ゴルフやテニスの後に腰が痛い、運動後の腰痛をどう考えるか。症例をスタッフで検討

運動後に出る腰痛、なぜ「股関節と体幹」に着目したのか

1つの症例を、担当した杉生真悟先生(とんとん整骨院 南浦和店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。ゴルフやテニスの後に出る腰痛。運動はしているのに、なぜ腰に負担が集まるのか、股関節と体幹に出どころを見た判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、ゴルフやテニスの後に腰が痛くなる60代の男性。起床時にも腰が固まり、思いきりスポーツができないのが悩みの方の症例です。事実と結果から見ていきます。

症例カルテ:運動後の腰痛、股関節と体幹に着目
今回検討する症例(担当:杉生先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=運動後に出る腰痛、起床時に腰が固まり起き上がりに時間がかかる(60代・男性)。背景=ゴルフやテニスの後に腰痛が出て翌日に強まる。整形外科でレントゲンの評価を受け異常なし。運動前にストレッチはしていた。所見=前屈で腰の突っ張り、後屈で腰の痛み、回す動きで突っ張り、股関節の屈曲・伸展の制限、体幹(腹部・臀部)の筋出力低下、大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)の短縮、反り腰気味の姿勢。とらえ方=体幹の機能の低下と股関節の可動域の制限で、腰へ負担が集中していたと考えた。対応=股関節の可動域を広げる手技、体幹・臀部の筋力づくり、股関節のストレッチと体幹のセルフトレーニング。経過=起床時の痛みや運動後の症状が落ち着いてきた。現在は再発予防を継続。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

運動後に出る腰痛、原因は股関節と体幹か

主訴は運動後の腰痛。けれど杉生先生は、腰そのものより、股関節と体幹に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

杉生先生杉生先生

主訴はゴルフやテニスの後に出る腰痛でした。所見をとると、股関節の動きが制限され、体幹の支えも落ちていました。腰そのものより、回したり反らしたりするスポーツ動作で、股関節と体幹が分担できていないことに出どころがあるのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

運動前にストレッチもしている方なのに、腰に負担が集まったのはなぜですか。

杉生先生杉生先生

ゴルフやテニスは腰を回し反らす動きが多く、本来は股関節と体幹が分担します。そこが硬く・弱いと、足りない分を腰がまとめて引き受ける。だから運動後や翌日に腰へ負担が出る、という像が所見と一致したんです。

運動はしているのに、なぜ腰に負担が集まるのか

この方は運動習慣があり、ストレッチもしていました。それでも出た理由を確かめます。

教子先生教子先生

運動もストレッチもしているのに、というのが気になりますよね。安静にしても引かない痛みや、足のしびれ、力の入りにくさといった、急いで受診すべきサインは外せていましたか。

杉生先生杉生先生

そこは確認しました。足への神経症状や安静時の強い痛みはなく、痛みは動作と運動に伴って変わりました。こうしたサインがあれば医療機関の受診をご案内します。今回はそれらがないことを確かめて進めました。

瀬谷崎瀬谷崎

運動していても、股関節と体幹が動き・支えとして働けていないと、腰がまとめて引き受けてしまう。ストレッチが効きにくかったのも、硬い場所と使う筋肉がずれていたのかもしれません。危険なものを外したうえで、分担の崩れに絞る。順序が妥当だと思います。

スポーツを楽しむために、分担を整える介入と経過

痛みを取るだけでなく、また思いきり動ける体まで、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

痛みを取るだけでなく、またスポーツできる体まで見ていったんですね。

杉生先生杉生先生

はい。硬くなった股関節まわりをゆるめ、体幹とお尻を使えるようにして、腰だけに負担が偏らないようにしました。起床時の痛みや運動後の症状が落ち着いてきています。ゴルフやテニスを楽しみたい方なので、股関節の柔軟性と体幹の筋力づくりを続けてもらっています。

瀬谷崎瀬谷崎

腰の負担を、股関節と体幹の分担に戻しにいっているのが要点ですね。分担できれば、同じ運動でも腰がまとめて引き受けずにすむ。落ち着いた経過もその方向を支持しています。ただ運動を続ける方なので、再発予防は続けたいところです。

考察:股関節と体幹の分担からとらえる運動後の腰痛

所見という事実(股関節の可動域制限・体幹の筋出力低下・前屈や後屈での突っ張りと痛み)と、経過という結果(起床時の痛みや運動後の症状が落ち着いたこと)。この両方が、「腰そのものでなく股関節と体幹の分担に出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。運動していても、股関節と体幹が分担できないと腰がまとめて引き受ける。危険なものを外したうえで、分担の崩れから出どころを絞る。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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