着替えや荷物を背負うときに痛んだ右肩が施術を経て楽になった例(50代男性)
主訴
2026年3月、右肩の痛みがなかなか取れないとのことでご来院されました。日常はデスクワークで、趣味は釣り。毎週釣りに行かれていますが、釣りの最中に痛みが気になったことはなく、着替えのときや荷物を背負うときに痛みが出る状態でした。
当院の評価
患者様への説明
動きの検査では、腕を前から上げる動き(屈曲)と横から上げる動き(外転)で痛みがみられました。肩の後ろ側の筋肉の硬さが要因となって、腕の骨の頭(上腕骨頭)が前方へ寄った位置になり、動きのたびに負担がかかっている可能性があると考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常動作】着替え・荷物を背負う動作で右肩に痛み(釣りでは痛まない) 【検査】肩関節の屈曲・外転で疼痛誘発
身体機能評価
肩関節後方の筋肉の硬さ/上腕骨頭の前方偏移の可能性
判断
肩の後ろ側の筋肉が硬くなることで、腕の骨の頭が前方へ寄った位置で動くことになり、腕を上げる動作のたびに肩の前側へ負担が集まっていたことが主な要因と考えられます。
施術の様子
患者様への説明
硬さのあった肩の後ろ側の筋肉(棘下筋・三角筋の後面)をゆるめる手技を行い、あわせて、ゆるめた筋肉が正しく働けるように、棘下筋のトレーニングをお伝えして再教育を進めました。
専門的内容
【手技療法】棘下筋・三角筋後面へのアプローチ/【運動療法】筋の再教育を目的とした棘下筋トレーニングの指導
施術の経過
-
初期
初回から3回目までで、痛みはほぼなくなりました。腕を前から上げる可動域は150度程度で、動きにはまだ硬さが残っている状態でした。
-
中期
4回目から6回目にかけて、症状はほぼ気にならなくなりました。
-
後期
今後は、別の症状である肩こりの施術をあわせて行うこととなり、肩関節については月1回のメンテナンスへ移行しました。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円+物理療法 1,650円
2回目以降の料金
施術 7,480円+物理療法 990円
通院の目安
施術回数
約6回
施術期間
その後は月1回のメンテナンスへ移行
ここでは、この症例の記録とは別に、「着替えや荷物を背負うなど、何気ない日常動作で出る肩の痛み」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どうして日常のささいな動きで肩が痛むの?
肩の関節は、腕の骨の頭が受け皿の中心でスムーズに回ることで、大きな動きを保っていると言われています。肩の後ろ側の筋肉が硬くなると、腕の骨の頭が前へ押し出された位置で動くことになり、腕を上げるたびに前側の組織へ負担が集まりやすくなると考えられています。趣味などの集中した動きでは気にならず、着替えのような何気ない動きで痛むことがあるのはこのためと考えられます。
長引く肩の痛みでは、痛みを感じる場所だけでなく、肩の後ろ側の筋肉の硬さと、腕の骨の位置を確かめることが役立つと言われています。
塩谷 健太「そのうち取れるだろう」と様子をみて、数ヶ月たってしまった肩の痛みのご相談は多いです。動きの検査でどの向きで痛むかを確かめると、負担のかかり方が見えてきます。着替えや荷物のたびに痛む方は、五十肩と決めつける前に一度状態を確かめてみてください。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 着替えや荷物を背負う動作で肩が痛む
- 腕を上げる途中で引っかかるような痛みがある
- 痛みが数週間〜数ヶ月続いている
- デスクワークなど同じ姿勢の時間が長い
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 痛みの出る動きを無理にくり返さず、痛みのない範囲で肩を動かす
- 肩の後ろ側を軽く伸ばすストレッチ(腕を胸の前へ横切らせて引き寄せる)を痛みのない範囲で行う
- 長時間の同じ姿勢を避け、こまめに肩甲骨を動かす
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 夜間にうずいて眠れない状態が続いている
- 腕や手のしびれ・力の入りにくさを伴う
- 転倒や強くぶつけたあとから痛みが続いている
- 肩が全方向に動かせないほど固まってきている
よくある質問
五十肩とは違うのですか?
肩の痛みには、動かせる範囲が全体的に狭くなっていくタイプ(いわゆる五十肩)と、特定の動きで痛むタイプがあると言われています。この症例では、屈曲・外転で痛む一方で肩の後ろ側の硬さが目立ち、筋肉へのアプローチで約6回で落ち着きました。判別のためにも、まず動きの検査で状態を確かめることをおすすめします。
痛みが取れたあともトレーニングは必要ですか?
この症例では、ゆるめた筋肉が正しく働き続けられるよう、棘下筋のトレーニングを組み合わせました。硬さを取るだけだと同じ使い方に戻りやすいため、再教育までを一連の流れとして進めています。
趣味の釣りは続けてもよかったのですか?
この方は釣りの最中の痛みはなかったため、続けながら施術を進めました。痛みの出る動きと出ない動きを確かめたうえで、生活や趣味を止めずに進められる範囲をご提案しています。
塩谷 健太何気ない動作の痛みほど、毎日の小さなストレスになります。痛む動きと痛まない動きを手がかりに、負担の理由を一緒に確かめていきましょう。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。







「釣りでは痛くないのに、着替えで痛い」という訴えは、一見不思議に思えるかもしれません。集中している動きと、何気ない日常の動きでは、肩の使われ方が違うことがあります。この方は肩の後ろ側の硬さが背景にあり、ゆるめる施術と棘下筋の再教育で、約6回で日常の動作が楽になりました。長引く肩の痛みは、痛む場所の反対側に手がかりがあることもあります。