歩くときや階段で出ていた左足首の痛みが施術を経て楽になった例(50代女性)
主訴
2025年8月、左足首の痛みでご来院されました。数か月前から、歩いたり階段を昇り降りしたりすると左足首が痛むようになり、これといったきっかけは思い当たらないとのことでした。運動する機会が減って体重が増えたことも気になっているとお話しされていました。
当院の評価
患者様への説明
院内で歩いたり段差を昇り降りしたりしていただいたところ、その場では目立った痛みは出ませんでした。足の形を確かめると、足首が内側へ倒れ(回内足)、土踏まずが低く(扁平足)、親指が外側へ向く(外反母趾)状態で、足の裏のアーチが崩れていました。足首を反らす動き(背屈)にも制限があり、歩くときや階段で足首に負担が集まりやすくなっていると考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】歩行時・階段昇降時に左足首が痛む/院内の歩行・昇降ではその場での痛みなし 【所見】回内足・扁平足・外反母趾(足底アーチの低下)、足関節背屈制限
身体機能評価
回内足・扁平足・外反母趾による足底アーチの低下/足関節背屈制限/下腿三頭筋・後脛骨筋・長母趾屈筋の緊張
判断
足底アーチの崩れと足関節の背屈制限により、歩行や階段昇降のたびに足首へ過度な負担がかかり、痛みにつながっていると推測しました。ふくらはぎと足首まわりの筋肉をゆるめて足首の動きを引き出しつつ、足底板とご自宅でのトレーニングでアーチを支える方針としました。
施術の様子
患者様への説明
ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)と、足首の内側からすねの奥を通る筋肉(後脛骨筋・長母趾屈筋)を手でていねいにゆるめ、足首を反らす動きを引き出しました。あわせて、足の裏のアーチを支えるオーソティクス(足底板)を靴に入れて使っていただき、ご自宅では足の指でタオルをたぐり寄せる運動(タオルギャザー)をお伝えしました。回数を重ねてからは、階段の負担を減らすためにお尻の筋肉(大殿筋)のトレーニングも加えました。
専門的内容
【手技療法】腓腹筋・長母趾屈筋・後脛骨筋への押圧/【電気療法】/【運動療法】タオルギャザー指導(足底アーチ)、7回目以降に大殿筋トレーニング/【足底板】オーソティクスの使用
施術の経過
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初期
初回から3回目ごろには、歩くときの痛みがはっきりと軽くなりました。仕事終わりに階段を昇り降りするときの痛みは、まだ続いていました。
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中期
4回目から6回目ごろには、歩くときの痛みはほとんど気にならなくなりました。階段のときの痛みも軽くなってきましたが、まだ残っている状態でした。7回目から10回目にかけて、お尻の筋肉(大殿筋)のトレーニングを加え、階段での負担が減ってきました。
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後期
11回目以降は、階段の昇り降りでもほとんど痛みが気にならなくなりました。現在もメンテナンスとして継続して通っていただいています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円+電気療法 1,650円
2回目以降の料金
施術 7,480円+電気療法 990円
通院の目安
施術回数
11回以上(現在もメンテナンスで継続中)
施術期間
初回から11回目ごろまでで階段の痛みもほとんど気にならなくなり、現在もメンテナンスで継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「ぶつけたりひねったりした覚えがないのに、歩くときや階段の昇り降りで足首が痛む状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どうしてきっかけがないのに、歩くと足首が痛くなるの?
