ストレスで腕の置き場がないほどになった首肩のこりと背中の重だるさに鍼灸を続け、仕事に集中できるようになった例(40代男性)
主訴
2023年8月、首肩のこりと背中全体の重だるさでご来院されました。デスクワークに加えて、お仕事でのクレーム対応などで大きなストレスを抱えておられ、仕事中に背中まわりのしんどさに耐えきれず、腕までむかむかするような、置き場がわからないような感覚が出はじめたことがきっかけでした。
当院の評価
患者様への説明
首や肩、背中を動かしていただいても、動きによってつらさが強まったり弱まったりすることはありませんでした。筋肉や関節の一般的な見方だけでは説明がつきにくい所見も多かったため、お仕事の状況や日常生活のことを詳しくうかがい、体全体の緊張のバランスを東洋医学の見方で確かめる方針を選びました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】デスクワークと業務上のストレスを背景にした首肩のこり・背中全体の重だるさ/仕事中に腕までむかむかする、置き場のない感覚 【所見】動作による症状の増減なし。運動器の評価で説明しにくい所見が複数
身体機能評価
動作で再現・増減しない愁訴/頚肩部の筋緊張/運動器の所見と一致しない愁訴の併存/生活状況・業務ストレスの聴取
判断
動きで変わる症状ではなく、お仕事のストレスが続くなかで体全体の緊張が抜けにくくなっている状態と考えました。首肩まわりの張りには鍼を行い、あわせて東洋医学の考え方にもとづいて、体の緊張のバランスに関わるとされてきたツボを選んで鍼を行う方針としました。施術箇所は、カウンセリングと日常生活の聞き取りをもとに、その回ごとに決めました。
施術の様子
患者様への説明
首から肩にかけて張りの強い部分に鍼を行い、あわせて東洋医学で古くから用いられてきたツボにも鍼を行いました。背骨の両側にならぶ華佗夾脊穴(かだきょうせきけつ)、すねの内側の三陰交(さんいんこう)、頭のてっぺんの百会(ひゃくえ)、手首の内側と外側の内関(ないかん)と外関(がいかん)、足の甲の太衝(たいしょう)です。毎回、お仕事の状況や日常生活のことを詳しくうかがい、その日の施術箇所を決めました。
専門的内容
【鍼】頚肩部への刺鍼/華佗夾脊穴・三陰交・百会・内関・外関・太衝への刺鍼(東洋医学的アプローチ)/【カウンセリング】生活状況・業務ストレスの聴取をもとに毎回の施術部位を選択
施術の経過
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初期
隔週のペースで鍼を続けました。施術のたびにお仕事や日常生活の様子をうかがい、その日の体の状態に合わせて施術箇所を決めていきました。
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中期
3か月から5か月ほど続けるなかで、仕事中に耐えきれなかった背中まわりのしんどさや、腕のむかむかした感覚に振り回されることが減り、お仕事に集中できる状態になりました。
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後期
ここまでで計10回の施術を行いました。現在は、集中して働ける体を保つ目的で、メンテナンスとして続けていただいています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
鍼灸 9,680円
2回目以降の料金
鍼灸 9,680円
通院の目安
施術回数
10回(現在もメンテナンスで継続中)
施術期間
隔週で3〜5か月続け、仕事に集中できる状態になって以降はメンテナンスへ移行
ここでは、この症例の記録とは別に、「お仕事のストレスが続くなかで、首肩のこりや背中全体の重だるさ、腕の置き場がないような感覚が出てくる状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
肩こりなのに、動きの検査でつらさが出ないのはなぜ?
