ウェイクサーフィンで痛めたお尻の痛みが施術を経て楽になった例(40代男性)
主訴
2025年10月、お尻の痛みでご来院されました。3日前にウェイクサーフィン(ボートの引き波に乗るマリンスポーツ)をしていて痛めたとのことで、体を起こす動作で痛みが出るものの、動かさなければ症状はない状態でした。もともとケガが多く、骨折をしたり痛みが出たりすることも多かったとお話しされていました。
当院の評価
患者様への説明
初回来院時は、痛みが出る動きをその場で再現することができませんでした。そこで、体の各部位の動きを一つずつ確かめる検査を行ったところ、腰を反らす(伸展)動作でお尻の痛みが出ることが分かりました。体を起こすときに反る方向の力が加わっているのではないかと考え、確認しました。股関節まわりでは、太ももの付け根の筋肉(腸腰筋)、内ももの筋肉(内転筋)、太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)、お尻の横の筋肉(中殿筋)に硬さがみられました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】体を起こす動作でお尻に痛み/動かさなければ痛みなし 【検査】初回は誘発動作を再現できず、解剖学的な動きの検査で腰部伸展動作にて疼痛を誘発
身体機能評価
腰部伸展方向への負担/腸腰筋・内転筋・大腿筋膜張筋・中殿筋の緊張/マリンスポーツでの受傷
判断
ウェイクサーフィンで体を起こす動作を繰り返した際に、腰を反る方向の力がお尻へ集中して痛めたと推測しました。股関節まわりの筋肉の硬さが反る負担を強めていると考え、股関節まわりをゆるめて反る負担を減らしつつ、痛む部位にはハイボルト(高電圧の電気療法)で痛みを抑える方針としました。
施術の様子
患者様への説明
太ももの付け根の筋肉(腸腰筋)、内ももの筋肉(内転筋)、太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)、お尻の横の筋肉(中殿筋)を手でていねいにゆるめ、股関節が動きやすい状態をつくりました。痛みのあるお尻の部位には、ハイボルト(高電圧の電気療法)を行い、痛みを抑えました。
専門的内容
【手技療法】腸腰筋・内転筋・大腿筋膜張筋・中殿筋への押圧/【物理療法】疼痛部位へのハイボルト
施術の経過
-
初期
初回の施術後、2回目にはほとんど痛みのない状態になりました。
-
中期
2回目で落ち着いたため、その後のご来院はなく、いったん施術を終了しました。
-
後期
約3か月後に、再び同じようにお尻を痛めてご来院されました。このときも2回目には痛みがなくなり、再び終了となりました。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 4,400円+電気療法 1,100円
2回目以降の料金
施術 5,500円(電気療法を行う場合は+1,100円)
通院の目安
施術回数
全4回(初回の2回と、約3か月後の再受傷時の2回)
施術期間
2回で痛みが落ち着き終了。約3か月後の再受傷時も2回で落ち着き終了
ここでは、この症例の記録とは別に、「スポーツのあとから、体を起こす動作でお尻に痛みが出て、動かさなければ痛まない状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どうして体を起こすときだけ、お尻が痛くなるの?
体を起こす動作では、腰を反らす方向の力が働き、お尻と腰の筋肉がその力を受け止めています。股関節の前や横の筋肉が硬いと、股関節で吸収できるはずの動きが減り、反る力が腰からお尻の一点に集まりやすいと考えられています。ウェイクサーフィンのように、水面で体を起こしてバランスを取り続けるスポーツでは、この反る動作を短時間に何度も繰り返すため、お尻に負担が集中して痛みにつながることがあります。
痛む動きをその場で再現できないときの考え方
スポーツでの痛みは、院内で同じ場面をつくることが難しく、痛む動きをその場で再現できないことがあります。そのようなときは、体の各部位の動きを一つずつ確かめ、どの方向の動きで痛みが出るかを探すことで、負担がかかっている方向を絞り込むことができます。この症例では、反らす動きで痛みが出ることが分かり、体を起こすときに反る力が加わっていると考えました。
同じように痛めることを繰り返さないために
いったん落ち着いたあとに同じように痛める場合、股関節まわりの硬さが戻り、反る負担が再びお尻へ集まっていることが少なくありません。スポーツを続ける方ほど、ふだんから股関節の前と横をのばしておくことが、負担を分散する手がかりになります。
スポーツのあとに出たお尻の痛みでは、痛む場所そのものだけでなく、どの方向の動きで痛みが出るか、股関節まわりの硬さで反る負担が強まっていないかをあわせて確かめることが役立つと言われています。
川口 流世痛む動きをその場で再現できないときこそ、動きを一つずつ分けて確かめることが大切だと感じています。この方のように、反らす動きで痛みが出ると分かれば、股関節まわりをゆるめて反る負担を減らす方針が立てられます。同じスポーツを続けるなら、股関節まわりの柔軟性を保つことが、繰り返しを小さくする手がかりになります。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- スポーツのあとから、体を起こすとお尻が痛む
- 動かさなければ痛まないが、起き上がりや反る動きで痛む
- 太ももの付け根や内もも、外ももが張りやすい
- 同じスポーツで、以前にも同じ場所を痛めたことがある
- ケガをしやすく、痛みが出ることが多い
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 片膝立ちで骨盤を前へ送り、太ももの付け根をのばす
- あおむけで片膝を抱え、反対の脚は伸ばしたまま股関節の前をのばす
- スポーツの前後に股関節の前と横を動かしてから始める
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 転倒や強い衝撃のあとで、体重をかけられないほど痛む
- お尻から脚にかけてしびれや力の入りにくさがある
- 安静にしていても痛みが強まり続ける
- 発熱や腫れ、熱感を伴う
- 排尿や排便に変化がある
よくある質問
痛む動きをその場で再現できないのに、施術はできるのですか?
この症例では、体の各部位の動きを一つずつ確かめる検査で、腰を反らす動きでお尻に痛みが出ることが分かりました。体を起こすときに反る力が加わっていると考え、股関節まわりの硬さをゆるめて反る負担を減らす方針で進めています。強い衝撃のあとで体重をかけられないほど痛む場合は、医療機関での評価を優先します。
何回くらいで落ち着きましたか?
この症例では、初回の施術後、2回目にはほとんど痛みのない状態になり、いったん終了しました。約3か月後に同じように痛めてご来院された際も、2回目には痛みがなくなっています。経過には個人差があります。
また同じように痛めないためにできることはありますか?
この症例では、股関節まわりの筋肉の硬さが反る負担を強めていたと考えています。スポーツを続ける方には、太ももの付け根や外ももなど股関節まわりを、ふだんからのばしておくことをお伝えしています。感じ方や経過には個人差があります。
川口 流世スポーツのあとに出たお尻の痛みは、どの方向の動きで痛むかと、股関節まわりの硬さを確かめることで、進め方が見えてきます。体を起こすたびにお尻が気になる方は、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。







痛みが出る動きをその場で再現できなくても、体の動きを一つずつ確かめていくと、反る動作でお尻に負担がかかっていることが分かった方でした。股関節まわりの硬さをゆるめて反る負担を減らすと、2回で落ち着く経過をたどっています。約3か月後に同じように痛めて再びご来院されたことは、股関節まわりの硬さが戻りやすいことも示していると考えており、スポーツを続けるうえでは、ふだんから股関節まわりの柔軟性を保つケアが役立つとお伝えしています。