足の裏には、体重を受け止めてばねのように働くアーチがあります。足首が内側へ倒れる回内足や、土踏まずが低い扁平足、親指が外側へ向く外反母趾があると、このアーチが崩れて体重をうまく受け止められず、足首に負担が集まりやすいと考えられています。あわせて、足首を反らす動き(背屈)が硬くなっていると、一歩ごとに足首の同じ場所へ負担が繰り返しかかり、ぶつけたりひねったりした覚えがなくても痛みが出てくることがあります。
歩くときと階段で、痛みの落ち着き方が違う理由
階段を昇り降りするときは、平らな道を歩くときよりも足首を深く反らす必要があり、体重も一歩ごとに片足へ強くかかります。同じ足首の負担でも、階段のほうが大きいぶん、平地の痛みが先に落ち着き、階段の痛みが少し遅れて落ち着くという経過をたどることが少なくありません。
お尻の筋肉が足首の負担に関わる理由
階段を昇るときに体を持ち上げる力は、足首だけでなく、お尻の筋肉(大殿筋)や太ももでも分担しています。お尻の筋肉がうまく働かないと、そのぶんをふくらはぎと足首が肩代わりして負担が寄りやすいと言われています。足首をゆるめて足底板で支えることに加えて、お尻の筋肉を使えるようにしていくことが、階段の痛みを残しにくくする手がかりになります。
きっかけのない足首の痛みでは、足首そのものだけでなく、足の裏のアーチが体重を受け止められているか、足首を反らす動きが硬くなっていないか、階段の負担をお尻の筋肉で分担できているかをあわせて考えることが役立つと言われています。
塩谷 健太ぶつけたりひねったりしていないのに足首が痛むときは、足首だけを見ても手がかりが少ないことがあります。この方のように、足の形や足首の硬さ、階段でどの筋肉を使っているかまで確かめると、負担がどこに集まっているのかが見えてきます。ゆるめることと支えること、使えるようにすることを組み合わせて進めていきましょう。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 歩いたり階段を昇り降りしたりすると足首が痛むが、じっとしていれば痛まない
- 土踏まずが低い、靴の内側がすり減りやすいと感じる
- 親指が外側へ向いている、靴の中で親指の付け根が当たる
- しゃがむとかかとが浮きやすい
- 運動する機会が減り、体重が増えた
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 座って床にタオルを広げ、足の指でたぐり寄せる(タオルギャザー)
- 壁に手をつき、後ろ足のかかとを床につけたままふくらはぎを伸ばす
- かかとが安定して土踏まずを支えてくれる靴を選び、すり減った靴は替える
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 足首に腫れや熱感があり、安静にしていても痛む
- 転倒やひねった直後から強く痛み、体重をかけられない
- 足の指や足の裏にしびれ、感覚の違いがある
- 夜間や安静時にも痛みが続く
- 数週間たっても痛みが強まり続けている
よくある質問
歩くときと階段の痛みは、何回くらいで変わりましたか?
この症例では、初回から3回目ごろに歩くときの痛みがはっきりと軽くなり、4回目から6回目ごろにはほとんど気にならなくなりました。階段の痛みは少し遅れて落ち着き、お尻の筋肉のトレーニングを加えたあと、11回目以降にほとんど気にならなくなりました。経過には個人差があります。
足底板(オーソティクス)はずっと使い続けるものですか?
この症例では、足の裏のアーチが崩れて足首に負担が集まっていたため、靴に入れて使っていただきました。使い続けるかどうかは、足の状態や靴、生活の場面によって異なります。ご自宅のタオルギャザーで足の指の力を育てることとあわせて、状態を見ながらご相談しています。
足首が痛いのに、お尻のトレーニングをしたのはなぜですか?
階段を昇るときに体を持ち上げる力は、足首だけでなくお尻の筋肉も分担しています。この症例では、歩くときの痛みが落ち着いたあとも階段の痛みが残っていたため、お尻の筋肉を使えるようにして足首の負担を減らす目的で加えました。感じ方や経過には個人差があります。
塩谷 健太きっかけのない足首の痛みは、足の裏のアーチと足首の動き、そして階段でどの筋肉を使えているかを確かめることで、進め方が見えてきます。歩くたび、階段のたびに足首が気になる方は、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








足首そのものに強い炎症があるわけではなく、足の裏のアーチが崩れていることで、歩くたび、階段を昇るたびに足首へ負担が集まっていた方でした。ゆるめるだけでは同じ負担が戻りやすいため、足底板でアーチを支え、タオルギャザーで足の指の力を育て、階段の負担にはお尻の筋肉も使えるようにトレーニングを足しています。歩くときの痛みが先に落ち着き、階段の痛みが少し遅れて落ち着いていったのは、階段のほうが足首にかかる負担が大きいためと考えています。