マクマレーテストとは?半月板損傷をみる検査精度(尤度比)の読み方
施術・検査ガイド
クリックや痛みの再現で半月板をみる。
他の所見と合わせて読む誘発テスト
マクマレー(McMurray)テストは、半月板損傷を疑うときに用いられる誘発検査です。やり方に加えて、感度・特異度・尤度比といった検査精度をどう読むか、そして問診や他の所見と組み合わせる考え方を整理します。
マクマレー(McMurray)テストは、膝を深く曲げた状態から、下腿をひねりながら伸展させ、半月板にストレスを加えて痛みやクリックが再現されるかをみる誘発検査です。半月板損傷を疑うときに用いられます。ここでは、検査の目的とやり方、報告されている検査精度(感度・特異度・尤度比)の読み方、陽性と陰性それぞれの扱い、そして問診や他の所見とのつなげ方をまとめています。
結論:マクマレーテストは、半月板損傷の評価に有用だが、単独で判断せず、問診や他の検査所見と合わせて総合的に読む検査です。
マクマレー(McMurray)テストは、膝関節に回旋と伸展のストレスを加え、半月板の損傷部にひっかかりが生じるかをみる検査です。膝の痛みやひっかかり感の原因が、半月板に関わるのかを考える手がかりになります。
マクマレーテストとは?
マクマレーテストは、半月板損傷を疑うときに使われる誘発テストです。膝を深く曲げた状態から、下腿を内側または外側へひねり、その回旋を保ったまま膝をゆっくり伸ばしていきます。半月板の損傷部に回旋のストレスがかかり、関節のすき間で痛みやクリックが再現されるかをみます。
一般的には、下腿を外旋させて伸展すると内側半月板に、内旋させて伸展すると外側半月板にストレスがかかると考えられています。押した局所が少し痛いだけでは陽性とはとらえず、もとの症状に近い痛みやクリックが関節のすき間で再現されるかをみます。
| 主な目的 | 膝の症状が半月板損傷に関わる可能性を確認します。 |
|---|---|
| みる反応 | 膝を回旋させながら伸展したときに、関節のすき間で痛みやクリックが再現されるかをみます。 |
| 陽性としてみる反応 | 関節のすき間に一致した痛みや、ひっかかるようなクリックが再現される反応です。 |
マクマレーテストのやり方
マクマレーテストは、患者さんにあお向けで寝てもらって行うことが多い検査です。膝と股関節を深く曲げた状態から、下腿をひねりながらゆっくり伸展します。強い力で一気に動かさないことが大切です。
- 膝を深く曲げる患者さんにあお向けで寝てもらい、膝と股関節を深く曲げます。片手で膝、もう片方の手でかかとを支えます。
- 下腿をひねる内側半月板をみるときは下腿を外旋、外側半月板をみるときは下腿を内旋させます。無理のない範囲でひねります。
- 回旋を保って伸展するひねりを保ったまま、膝をゆっくり伸ばしていきます。関節のすき間に手を添え、反応を確かめます。
- 痛みやクリックをみる関節のすき間に一致した痛みや、ひっかかるようなクリックが再現されるかを確認します。局所の軽い痛みだけでは陽性としません。
- 左右で比較する症状が出たら無理に続けず、左右で条件をそろえて比べます。強い痛みやひっかかりがある場合は慎重に行います。
強い腫れや熱感がある、膝が伸ばせない・曲げられないほど動かない、受傷直後で痛みが強いといった場合は、無理に誘発しません。安全を優先し、必要なら検査より先に医療機関での確認を検討します。
検査精度をどう読むか(尤度比)
マクマレーテストの検査精度は、報告により幅がありますが、系統的レビューでは感度がおよそ61パーセント、特異度がおよそ84パーセントと報告されています。そこから計算される尤度比は、陽性尤度比がおよそ3.8、陰性尤度比がおよそ0.46です。
