肩こりと背中の張り、原因は肩甲骨と姿勢か。症例をスタッフで検討

肩こりの原因、なぜ「肩甲骨と頭の位置」に着目したのか

1つの症例を、担当した川口流世先生(とんとん整骨院 下板橋店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。長く続いた肩こりと背中の張り。首や肩そのものでなく、肩甲骨と姿勢に出どころを見た判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、肩こりと背中の張りを訴えて来院した20代の女性。長く続いた首から背中の重さの症例です。答えを急がず、事実と結果から見ていきます。

症例カルテ:肩こりと背中の張り、肩甲骨と姿勢に着目
今回検討する症例(担当:川口先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=肩こりと背中の張り(20代・女性)。所見=頸部の伸展で可動域の低下、屈曲時に首・肩・背中の張りが再現、肩甲骨の外転(開き)と頭部前方位の姿勢。対応=頸部の伸筋群・小胸筋・胸鎖乳突筋をゆるめ、肩甲骨を支える動きと姿勢の再教育。経過=首から背中の重さが段階的に軽減し、現在は月1回のメンテナンスで再発予防を継続。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

肩こり・背中の張りの原因は肩甲骨の外転と頭部前方位か

主訴は肩こりと背中の張り。けれど川口先生は、こっている場所そのものより、その負担を生んでいる姿勢に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

川口先生川口先生

主訴は肩こりと背中の張りでしたが、所見をとると肩甲骨が外に開き、頭が前に出た姿勢が目立ちました。こっている場所と、負担を生んでいる場所は違うのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

肩や首がこっているのに、姿勢や肩甲骨に目を向けたのは何が根拠だったんですか。

川口先生川口先生

頸部を曲げると首から背中に張りが再現される一方、肩甲骨が外へ開き、頭が前に出る姿勢が崩れていました。頭の重さを支えるために首の後ろや背中が働き続ける、という像が所見と一致したんです。だから断定でなく、まずその仮説で進めました。

肩こりで見逃せない、頸椎や胸郭出口由来との鑑別

「姿勢のせい」と考えるには、先に外しておくべきものがあります。教子先生がそこを確認しました。

教子先生教子先生

その見立ての前に、頸椎そのものや、腕のしびれを伴う胸郭出口由来の症状は外せていましたか。

川口先生川口先生

腕や手のしびれ、力の入りにくさはなく、症状は首から背中の張りに限られていました。神経を疑う所見はなく、姿勢と動作で張りが再現したので、姿勢からくる筋の負担ととらえています。

瀬谷崎瀬谷崎

そこを外したうえでの判断なら、筋道は通っていますね。しびれを伴う神経由来をまず外し、再現する動作と肩甲骨・頭の位置がそろって姿勢を指す。順序が妥当だと思います。決めつけずに範囲を狭められたのがよかった。

肩こりに肩甲骨と姿勢のケアは効くのか

こりを直接ゆるめるだけで終わらせない、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

肩や首を直接ゆるめるだけでは足りない、ということですか。

川口先生川口先生

その場は楽になっても、姿勢が戻れば負担も戻りやすいんです。だから胸まわりや首の筋をゆるめたうえで、肩甲骨を支える動きと姿勢づくりを続けてもらいました。最終的には重さが出にくくなって、今は月1回のメンテナンスです。

瀬谷崎瀬谷崎

ゆるめることを「治す手段」だけにせず、姿勢の再教育につなげているのが要点ですね。負担を下げつつ、使い方を変える。出にくくなった経過も、その方向を支持しています。ただ姿勢は生活の影響が大きいので、続ける前提で見ていきたいところです。

考察:肩甲骨と頭の位置からとらえる肩こりの出どころ

所見という事実(肩甲骨の外転・頭部前方位・動作での張りの再現)と、経過という結果(首から背中の重さの軽減、再発予防の継続)。この両方が、「首や肩そのものでなく肩甲骨と姿勢に出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。こっている場所と原因が一致しないことはあり、決めつけずに所見と動作で出どころを絞る。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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