半月板損傷と言われたら?画像・痛み・引っかかり感を分けて考える

半月板損傷は、画像だけで決めない

膝のMRIで「半月板に異常があります」と言われると、不安になる方は多いです。でも、半月板の異常が見つかったことと、今の膝の痛みの原因であることは同じではありません。

半月板は、痛み、引っかかり感、ロッキング、腫れ、年齢変化、形態異常を分けて考える必要があります。画像所見だけでも、徒手検査ひとつだけでも、半月板由来の症状とは言い切れません。

膝の痛みで整形外科を受診し、「半月板損傷」と言われた経験がある方は少なくありません。

半月板は膝関節の中にあるクッションのような組織で、荷重の分散、関節の安定性、滑らかな動きに関わります。

だから、半月板が傷つけば膝が痛くなる。そう考えたくなるのは自然です。

ただし、臨床ではもう少し慎重に見る必要があります。

半月板に画像上の異常があっても痛みがない人はいますし、反対に画像だけでは説明しきれない膝の痛みもあります。

まなぶ先生
まなぶ先生

半月板が切れていると言われたら、それが膝の痛みの原因だと思ってしまいます。

瀬谷崎
瀬谷崎

画像で見つかった異常は大事な情報です。ただ、それが痛みの原因かどうかは別に評価したいですね。半月板は特に、画像と症状を分けて考える必要があります。

半月板の異常は、無症状でも見つかる

半月板損傷という言葉には、かなり強いインパクトがあります。

「膝の中が壊れている」「このまま悪くなるのでは」と感じる方もいます。

しかし、中高年以降では、MRIで半月板の損傷や変性が見つかっても、本人に膝の痛みがないケースがあります。

つまり、半月板の異常は「必ず痛みを出す構造破綻」ではなく、年齢変化や偶然見つかる所見として存在することがあります。

ここが大事

画像で半月板損傷が見つかったからといって、それだけで今の痛みの原因だとは言えません。痛みの場所、腫れ、動き、受傷機転、引っかかり感などを合わせて見ます。

痛みが出やすい場所と、出にくい場所がある

半月板のすべての場所が、同じように痛みを感じるわけではありません。

半月板に分布する神経線維は、血管に伴って走ることが多く、主に周縁部や前角・後角に多いとされています。

一方、半月板の内側寄りには血行や神経分布が乏しい領域があります。

そのため、画像で異常が見えても、それが神経の少ない部分にある場合、痛みとして感じにくい可能性があります。

痛みと関係しやすい所見

関節裂隙の圧痛、腫れ、引っかかり感、可動域制限、受傷機転、荷重時痛などと整合する場合は、半月板由来の可能性を考えます。

慎重に見る所見

画像だけで見つかった変性、症状と場所が合わない損傷、年齢変化として説明できる所見は、痛みの原因と決めつけません。

「引っかかる」「ロッキングする」は重要な情報

半月板で注意したいのは、痛みだけではありません。

膝の中で引っかかる、曲げ伸ばしで弾ける感じがする、急に伸びなくなる、しゃがみ込みで詰まる。

こうした機械的な症状は、半月板や周辺組織を疑ううえで重要です。

ただし、患者さんが「ロッキング」と表現していても、本当に関節内で物理的に挟まっているのか、痛みによって動かせないだけなのかは分けて考える必要があります。

言葉の整理

「膝が固まる」「伸びない」「引っかかる」という表現は、患者さんによって意味が違います。いつ、どの角度で、痛みなのか、物理的な詰まりなのかを確認することが大切です。

円板状半月とhypermobile meniscus

半月板で見落としたくないものに、円板状半月があります。

円板状半月は、通常よりも半月板が大きく厚い形態をしていることがあり、明らかな外傷がなくても痛み、腫れ、弾発、ロッキング、可動域制限などを起こすことがあります。

また、Wrisberg型では後方の骨性付着部が乏しく、半月板が過剰に動きやすくなることがあります。

このような可動性の高い半月板は、hypermobile meniscusとして膝窩部痛やロッキング様症状の原因になることがあります。

分類・状態 特徴 臨床で気をつけること
完全円板状半月 脛骨軟骨面を広く覆う形態 小児・若年者の弾発や外側膝痛でも念頭に置く
不完全円板状半月 通常より大きいが、完全には覆わない 画像だけでなく症状との整合性を見る
Wrisberg型 後方付着が乏しく、可動性が高くなりやすい ロッキング様症状や膝窩部痛の背景として考える
hypermobile meniscus 過剰な可動性を持つ半月板 半月板断裂と似た症状を出すため鑑別が必要

