テレビを持ち上げてから出た首から右肩の痛みが施術を経て楽になった例(30代男性)
主訴
2025年8月、首から肩、肩甲骨まわりの痛みでご来院されました。テレビを持ち上げた際に、右肩の上あたりに違和感と痛みが出始めたとのことでした。5、6年前に椎間板症と言われて病院を受診した経験があり、今回あらためて痛めたため、ご相談にいらっしゃいました。
当院の評価
患者様への説明
首を左に倒すと右肩の上に痛みが出て、首を回す動きでも肩に痛みが出る状態でした。姿勢を確かめると、肩甲骨が外側へ開き、首が反り気味で、頭が前に出た姿勢(頭部前方位、FHP=フォワードヘッドポスチャー)がみられました。肩甲骨が開いた姿勢のまま首を支えているため、持ち上げる動作で右肩の上から首にかけての筋肉に負担が集まりやすかったと考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】テレビを持ち上げた際に右肩上部へ違和感・痛み/首を動かすと肩に痛み 【検査】頸部左側屈で右肩上部に疼痛、頸部回旋で肩に疼痛
身体機能評価
肩甲骨外転症候群・頸部伸展症候群・頭部前方位(FHP)/小胸筋・前鋸筋の短縮/頸部伸筋群への負担
判断
肩甲骨が外側へ開いた姿勢で首が反りやすくなっており、持ち上げる動作のときに右肩の上から首にかけての筋肉へ負担が集中したことが主な要因と推測しました。胸の前と脇の筋肉をゆるめて肩甲骨を戻しやすくし、首の後ろの負担を減らしつつ、肩甲骨を支えるトレーニングを取り入れる方針としました。
施術の様子
患者様への説明
胸の前で肩甲骨を前へ引く筋肉(小胸筋)と、脇の下で肩甲骨を外側へ引く筋肉(前鋸筋)を手でていねいにゆるめ、肩甲骨が背中側へ戻りやすい状態をつくりました。あわせて首の後ろの筋肉をゆるめ、肩甲骨を動かす手技(肩甲胸郭モビライゼーション)も行いました。早い段階から、肩甲骨を支えるためのトレーニングをお伝えし、施術と並行して体の基礎作りを進めました。
専門的内容
【手技療法】小胸筋・前鋸筋・頸部伸筋群へのアプローチ、肩甲胸郭モビライゼーション/【運動療法】肩甲骨周囲のトレーニング指導(体の基礎作り)
施術の経過
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初期
2回目には首や肩の動く範囲が広がりましたが、日常に戻るといったん戻る場面もありました。3回目には痛みがかなり和らぎました。
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中期
5回目から7回目ごろには痛みがほぼ気にならなくなり、メンテナンスへ移行しました。そのまま11月まで週1回のペースで、トレーニングを含めた体の基礎作りを続けていただきました。
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後期
11月後半からは2週に1回のペースに広げ、現在も継続して通っていただいています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 2,980円
2回目以降の料金
施術 5,500円(トレーニングを追加する場合は別途 3,300円)
通院の目安
施術回数
週1回で約3か月(約12回)を経て、2週に1回のペースで継続中
施術期間
5〜7回目ごろに痛みがほぼ気にならなくなり、11月まで週1回で体の基礎作り。11月後半から2週に1回で継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「物を持ち上げた拍子に首から肩の上、肩甲骨まわりに痛みが出て、首を倒したり回したりすると痛む状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どうして持ち上げただけで、首から肩が痛くなるの?
