首を前に倒すと痛む肩こりと背中の鈍い痛みが施術を経て約1か月で落ち着いた例(30代女性)
主訴
2023年10月、肩こりと背中の鈍い痛みでご来院されました。首を前に倒す動きで痛みが出る状態で、肩のこりとあわせて背中の鈍い痛みが続いているとのことでした。
当院の評価
患者様への説明
首を前に倒す動きで痛みが出ることを確かめたうえで肩甲骨の位置を見ると、肩甲骨が外に開き、下がった位置で固まっていました。胸の前の筋肉(小胸筋)、脇の下から肋骨につく筋肉(前鋸筋)、腕の前側の筋肉(上腕二頭筋)に張りがあり、肩甲骨を外側と下方向へ引き続けている状態でした。肩甲骨が下がったまま首を前に倒すと、首の後ろから背中にかけての筋肉が引き伸ばされながら支えることになり、こりと鈍い痛みにつながっていると考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】肩こり、背中の鈍い痛み/首を前に倒す動きで痛みが出る 【所見】肩甲骨の外転位・下制位
身体機能評価
肩甲骨の外転位・下制位/小胸筋・前鋸筋・上腕二頭筋の短縮/僧帽筋の筋出力低下(肩甲骨の支持)/頸部屈曲時痛
判断
肩甲骨の位置は、首や背中の筋肉と、胸や腕の筋肉との引き合いの中で決まります。この方は、胸の前や脇、腕の前側の筋肉が肩甲骨を外側と下方向へ引き続け、肩甲骨を上から支える僧帽筋が働きにくくなっていました。肩甲骨が下がって外に開いたまま首を前に倒すと、首の後ろから背中にかけての筋肉が引き伸ばされながら支える形になり、こりと鈍い痛みにつながっていると判断しました。引っ張っている側をゆるめ、支える側を働かせる方針としました。
施術の様子
患者様への説明
肩甲骨を外側と下方向へ引いていた胸の前の筋肉(小胸筋)、脇の下の筋肉(前鋸筋)、腕の前側の筋肉(上腕二頭筋)をゆるめる手技から始めました。あわせて首まわりの施術を行い、肩甲骨を上から支える僧帽筋のトレーニングをお伝えして、肩甲骨が下がった位置に戻りにくい状態を目指しました。来院の間隔は最初から2週に1回とし、間の過ごし方も確かめながら進めました。
専門的内容
【手技療法】小胸筋・前鋸筋・上腕二頭筋へのアプローチ(肩甲骨の外転位・下制位に対して)/頸部への施術/【運動療法】僧帽筋トレーニングの指導(肩甲骨の支持)
施術の経過
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初期
初回の施術後、2回目の来院時には首を横に倒す動きで症状が出ており、途中で頭痛が出る時期もありました。引き続き、肩甲骨を引き下げている筋肉をゆるめ、僧帽筋のトレーニングを続けていただきました。
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中期
3回目には調子がかなり良くなり、頭痛も出なくなって、肩こりと背中の痛みも落ち着いてきました。
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後期
4回目にはさらに症状が落ち着き、ここからメンテナンスへ移行しました。最初から2週に1回のペースで状態を確かめながら進め、通い始めて約1か月で症状が落ち着いています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円
2回目以降の料金
施術 7,480円
通院の目安
施術回数
4回(その後メンテナンスへ移行)
施術期間
約1か月で症状が落ち着き、4回目からメンテナンスへ移行
ここでは、この症例の記録とは別に、「首を前に倒すと痛みが出て、肩こりと背中の鈍い痛みが続いている状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
首を前に倒すと、肩や背中が痛くなるのはなぜ?
