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肩鎖関節損傷を評価する。Rockwood(ロックウッド)分類と鎖骨遠位の所見、骨折・腱板の鑑別

肩の上の痛みを、肩鎖関節で診る

肩鎖関節損傷は、転倒で肩を打つ、コンタクトスポーツなどで、肩鎖靭帯・烏口鎖骨靭帯が損傷する外傷です。鎖骨遠位の痛みと隆起(ピアノキー徴候)が特徴で、Rockwood(ロックウッド)分類で重症度を捉えます。軽症は保存、重症は手術が検討されます。鎖骨遠位端骨折や腱板損傷との鑑別が要点になります。

肩の上の痛みを肩関節そのものと混同せず、臨床では肩鎖関節損傷を、病態・評価・鑑別・対応に分けて見ていきます。柔道整復の応急の範囲と、医師の確定診断・整復の役割を分けて考えます。

病態:肩鎖・烏口鎖骨靭帯の損傷

肩鎖関節は鎖骨遠位端と肩峰をつなぐ関節で、肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯で安定しています。肩を直接打つ受傷で、これらの靭帯が損傷し、軽い捻挫から鎖骨遠位の挙上(脱臼)まで生じます。重症度はRockwood(ロックウッド)分類(I〜VI)で整理されます。

鎖骨遠位の限局した痛み・腫脹、変形(鎖骨遠位の隆起)、押すと沈んで戻るピアノキー徴候、水平内転(体の前で腕を反対へ)での痛みが特徴です。

まなぶ先生まなぶ先生

肩の上の痛みで、肩鎖関節か腱板か迷うことがあります。

教子先生教子先生

私は鎖骨の先の出っぱりと、水平内転での痛みを確認しています。

瀬谷崎瀬谷崎

その所見が手がかりですね。鎖骨遠位に限局した圧痛・隆起と、腕を体の前で反対側へ持っていく水平内転での痛みがあれば肩鎖関節を考える。挙上で痛むが鎖骨遠位に所見がなければ腱板やインピンジを疑う。変形や強い痛みは骨折・高度脱臼を念頭に画像評価へ。

疫学と自然経過(期待値の設定)

若年男性、コンタクトスポーツや転倒で多くみられます。軽症(I・II)は保存療法で軽快し、重症(III以上)は活動性や変形に応じて手術が検討されます。変形(隆起)は残ることがあります。

「軽症は保存で軽快するが、重症度の判断には画像が要る。変形は残ることがある」という見通しを持っておくと、適切に医療へつなげられます。

評価:重症度と鑑別を読み取る

  • 受傷機転:肩を直接打った、転倒・コンタクト
  • 視診・触診:鎖骨遠位の隆起・圧痛、ピアノキー徴候
  • 誘発:水平内転での痛み、挙上での痛み
  • 重症度の手がかり:変形の程度、機能障害(ロックウッド分類は画像で)
  • 鑑別所見:鎖骨遠位端の骨性圧痛、腱板の所見

所見で重症度を推定しますが、確定と分類には画像が必要です。変形や強い痛みがあれば医療機関での評価につなぎます。

鑑別(外せないもの)

  • 鎖骨遠位端骨折:鎖骨遠位の骨性圧痛、変形
  • 腱板損傷・インピンジ:挙上時痛、鎖骨遠位に所見が乏しい
  • 肩関節(前方)脱臼:肩の輪郭の変化、整復を要する
  • 胸鎖関節損傷(鎖骨の反対端)
  • 頚椎由来の関連痛

対応:重症度に応じて設計する

  • 急性期:保護・固定(アームスリングなど)・冷却で安静を確保
  • 軽症(I・II):保存療法。痛みに応じて段階的に可動・筋力
  • リハ:肩甲帯の安定、腱板・体幹を含めた段階的な復帰
  • 重症(III以上)・変形・強い痛みは整形外科で画像評価・手術相談
  • 確定診断と整復・手術は医師の領域
注意

重症度の確定と治療方針には画像が必要です。明らかな変形や強い痛み、高度の脱臼が疑われる場合は、応急の保護にとどめ、整形外科での評価につなぎます。軽症でも、痛みを我慢して早期に高負荷へ戻すと遷延するため、段階的な復帰を組み立てます。

まなぶ先生まなぶ先生

保存でみる場合の、復帰の進め方に迷います。

教子先生教子先生

変形が残る方への説明を、どうするか悩みます。

瀬谷崎瀬谷崎

痛みと可動の回復に応じて、肩甲帯の安定から段階的に負荷を上げるのが基本ですね。変形(隆起)は残っても機能は戻ることが多い、と見通しを伝えると受け止めやすい。重症度の判断は画像ありき、と最初に医療評価を挟むのが安全です。

肩の上の痛みを「肩鎖関節」で捉える

肩鎖関節損傷は、鎖骨遠位の所見と水平内転痛を受傷機転に結びつけて捉えます。骨折や腱板との鑑別を押さえ、重症度に応じて保存と医療連携を組み立てます。確定と整復は医師に委ねます。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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