半月板を評価する。神経分布・損傷形態・円板状半月と、アンハッピートライアドの実際
セラピスト向け
半月板を「損傷の有無」だけで見ない
半月板というと内側・断裂の有無に目が行きますが、神経分布・損傷形態・円板状半月のような形態異常まで視野に入れると、痛みや不安定感の読み方が変わります。受傷機転と合併損傷も教科書通りとは限りません。前十字靭帯(ACL)損傷の評価はACLの記事に送り、ここでは半月板そのものに絞ります。
半月板を、痛みの源・損傷形態・形態異常・合併損傷という複数の角度から立体的に評価する視点で整理します。
半月板の神経分布(痛みの出どころ)
半月板は辺縁の血行帯(レッドゾーン)に神経も分布します。内側半月は前節部が伏在神経、後節部が脛骨神経。外側半月は前節部が腓骨神経、後節部が脛骨神経の支配を受けます。中央から内側寄り(ホワイトゾーン)は乏血・乏神経で、痛みは主に辺縁から出ます。
変形性膝関節症の患者では、これらの神経分布に変化があるという報告もあり、半月が疼痛の要因になり得ます。変形性膝関節症は未解明な点も多いので、半月板を「クッション」だけでなく痛みの発生源にもなるという角度から見直すと、膝痛の評価が一面的になりにくいです。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎損傷形態と受傷機転:アンハッピートライアドの実際
ニーイントゥアウト(外反と下腿外旋)で前十字靭帯・内側側副靭帯を損傷するとき、同時に傷むのは内側半月とは限りません。論文をみると、実際には外側半月の損傷が多く、損傷形態は圧挫されたような多断裂が多いと報告されています。
学校で習う「アンハッピートライアド=ACL・MCL・内側半月」のイメージとは、ここがずれます。受傷機転で外側半月の圧挫を念頭に置くと、合併損傷を見落としにくくなります。教科書の型と論文の所見が食い違う代表例として覚えておくと役立ちます。
内側側副靭帯と半月の連結(なぜ内側が語られるか)
内側側副靭帯(MCL)は浅層(sMCL)と深層(dMCL)に分かれ、深層は内側半月の中節に強く結合します(半月大腿線維束と半月脛骨線維束に大別できます)。浅層は前縦走線維と後斜走線維からなり、後斜走線維は内側半月や半膜様筋と連結します。この解剖的な連結があるため、内側の外傷では靭帯と半月が一緒に語られます。ただし前述の通り、ACL受傷時の合併は外側半月が多い点と混同しないことが大切です。
形態異常:円板状半月(Watanabe分類)
円板状半月は、半月が三日月形でなく円板状に肥厚した形態異常で、外側に多く、若年でも症状を出します。Watanabe(ワタナベ)分類では次のように分けます。
- 完全円板状半月:脛骨関節面を完全に覆うもの
- 不完全円板状半月:正常より大きいが、脛骨軟骨面の被覆が80%未満のもの
- Wrisberg(リスバーグ)型:大きさに関わらず、半月後方の骨性付着部が欠損し、Wrisberg靭帯のみで半月後方が付着しているもの
Wrisberg型は後方の固定が弱く、過可動性半月(ハイパーモバイルメニスカス)の要因になります。若年の弾発感やクリックでは、円板状半月とくに後方付着の問題を念頭に置きます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎評価の組み立て
- 関節裂隙の圧痛:前節・後節、内側・外側で部位を分ける
- 誘発:McMurray(マックマレー)、Thessaly(テサリー)などの回旋負荷テスト
- 機械的症状:ロッキング、引っかかり、弾発感(形態異常や逸脱を示唆)
- 受傷機転:ニーインでの外反と回旋では外側半月の合併を念頭に
- 合併損傷:ACL・MCLの所見を併せて評価する(ACL損傷の評価)
半月板テストも単独では確定できません。圧痛部位・回旋負荷での再現・機械的症状を組み合わせ、受傷機転と合併損傷を含めて読みます。ロッキングや強い嵌頓があれば整形外科へつなぎます。
半月板の損傷形態や形態異常の確定には画像が要ります。徒手所見は「どこが痛むか・機械的症状があるか・合併が疑わしいか」を整理して、必要な人を整形外科へ渡すためのものです。ロッキングや明らかな不安定感は早めに紹介します。
半月板を「痛みの源・形態・合併」で立体的に見る
半月板は辺縁に神経が分布して痛みの源にもなり、ACL受傷時の合併は外側半月が多く、円板状半月のような形態異常は若年の機械的症状の背景になります。圧痛部位・回旋負荷・機械的症状を組み合わせ、合併損傷と形態を視野に評価します。