首を前に倒すとき、首の後ろから背中にかけての筋肉は、頭の重さを支えながら引き伸ばされます。このとき肩甲骨が本来の位置にあれば、背中の筋肉は肩甲骨を土台にして支えられます。ところが、胸の前や脇、腕の前側の筋肉が張って肩甲骨を外側と下方向へ引き続けていると、土台が下がったまま首が前に引かれ、首の後ろから背中の筋肉が常に引き伸ばされながら支えることになると言われています。この状態が続くと、首を前に倒す動きで痛みが出たり、肩のこりに加えて背中に鈍い痛みを感じたりしやすくなると考えられています。
引っ張る側と支える側を分けて考える
肩甲骨の位置は、引き下げる筋肉と引き上げて支える筋肉の引き合いで決まります。こっている首や背中をほぐすだけでなく、肩甲骨を引き下げている胸や脇、腕の前側の筋肉をゆるめ、上から支える僧帽筋を働かせるという組み立てが取られることがあります。この症例でも、小胸筋・前鋸筋・上腕二頭筋への手技と首まわりの施術に加えて、僧帽筋のトレーニングを早い段階から取り入れました。
首を後ろに倒すとつらい場合は見方が変わる
同じ肩こりでも、首を後ろに倒したときにつらい場合は、肩甲骨の位置や首の動きの関わり方が異なることがあります。当院では首を後ろに倒すと出ていた右肩甲骨の痛みと肩こりの症例も記録しています。どの動きでつらいかによって確かめる場所が変わるため、来院時にはつらい動きをそのまま教えていただけると進め方が見えやすくなります。
首を前に倒すと出る肩こりや背中の痛みでは、こっている場所だけでなく、肩甲骨が下がって外に開いた位置で固まっていないか、肩甲骨を支える筋肉が働けているかを確かめることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
川口 流世首を前に倒すとつらい、背中まで鈍く痛むという方は、肩甲骨の位置から確かめさせてください。肩甲骨を引き下げている胸や腕の筋肉と、支える僧帽筋の働きを一緒に見ていくと、ほぐしても戻ってしまう理由が見えてくることがあります。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 首を前に倒す、うつむく動きで首から背中に痛みや張りが出る
- 肩こりに加えて、背中の真ん中あたりに鈍い痛みが続いている
- 肩が下がっている、なで肩ぎみと言われることがある
- 胸の前や脇の下が硬く、腕を上げると引っかかる感じがある
- こりが強い時期に頭痛が出ることがある
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 胸の前を軽く開くように、両手を後ろで組んで肩甲骨を寄せる時間を1日の中でつくる
- 肩をすくめてゆっくり下ろす動きを数回くり返し、肩甲骨を支える筋肉を働かせる
- うつむく作業が続くときは、30分に一度は顔を上げて肩甲骨を動かす
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 腕や手にしびれが出る、力が入りにくい、感覚が鈍い
- これまでにない強い頭痛が急に出た、ろれつが回らない、めまいを伴う
- 発熱や体重減少など体調の不調を伴っている
- 安静にしていても、夜間も痛みが強く続く
- 転倒や事故のあとに痛みが出た
よくある質問
首を前に倒すと痛む肩こりは、何回くらいで変わりましたか?
この症例では、最初から2週に1回のペースで進め、3回目には調子がかなり良くなり、4回目でさらに落ち着いてメンテナンスへ移行しました。通い始めて約1か月で症状が落ち着いています。経過には個人差があります。
肩や背中が痛いのに、胸や腕の前側に施術したのはなぜですか?
この症例では、胸の前の筋肉(小胸筋)や脇の下の筋肉(前鋸筋)、腕の前側の筋肉(上腕二頭筋)が肩甲骨を外側と下方向へ引き続け、その結果として首の後ろから背中の筋肉が引き伸ばされながら支えていました。痛む場所をほぐすだけでは戻りやすいため、引っ張っている側をゆるめ、支える僧帽筋を働かせることで、肩甲骨が下がった位置に戻りにくい状態を目指しました。
途中で頭痛が出たのは、施術と関係がありますか?
この症例では、2回目の来院前後に頭痛が出る時期がありました。首や肩のこりが強い時期には頭痛を伴うことがあると言われており、3回目以降は首の負担が落ち着くにつれて頭痛も出なくなっています。頭痛が急に強く出た場合や、これまでにない種類の頭痛の場合は、施術より先に医療機関への相談をおすすめしています。
川口 流世首を前に倒すとつらい肩こりや背中の鈍い痛みは、肩甲骨の位置と支える筋肉から確かめることで進め方が見えてきます。どの動きでつらいかを教えていただければ、そこから一緒にたどっていきますので、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。









肩こりと背中の痛みというと、首や肩を直接ほぐすことを思い浮かべる方が多いのですが、この方は肩甲骨が外に開いて下がった位置で固まっていることが背景にありました。胸や脇、腕の前側の筋肉が肩甲骨を引き下げ、首の後ろから背中が常に引き伸ばされながら支えていた形です。引っ張る側をゆるめ、支える僧帽筋を働かせる方向で進め、約1か月で落ち着きました。途中で頭痛が出た時期もありましたが、首の負担が減るにつれて出なくなっています。