物を持ち上げるとき、腕の重さと荷物の重さは肩甲骨を通して体幹で受け止めています。肩甲骨が外側へ開いた姿勢のままだと、肩甲骨を支える筋肉がうまく働かず、首から肩の上にかけての筋肉が荷物の重さを肩代わりしやすいと考えられています。そこへ首が反り気味で頭が前に出た姿勢が重なると、首の後ろの筋肉は常に頭を支える負担を抱えた状態になり、持ち上げる動作のような一時的な負荷がきっかけとなって痛みが出ることがあります。
椎間板症と言われた経験がある場合の考え方
過去に首の椎間板症と言われた経験がある方では、首そのものが悪化したのではないかと心配になることが少なくありません。今回のように首を倒す、回すといった動きで肩の上に痛みが出て、肩甲骨の位置に崩れがみられる場合は、首の骨だけでなく、肩甲骨まわりの筋肉の働きにも目を向けることが手がかりになります。腕や手にしびれや力の入りにくさが出ているときは、医療機関での評価を優先します。
痛みが引いたあとに基礎作りを続ける理由
痛みが和らいでも、肩甲骨が開きやすい姿勢や首を支える力の弱さが残っていると、同じ場面で負担が戻りやすいと言われています。施術でゆるめた状態を、肩甲骨を支えるトレーニングで保てるようにしていくことが、繰り返しを小さくするための土台になります。
持ち上げた拍子に出た首から肩の痛みでは、その場の動作だけでなく、肩甲骨が外側へ開いていないか、首が反って頭が前に出ていないか、肩甲骨を支える力が働いているかをあわせて確かめることが役立つと言われています。
川口 流世持ち上げた拍子に出た痛みは、その動作が悪かったというより、負担を受け止める姿勢の土台が崩れていたところにきっかけが重なったものと考えています。この方のように、痛みが落ち着いたあとも肩甲骨を支える力を育てる時間をとることで、同じ場面での戻りを小さくしていくことができます。首の既往がある方ほど、肩甲骨まわりから整えていく意味は大きいと感じています。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 物を持ち上げた拍子に、首から肩の上にかけて痛みが出た
- 首を横に倒す、回すと肩の上に痛みが出る
- 横から見ると頭が肩より前に出ている
- 肩甲骨が外側へ開き、背中が丸くなりやすい
- 過去に首の椎間板症などを指摘されたことがある
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 両手を後ろで組み、胸を開いて肩甲骨を背中側へ寄せる(息を止めない)
- 壁に背中をつけ、あごを軽く引いて後頭部を壁に近づける
- 重い物は体に近づけ、肩をすくめずに持ち上げる
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 腕や手にしびれ、力の入りにくさがある
- 首を動かしていないのに痛みが強まり続ける
- 発熱や体重減少など、体調の変化を伴う
- 転倒や事故のあとに出た痛みで、頭痛や吐き気がある
- 夜間や安静時にも痛みが続く
よくある質問
持ち上げた拍子に痛めたのに、首の骨ではなく肩甲骨を見るのはなぜですか?
この症例では、首を倒す、回す動きで肩の上に痛みが出ており、肩甲骨が外側へ開いて首が反り気味の姿勢がみられました。持ち上げる動作の負担を肩甲骨まわりの筋肉で受け止めきれず、首から肩の上の筋肉に集中したと考え、肩甲骨の位置から整えました。しびれや力の入りにくさがある場合は、医療機関での評価を優先します。
痛みはどのくらいで落ち着きましたか?
この症例では、2回目で首や肩の動く範囲が広がり、3回目には痛みがかなり和らぎました。5回目から7回目ごろには痛みがほぼ気にならなくなり、メンテナンスへ移行しています。経過には個人差があります。
痛みが引いたあとも通い続けているのはなぜですか?
この症例では、椎間板症と言われた経験もあり、肩甲骨を支える力を育てて首への負担を減らす目的で、痛みが落ち着いたあとも週1回で約3か月、トレーニングを含めた体の基礎作りを続けました。その後は2週に1回のペースに広げています。続け方は状態や生活に合わせてご相談しています。
川口 流世持ち上げた拍子に出た首から肩の痛みは、肩甲骨の位置と首の反りを確かめることで、進め方が見えてきます。首の既往があって不安な方や、同じ場面で痛みを繰り返している方は、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。









持ち上げた拍子に出た痛みでしたが、その場の動作だけが原因というより、肩甲骨が外側へ開いて首が反りやすい姿勢が土台にあり、そこへ負担が集中した方でした。椎間板症と言われた経験もあったため、痛みが落ち着いたあとも首に負担が寄らないよう、肩甲骨を支える力を育てる基礎作りを続けています。痛みが引いたところで終わりにせず、週1回で基礎作りを積み重ねてから間隔を広げていったことが、戻りを小さくしていると考えています。