同じ姿勢の仕事で右側だけに続いていた15年来の腰と背中の鈍い痛みが施術を経て楽になり、ケアを続けている例(40代男性)
主訴
2023年12月、腰と背中の痛みでご来院されました。15年ほど前から姿勢の悪さと痛みが続いており、仕事で同じ姿勢が続くとかなり症状が出て、特に右側だけに鈍い痛みがずっと続いている状態でした。この5〜6年でデスクワークが増え、少しずつ悪化してきたとのことでした。
当院の評価
患者様への説明
体を前に倒す、横に倒す、右にひねる、それぞれの動きで痛みが出ることを確かめました。前に倒す動きでは太ももの裏(ハムストリングス)とふくらはぎ(腓腹筋)の硬さが、横に倒す動きでは内ももの筋肉(内転筋)と太ももの外側(大腿筋膜張筋)、お尻の横の筋肉(中殿筋)の硬さが、右にひねる動きでは太ももの外側の筋肉の硬さが関わっていました。股関節まわりの筋肉の硬さで骨盤の動きが制限され、その分を腰と背中が動いて補うことで、右側に負担が集まっていると考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】仕事で同じ姿勢が続くと腰から背中の右側に鈍い痛み/15年来・この5〜6年のデスクワーク増加で悪化 【検査】体幹の前屈・側屈・右回旋で疼痛誘発
身体機能評価
前屈時痛に対してハムストリングス・腓腹筋の短縮/側屈時痛に対して内転筋・大腿筋膜張筋・中殿筋の短縮/右回旋時痛に対して大腿筋膜張筋の短縮/中殿筋の筋出力低下
判断
同じ姿勢で座り続けると、股関節まわりの筋肉は縮んだまま硬くなりやすいと言われています。この方は、前に倒す・横に倒す・右にひねる、それぞれの動きで別々の筋肉の硬さが確かめられ、どの動きでも股関節の動きが足りない分を腰と背中が代わりに動いて補っていました。15年続いた右側の鈍い痛みは、この代わりの動きが右側に偏って積み重なったものと判断し、動きごとに関わる筋肉をゆるめながら、骨盤を支えるお尻の筋肉を働かせる方針としました。
施術の様子
患者様への説明
動きごとに確かめた筋肉、太ももの裏(ハムストリングス)とふくらはぎ(腓腹筋)、内もも(内転筋)、太ももの外側(大腿筋膜張筋)、お尻の横(中殿筋)をゆるめる手技を行い、電気療法もあわせています。ご自宅では、これらの筋肉のセルフケアをお伝えし、途中からはお尻の横の筋肉(中殿筋)のトレーニングを加えて、座っているあいだの骨盤を支えられる状態を目指しました。
専門的内容
【手技療法】ハムストリングス・腓腹筋・内転筋・大腿筋膜張筋・中殿筋へのアプローチ/【物理療法】電気療法/【運動療法】自宅セルフケアの指導、途中から中殿筋トレーニングを導入
施術の経過
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初期
初回から、動きごとに確かめた筋肉をゆるめる施術と電気療法を週1回のペースで進めました。痛みや違和感は回を重ねるごとに落ち着いてきました。
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中期
3回目には、9時間ほど車を運転してもかなり調子が良い状態で過ごせるようになりました。ご自宅でのセルフケアも続けていただき、途中からお尻の横の筋肉のトレーニングを加えています。
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後期
その後も、以前と比べると症状はかなり軽くなっています。一方で、セルフケアができていない時期には症状が出やすくなるため、2週に1回のペースでメンテナンスを続けながら、仕事の姿勢とケアのバランスを確かめています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 5,236円+電気療法 1,650円
2回目以降の料金
施術 7,480円+電気療法 990円
通院の目安
施術回数
3回以上(メンテナンス継続中)
施術期間
3回目に長時間の運転でも調子が良い状態になり、その後は2週に1回のメンテナンスを継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「仕事で同じ姿勢が続くと、腰から背中の片側だけに鈍い痛みが出て、何年も続いている状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
同じ姿勢を続けると、腰や背中の片側だけが痛くなるのはなぜ?
