凍結肩は時期で対応が変わる。肩の痛みと可動域制限を見るポイント
施術・検査ガイド
凍結肩は「硬いから動かす」だけでは見誤ることがあります
肩が上がらない、動かすと痛い。その状態をすぐに「五十肩だから運動」とまとめてしまうと、時期によってはかえってつらくなることがあります。
肩の痛みや可動域制限を見るうえで大切な、炎症期・拘縮期・回復期の病期、糖尿病との関連、評価所見、介入時の注意点をまとめました。
結論:凍結肩は、今どの病期に近いのかを見ながら介入を変えることが大切です。特に炎症期に強く動かしすぎると、症状がこじれやすくなることがあります。
凍結肩という言葉は、患者さん向けには「五十肩」とかなり近い意味で使われることがあります。
ただ、臨床で見るときはもう少し丁寧に分けて考えたいところです。肩が硬いからストレッチ、動かないから運動療法、という単純な話ではありません。
凍結肩では、痛みが強く出る時期、硬さが目立つ時期、少しずつ動きが戻ってくる時期があります。ここを見誤ると、良かれと思って行った運動が、患者さんにとって負担になることがあります。
凍結肩で押さえたい3つの病期
凍結肩は、一般的に炎症期、拘縮期、回復期という3つのステージで説明されます。英語ではfreezing phase、frozen phase、thawing phaseと呼ばれます。
もちろん、実際の患者さんがきれいに3つへ分かれるわけではありません。時期が重なったり、痛みと硬さが同時に強かったりすることもあります。それでも、介入の方向性を考えるうえで、この病期の考え方はかなり役に立ちます。

| 炎症期 freezing phase |
痛みが強く、夜間痛や安静時痛が出ることもあります。動かした時の痛みが強く、可動域制限も徐々に目立ってきます。無理に動かしすぎない判断が大切です。 |
|---|---|
| 拘縮期 frozen phase |
痛みは少し落ち着いてくる一方で、肩の硬さが目立ちます。服を着る、髪を結ぶ、背中に手を回すなど、日常動作で困りやすい時期です。 |
| 回復期 thawing phase |
痛みと可動域制限が少しずつ改善していく時期です。ただし、急に元通りになるわけではなく、動作の再獲得を段階的に進めます。 |
凍結肩を見るときは、「どれくらい動くか」だけではなく、「どの動きで、どれくらい痛みが出て、その後どれくらい残るか」を確認します。
炎症期に強い運動を急がない
凍結肩と聞くと、「肩が固まっているなら動かした方がいい」と考えたくなります。実際、肩の可動域を取り戻すことは大切です。
ただし、炎症期では話が変わります。痛みが強く、少し動かしただけで痛みが増えたり、夜間痛が強かったりする時期に、積極的な運動療法を強く進めると、症状が悪化することがあります。
「凍結肩=可動域制限=運動療法」と短絡すると、炎症期の患者さんには負担が大きすぎることがあります。
この時期に大切なのは、痛みを無視して動かすことではありません。痛みの強さ、残り方、日常生活への影響を見ながら、刺激量を調整することです。
患者さんにとっても、「頑張って動かせば早く治る」と思い込みすぎると、つらいのに無理を続けてしまうことがあります。ここは施術者側が丁寧に説明したいところです。
評価では似た症状との違いも見る
凍結肩は、肩関節の痛みと自動・他動運動の制限が目立つ状態です。ただし、「肩が痛い」「腕が上がらない」という訴えは、凍結肩だけで起こるわけではありません。
腱板損傷、石灰沈着性腱炎、変形性肩関節症、頚椎由来の症状、神経症状などでも、似たような訴えが出ることがあります。
凍結肩らしさを見るだけでなく、他の肩関節疾患や頚部・神経症状の関与がないかも確認します。整骨院では、病名を決めるというより、施術で対応してよい状態か、医療機関での確認が必要そうかを見極めることが大切です。
- 自動運動だけでなく、他動運動でも肩の動きが強く制限されている
- 外旋、挙上、結帯動作などに明らかな制限がある
- 夜間痛や安静時痛の有無を確認する