首肩のこりや背中の張りの多くは、姿勢や筋肉の使い方のかたよりが背景にあり、首を動かしたり腕を上げたりすると、つらさが強まったり弱まったりします。ところが、動かしても変わらないこりや重だるさは、筋肉や関節の見方だけでは説明がつきにくいことがあります。忙しさやストレスが長く続くと、体は活動モードのまま緊張が抜けにくくなると言われており、首肩や背中の張りに加えて、腕の置き場がないような落ち着かなさとして現れる方もいます。この症例でも、動きの検査では再現されない不調が重なっていたため、お仕事の状況から確かめていきました。
東洋医学の見方でツボを選ぶ理由
東洋医学では、体を部分ごとに分けるのではなく、全体の緊張のバランスや巡りとしてとらえる考え方が古くから伝えられています。背骨の両側にならぶ華佗夾脊穴(かだきょうせきけつ)や、手首の内関(ないかん)と外関(がいかん)、足の甲の太衝(たいしょう)などは、体の緊張がゆるみにくい状態に対して、長く用いられてきたツボです。この症例では、首肩の張りの強い部分への鍼と、こうしたツボへの鍼を組み合わせました。感じ方や経過には個人差があります。
お話をうかがうことも施術の一部
動きで変わらない不調では、その日の体の状態が、お仕事の忙しさや気持ちの張りつめ方と結びついていることが少なくありません。毎回、仕事や生活の様子をうかがったうえで施術箇所を決めることで、その日に合った進め方を選びやすくなると考えています。同じ担当者が、首から腰まで体が重く眠りも浅かった方を担当した記録もあります(首から腰まで体が重く眠りも浅かった不調に鍼灸を続け、仕事や趣味に集中できている例(40代男性))。どちらも動きで変わらない不調ですが、不調の出方と進め方の違いを読み比べていただけます。
動かしても変わらない首肩のこりや重だるさでは、筋肉や関節だけでなく、ストレスや生活の状況まで含めて体全体の緊張の状態を確かめることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
二宮 寿己仕事中に背中がしんどくて、腕の置き場までわからなくなる感覚は、周りに伝わりにくく、ひとりで抱えやすいものだと思います。動きの検査で出ないからといって、気のせいではありません。お話をうかがいながら、体全体の緊張の状態を一緒に確かめていきましょう。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- デスクワークやストレスの多い仕事が続き、首肩のこりや背中全体の重だるさが抜けない
- 肩を回したり首を動かしたりしても、つらさがはっきり変わらない
- 仕事中にそわそわして、腕や体の置き場がないような感覚がある
- マッサージで一時的に楽になっても、忙しさが続くと戻る
ご自宅でできる工夫
一般的なセルフケアとして、次のような工夫が知られています。
- 仕事の合間に席を立ち、肩を回す、深く息を吐くなど、体の緊張をゆるめる時間を短くてもつくる
- 湯船につかる、寝る前に画面から離れるなど、休息に切り替わりやすい夜の過ごし方を意識する
- つらさの出方と、そのときの仕事や生活の状況をメモしておくと、施術やご相談のときの手がかりになる
気分の落ち込みが強いときや、日常生活や仕事に大きく支障が出ているときは、無理をせず医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
首肩のこりや背中の重だるさの背景に、医療機関での確認が必要な病気が隠れていることもあります。次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 胸の痛みや圧迫感、動悸、息苦しさをともなう
- 急に強い頭痛が出た、手足のしびれや力の入りにくさ、ろれつの回りにくさがある
- 発熱や急な体重減少、食欲の低下をともなっている
- 気分の落ち込みや眠れない状態が2週間以上続き、日常生活に支障が出ている
よくある質問
動きの検査でつらさが出ないのに、鍼を行うのはなぜですか?
この症例では、首肩まわりの張りと、お仕事のストレスが続くなかで体全体の緊張が抜けにくくなっている状態が重なっていると考えました。張りの強い部分への鍼に加えて、東洋医学で古くから体の緊張のバランスに関わるとされてきたツボを選んで鍼を行っています。経過には個人差があります。
どれくらいの間隔で、何回くらい通いましたか?
この症例では隔週のペースで続け、3か月から5か月ほどで仕事に集中できる状態になりました。ここまでで計10回の施術を行い、その後は状態を保つ目的でメンテナンスとして続けていただいています。
病院にかかっている場合も受けられますか?
服薬中の方や医療機関にかかっている方も、まずは状況をお聞かせください。医療機関での対応と並行する場合は、主治医の方針を尊重しながら進めます。薬の調整はご自身の判断で行わず、処方している医師にご相談ください。
二宮 寿己動かしても変わらない首肩のこりや重だるさは、体の見方を少し広げると糸口が見えてくることがあります。仕事のストレスが続いてつらさが抜けない方は、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。





動かしても変わらないつらさや、腕の置き場がないような感覚は、筋肉や関節の見方だけでは説明がつきにくいことがあります。この方は、お仕事のストレスが長く続いていたこともあり、体全体の緊張のバランスを東洋医学の見方で確かめながら、首肩の張りと合わせて鍼を行いました。毎回お話をうかがって施術箇所を決める時間も、この方には大切だったと感じています。今は集中して働ける体を保つ目的で、メンテナンスとして続けていただいています。