食いしばりによる朝の歯の痛みに鍼灸を行い和らいできた例(40代女性)
主訴
2024年7月、朝の歯の痛みでご来院されました。歯科を受診し、虫歯などの異常はなく、強い噛みしめが原因ではないかと言われたとのことでした。
当院の評価
患者様への説明
口の開けづらさ(開口障害)はなく、顎の関節部を押しても痛みはありませんでした。一方、右側のこめかみの筋肉(側頭筋)と、ものを噛むときに働く頬の筋肉(咬筋)に押したときの痛みがあり、睡眠中を含めた噛む筋肉(咀嚼筋)の持続的な緊張が、朝の歯の痛みに関わっていると考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】朝、歯の痛みで目が覚める(歯科では虫歯などの異常なし) 【所見】開口障害なし・顎関節部の圧痛なし、右側頭筋・咬筋に圧痛
身体機能評価
右側頭筋・咬筋の圧痛/睡眠中を含む咀嚼筋の持続的な緊張
判断
睡眠中も含めて噛む筋肉の緊張が続き、その負担が朝の歯の痛みとしてあらわれていると考えました。
施術の様子
患者様への説明
緊張の強かったこめかみと頬の筋肉(側頭筋・咬筋)へ鍼を行い、局所の緊張をゆるめることを目指しました。あわせて、手足のツボを使って全身の緊張状態にもアプローチしました。
専門的内容
【鍼】側頭筋・咬筋への刺鍼/手足の経穴を用いた全身の緊張へのアプローチ
施術の経過
-
初期
施術後は約1週間、朝の痛みが軽くなるものの、間隔が空くと症状が戻る状態だったため、約1ヶ月半は週1回のペースで施術を続けました。
-
中期
徐々に朝の歯の痛みを感じにくくなり、その後は隔週のペースへ移行しました。症状の軽減と多少の戻りを繰り返しながらの経過でした。
-
後期
約8ヶ月後には気にならない日が増え、現在は月1回のペースでメンテナンスを継続中です。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
5,500円
2回目以降の料金
9,900円
通院の目安
施術回数
約20回を経て月1回のメンテナンスへ移行
施術期間
週1回×約1ヶ月半→隔週→約8ヶ月で気にならない日が増え、現在は月1回で継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「虫歯などの異常はないのに、朝に出る歯の痛み」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
虫歯じゃないのに、どうして朝に歯が痛むの?
睡眠中の食いしばりや歯ぎしりでは、日中よりも強い力が歯や顎にかかることがあると言われています。噛む筋肉(咬筋・側頭筋)の緊張が続くと、歯そのものに異常がなくても、朝に歯や顎まわりの痛みとして感じられることがあると考えられています。まず歯科で歯や顎の異常がないかを確認することが大切です。
朝の歯や顎の痛みでは、歯科での確認を済ませたうえで、噛む筋肉の緊張の状態を確かめてみることが役立つと言われています。
横田 未帆この症例の方のように、歯科で「噛みしめが原因かもしれない」と言われて来院される方がいらっしゃいます。こめかみや頬の筋肉を押してみて痛みがある方は、噛む筋肉が緊張しているサインかもしれません。マウスピースと並行して通われる方も多いですよ。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 朝起きたときに歯や顎のまわりが痛い・だるい
- 歯科では虫歯などの異常がないと言われた
- こめかみや頬を押すと痛みがある
- 日中、気がつくと歯を噛みしめている
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 日中、唇を閉じて上下の歯を離す時間を意識して作る(歯が触れ合うのは食事のときだけが目安と言われています)
- 寝る前に、頬やこめかみを手のひらで軽くほぐす
- 就寝前の考えごとやスマートフォンの時間を減らし、緊張をゆるめてから休む
痛みが強いとき、腫れや発熱を伴うときは無理をせず、歯科・医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
噛みしめによる筋肉の緊張が関わる場合もありますが、次のような場合は、自己判断せず歯科・医療機関を受診してください。
- 特定の歯がズキズキと痛む・冷たいものがしみる
- 歯ぐきや顔が腫れている、発熱を伴う
- 口が開けづらい・顎の関節の痛みが強まっている
- 痛みが日ごとに強まり続けている
よくある質問
歯科に行かずに受けてもいいですか?
まず歯科で歯や顎に異常がないかを確認されることをおすすめしています。この症例の方も、歯科で虫歯などの異常がないことを確認されたうえでご来院されました。
どのくらいで変化がありますか?
この症例では、施術後約1週間は朝の痛みが軽くなるものの戻る状態から始まり、軽減と戻りを繰り返しながら、約8ヶ月で気にならない日が増えていきました。経過には個人差がありますので、状態を確かめながら進めています。
マウスピースとの併用はできますか?
併用いただけます。マウスピースは歯を守る道具、こちらの施術は噛む筋肉の緊張へのアプローチと役割が異なりますので、歯科の指導と並行して通われる方もいらっしゃいます。
横田 未帆朝の痛みが減っていくと、一日の始まりが少し楽になります。歯科での確認と組み合わせながら、噛む筋肉の側からできることを一緒に続けていきましょう。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








「歯が痛いのに虫歯ではない」と言われて、どこに相談すればよいか迷われる方は少なくありません。この方はまず歯科で異常がないことを確認されていたので、噛む筋肉の緊張に的を絞って進めることができました。良くなり方は一直線ではなく、軽減と戻りを繰り返しながら約8ヶ月かけて気にならない日が増えていった経過を、そのまま記録しています。