| 感度 約61パーセント | 半月板損傷がある人のうち、陽性になるのは6割ほどです。見つけ出す力は中程度で、陰性でも一定数の見逃しが起こりえます。 |
|---|---|
| 特異度 約84パーセント | 半月板損傷がない人では、多くが陰性になります。陽性のときの意味は比較的大きくなります。 |
| 陽性尤度比 約3.8 | 陽性のとき、半月板損傷である確からしさを上げる方向に働きます。1より十分に大きく、絞り込みに役立つ水準です。 |
| 陰性尤度比 約0.46 | 陰性のとき、半月板損傷である確からしさを下げる方向に働きます。ただし0からは離れており、陰性だけで否定はしきれません。 |
陽性のときは、半月板損傷の確からしさが上がる方向に働きます。陰性のときは下がる方向に働きますが、ゼロにはなりません。陽性でも陰性でも、それだけで結論とはせず、確からしさを動かす一つの材料として扱うのが実用的です。
検査精度の数値は、Smith BE, et al. Br J Sports Med. 2015 の報告に基づいています。報告や対象によって数値には幅があります。
感度と特異度、尤度比の考え方をもう少し知りたいときは、尤度比とは?検査結果で「その後の確からしさ」をどう動かすかで整理しています。
他の所見と合わせて判断する
検査精度からわかるのは、マクマレーテストを一つの所見だけで結論にしないほうがよい、ということです。陽性を過大に、陰性を過小に受け取ると、判断を誤ることがあります。
- 陽性のときは、確からしさが上がった材料として扱い、症状や経過と矛盾しないかをみる
- 陰性でも半月板損傷を否定せず、ひっかかり感やロッキングなどの症状が合うなら慎重にみる
- 受傷の仕方(ひねった、しゃがみ込んだなど)や、関節のすき間の圧痛も合わせて確認する
- 複数の検査や所見が同じ方向を向いているかで、確からしさを積み上げる
マクマレーテストは、陽性でも陰性でも一つの材料として、問診や他の検査所見と合わせて読む検査。有用な検査ではありますが、問診や他の検査所見とセットで、総合的に読むことが大切です。
半月板の周りにも目を向ける
膝の痛みやひっかかり感は、半月板だけが原因とは限りません。半月板の評価と合わせて、靭帯や軟骨、加齢による変化も含めて考えます。ひねって受傷し、不安定感を伴う場合は前十字靭帯損傷の合併も、中高年で徐々に進んだ痛みなら変形性膝関節症の関与も視野に入れます。
また、膝が急に伸びない・曲がらない(ロッキング)、強い腫れが引かない、力が入らず崩れる感じがあるといった場合は、医療機関での画像評価を含めた確認を優先します。
膝が急に伸びない・曲がらない、強い腫れや熱感が続く、力が入らず膝が崩れる感じがある、受傷直後で歩けないほど痛む場合は、まず医療機関での確認が必要になることがあります。
関連症状:こんな訴えと合わせてみる
- 膝をひねったあとから痛みやひっかかり感がある
- しゃがむ、正座する、階段の動作で膝の内側や外側が痛む
- 膝が引っかかって、急に伸びにくくなることがある
- 膝のすき間を押すと痛い
- 検査結果だけでなく、受傷の経過と合わせて考えたい
マクマレーテストは「他の所見と合わせて」活かす検査
マクマレー(McMurray)テストは、感度が中程度、特異度がやや高い検査です。陽性のときは半月板損傷の確からしさを上げ、陰性のときは下げる方向に働きますが、どちらも単独で結論にはできません。
大切なのは、この検査を一つの所見として扱い、受傷の仕方、関節のすき間の圧痛、他の検査などと同じ方向を向いているかを確認することです。
とんとん整骨院では、検査の陽性・陰性だけで決めるのではなく、症状の経過や複数の所見を合わせて確認し、必要な場合は医療機関での確認につなげることを大切にしています。