座った姿勢を長く続けると、股関節まわりの筋肉は縮んだまま硬くなりやすいと言われています。股関節の動きが硬さで制限されると、体を前に倒す・横に倒す・ひねるといった動きのたびに、足りない分を腰と背中が代わりに動いて補うことになります。その補い方に左右の偏りがあると、片側の腰から背中にだけ負担が積み重なり、鈍い痛みとして長く続きやすいと考えられています。デスクワークが増えてから悪化したという経過は、同じ姿勢の時間が長くなったぶん、この偏りが強まったものと見ることができます。
動きごとに関わる筋肉が違う
腰と背中の痛みをひとまとめにせず、前に倒したとき、横に倒したとき、ひねったときで、どの筋肉の硬さが関わっているかを分けて確かめるという進め方が取られることがあります。この症例では、前に倒す動きには太ももの裏とふくらはぎ、横に倒す動きには内ももと太ももの外側、お尻の横、ひねる動きには太ももの外側の硬さがそれぞれ関わっていました。関わる筋肉ごとにゆるめ、骨盤を支えるお尻の筋肉のトレーニングを加えています。
座っているだけで重だるい腰との違い
同じデスクワークの腰の症状でも、動きで痛みが出ず、座っているだけで重だるくなるタイプもあります。当院では座っていると重だるくなっていた長年の腰の痛みの症例も記録しています。この症例のように動きで痛みが出る場合と、姿勢そのものでつらくなる場合では確かめる順番が変わるため、どんなときにつらいかをそのまま教えていただけると進め方が見えやすくなります。
同じ姿勢の仕事で片側だけに続く腰と背中の痛みでは、痛む場所だけでなく、どの動きでつらいか、その動きを制限している股関節まわりの筋肉はどれかを分けて確かめることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
川口 流世何年も続いている片側だけの腰や背中の痛みは、「もうこういうものだ」と諦めている方が多いです。動きごとに確かめると、腰そのものより股関節まわりの硬さが見つかることがあります。仕事の姿勢は変えにくくても、ケアの仕方は一緒に組み立てられますので、まずは確かめさせてください。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 仕事で同じ姿勢が続くと、腰から背中の片側だけに鈍い痛みが出る
- 痛みが何年も続いていて、デスクワークが増えてから強まった
- 体を前に倒す、横に倒す、ひねる動きのどれかで痛みが出る
- 太ももの裏やふくらはぎ、内ももが硬く、前かがみで突っ張る
- 長時間の運転や会議のあとに腰や背中が重くなる
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 仕事の合間に立ち上がって、太ももの裏とふくらはぎをゆっくり伸ばす時間をつくる
- 座ったまま片脚を外に開いて内ももを伸ばす、脚を組み替えるなど、股関節の向きを変える
- 椅子に座るときに左右均等に体重をかけ、片側にもたれ続けないように意識する
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 脚にしびれが出る、力が入りにくい、感覚が鈍い
- 排尿や排便の調子がおかしい
- 安静にしていても、夜間も痛みが強く続く
- 発熱や体重減少など体調の不調を伴っている
- 転倒や強い衝撃のあとに痛みが出た
よくある質問
15年続いた腰と背中の痛みは、何回くらいで変わりましたか?
この症例では、週1回のペースで進めて3回目には9時間ほどの運転でもかなり調子が良い状態になりました。その後は2週に1回のメンテナンスを続けています。セルフケアができていない時期には出やすくなるため、ケアを続けることが前提の経過です。経過には個人差があります。
腰と背中が痛いのに、太ももやふくらはぎに施術したのはなぜですか?
この症例では、体を前に倒す・横に倒す・ひねる、それぞれの動きで股関節まわりの筋肉の硬さが確かめられ、股関節の動きが足りない分を腰と背中が代わりに動いて補っていました。痛む腰と背中だけでなく、動きを制限している太ももの裏やふくらはぎ、内もも、太ももの外側、お尻の横の筋肉をゆるめることで、腰と背中への負担の偏りを減らすことを目指しました。
デスクワークを続けながらでも大丈夫ですか?
この症例では、デスクワークを続けながら施術を進めました。ご自宅でのセルフケアとお尻の横の筋肉のトレーニングを組み合わせ、座っているあいだの骨盤の支え方が変わるように取り組んでいただいています。仕事の姿勢を大きく変えなくても、合間のケアで負担の積み重なりを途切れさせることが大切と考えています。
川口 流世同じ姿勢の仕事で片側だけに続く腰と背中の痛みは、動きごとに股関節まわりの筋肉を確かめることで進め方が見えてきます。仕事を続けながらでも取り組めますので、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








15年続いた右側だけの鈍い痛みでしたが、動きごとに確かめると、腰そのものより股関節まわりの筋肉の硬さが、前に倒す・横に倒す・ひねるの各動きを制限し、その分を腰と背中が補っていました。長時間の運転でも調子が良い状態まで変わりましたが、ケアが途切れると出やすいのもこの方の特徴です。同じ姿勢の仕事は続きますので、セルフケアと中殿筋のトレーニングを軸に、2週に1回の間隔で経過を確かめています。