半月板の徒手検査は、単独で決めない

半月板損傷を疑う時、McMurray test、Apley test、Thessaly test、関節裂隙の圧痛などが使われます。

ただし、これらのテストは研究によって精度にばらつきがあり、単独で「半月板損傷あり」と決めるには限界があります。

たとえばMcMurray testは比較的特異度が高い傾向がある一方で、感度が十分とは言えない報告もあります。

つまり、陽性なら疑いは強まりますが、陰性だから完全に否定できるわけではありません。

まなぶ先生
まなぶ先生

McMurray testで痛みが出たら、半月板損傷で決まりですか?

瀬谷崎
瀬谷崎

決まりではないです。痛みの場所、クリック、受傷機転、腫れ、可動域、他のテストを合わせて、確率を上げていくイメージですね。

変形性膝関節症の痛みも混ざる

中高年の膝では、半月板だけでなく変形性膝関節症の要素も重なりやすくなります。

膝の痛みは関節軟骨だけで起こるわけではありません。

滑膜、軟骨下骨、半月板、関節包、膝蓋下脂肪体、靭帯、筋肉、腱、神経系など、さまざまな組織が関わります。

そのため、MRIで半月板損傷が見つかったからといって、膝痛の主犯を半月板だけに絞るのは危険です。

評価の順番

半月板を疑う時ほど、半月板以外も見ます。関節の腫れ、荷重時痛、可動域、膝蓋下脂肪体、靭帯、筋力、股関節や足部の影響まで合わせて考えます。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、半月板損傷という名前だけで施術方針を決めないようにしています。

いつから痛いのか、何をした時に痛いのか、腫れがあるのか、引っかかりがあるのか、膝が本当にロックするのかを確認します。

さらに、股関節や足首、歩き方、しゃがみ込み、階段動作なども見ます。

必要であれば、医療機関での確認が必要な可能性もお伝えします。

画像所見は無視しません。

でも、画像だけに患者さんの痛みを押し込めることもしません。

こんな膝の症状は一度ご相談ください

  • 半月板損傷と言われたが、何が痛みの原因なのか分からない
  • 膝の内側や外側に痛みが続いている
  • しゃがむ、正座する、階段を降りる動作で膝が痛い
  • 膝が引っかかる、弾ける、ロックするような感じがある
  • 外傷はないのに膝が腫れる、曲げ伸ばししにくい
  • 画像で半月板損傷と言われて不安になっている

半月板は、画像・症状・機械症状を分けて見る

半月板は膝にとって大切な組織です。

ただし、半月板に異常があることと、今の痛みの原因であることは同じではありません。

痛みが出やすい場所なのか。

腫れや機械症状があるのか。

円板状半月やhypermobile meniscusのような形態・可動性の問題がありそうか。

変形性膝関節症や他の組織の痛みが混ざっていないか。

こうした情報を重ねて、初めて半月板を臨床的に評価できます。

瀬谷崎
瀬谷崎

半月板損傷という名前は強いですが、名前だけで膝を見ないことが大事です。画像、症状、検査、動作を合わせて、ちゃんと目の前の膝を見たいですね。

参考

  • Englund M, et al. Incidental Meniscal Findings on Knee MRI in Middle-Aged and Elderly Persons. New England Journal of Medicine. 2008.
    NEJM
  • Special tests for assessing meniscal tears within the knee: a systematic review and meta-analysis.
    BMJ Evidence-Based Medicine
  • Discoid meniscus: current concepts.
    PMC
  • StatPearls. Discoid Meniscus.
    NCBI Bookshelf
  • An Up-to-Date Review of the Meniscus Literature: A Systematic Summary of Systematic Reviews and Meta-analyses.
    PMC

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