- 外傷歴、急な強い痛み、発熱、著しい脱力がないか確認する
- 頚部の動きやしびれなど、肩以外の所見も合わせて見る
糖尿病との関連も頭に置く
凍結肩では、糖尿病との関連もよく知られています。研究では、糖尿病がある方は、ない方と比べて凍結肩を発症する可能性が数倍高いと報告されています。
背景としては、高血糖状態が続くことによるコラーゲン線維の変化や、血流の問題などが関わる可能性が考えられています。ただし、これは「糖尿病があるから必ず凍結肩」という意味ではありません。
肩の痛みや可動域だけでなく、糖尿病、甲状腺疾患、過去の肩の外傷や手術、長期間肩を動かせなかった時期がないかも確認します。こうした背景情報は、経過の見立てや医療機関との連携を考える材料になります。
病期に合わせて介入の強さを変える
凍結肩の介入で大切なのは、同じメニューを全員に当てはめないことです。
炎症期なら、痛みを増やしすぎない範囲での生活指導や刺激量の調整が中心になります。拘縮期では、硬さに対して可動域や動作の改善を狙いやすくなります。回復期では、日常動作や肩甲帯の動きも含めて、使える範囲を少しずつ広げていきます。
| 炎症期 | 痛みを強く増やさないことを優先します。無理なストレッチや強い可動域訓練より、痛みの管理、寝方、日常動作の工夫、軽い範囲での運動を検討します。 |
|---|---|
| 拘縮期 | 痛みの反応を見ながら、肩関節や肩甲帯の可動域、日常動作の再獲得を進めます。硬さが主体でも、強引に動かすのではなく反応を見ながら進めます。 |
| 回復期 | 動きが戻ってきた範囲を、生活の中で使える動作につなげます。腕を上げる、後ろに回す、荷物を持つなど、実際の困りごとに合わせて調整します。 |
こんな肩の症状は一度ご相談ください
- 肩が痛くて夜に目が覚める
- 腕を上げる、後ろに回す動きがつらい
- 服を着る、髪を結ぶ、エプロンを結ぶ動作がしにくい
- 肩の痛みが数週間から数か月続いている
- 動かした方がいいのか、休ませた方がいいのか分からない
転倒や外傷後に肩が上がらない、急に強い痛みが出た、発熱を伴う、腕や手に強いしびれや脱力がある、糖尿病などの基礎疾患があり症状が強い場合は、まず医療機関での確認が必要になることがあります。
とんとん整骨院が大切にしていること
とんとん整骨院では、肩が硬いからすぐ強く動かす、という見方はしません。
痛みの出方、夜間痛、可動域、日常動作、基礎疾患の背景を確認し、今の肩がどの病期に近いのかを考えます。そのうえで、動かすべき範囲と避けたい刺激を分けて説明します。
患者さんが不安なまま「とにかく動かしてください」と言われるのではなく、自分の肩の状態を理解して、必要なことに取り組めるようにすることを大切にしています。
まとめ:凍結肩は病期を見ると対応が変わる
凍結肩には、炎症期、拘縮期、回復期という流れがあります。痛みが強い時期と、硬さが主体の時期では、必要な対応が変わります。
特に炎症期に、可動域制限だけを見て積極的な運動療法を進めると、症状を強めてしまうことがあります。反対に、拘縮期や回復期では、状態に合わせて動きを取り戻す取り組みが必要になります。
凍結肩らしさだけでなく、似た症状を出す他の要因や、糖尿病などの背景も確認しながら、病期に合わせて慎重に進めることが大切です。
参考
- 参考投稿:伊藤聡史 とんとん臨床研修担当「凍結肩のステージ」「凍結肩と糖尿病の関連」「凍結肩の評価」「凍結肩の介入」
- Mayo Clinic:Frozen shoulder symptoms and causes
- Dyer G, et al.:Diabetes as a risk factor for the onset of frozen shoulder: a systematic review and meta-analysis
- Chan HBY, et al.:Physical therapy in the management of frozen shoulder














