」を見る検査

回内回外試験は、小脳性運動失調による変換運動障害を確認するための検査です。手のひらを返す反復動作の中で、リズムの乱れ、動きの崩れ、緩慢さ、左右差を確認します。

ただし、ぎこちなさがあるからといって、すぐに小脳だけの問題と決めるわけではありません。筋力低下、感覚障害、痛み、可動域、動きの質なども結果に影響します。

とんとん整骨院では、動きの乱れだけを切り取るのではなく、症状の経過、左右差、歩行時のふらつき、筋力、感覚、他の神経学的所見を合わせて確認し、必要な場合は医療機関での確認につなげることを大切にしています。

著者アイコン 髙原佑輔

回内回外試験は、やり方はシンプルですが、見ている内容は大事です。リズムの乱れ、崩れ方、左右差、急に出た症状かどうかまで確認して、必要なら中枢神経系の評価につなげます。鼻指鼻試験や踵膝試験と合わせると、失調の広がりを整理しやすくなります。

髙原佑輔
株式会社とんとん/とんとん整骨院。店舗統括・物理療法指導責任者。柔道整復師。

2014年より整形外科に勤務し、骨折・捻挫など多数の外傷症例を経験。勤務先で出会った患者の「私、ここの病院に30年通ってるの」という一言をきっかけに、「症状を抑え続ける」のではなく「通院に頼らない身体づくり」を追求するようになる。その後、大手整骨院グループの技術統括責任者を経て現職。現在は、とんとん整骨院グループを統括し、物理療法の品質管理・スタッフ指導を担うほか、noteでは物理療法やテーピングに関する技術情報の発信にも取り組んでいる。

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