寝起きに強く痛んだ肩が施術を経て楽になった例(50代女性)
主訴
2021年9月、肩の痛みでご来院されました。きっかけは思い当たらないとのことでした。寝起きの痛みが特に強く、日中生活していると少しずつ楽にはなるものの、寝返り・髪を結ぶ動作・シャツの着脱が痛みで難しく、腕を背中に回す動作はほぼできない状態でした。寝ていても痛みが出て、睡眠もとりにくくなっていました。
当院の評価
患者様への説明
検査では、腕の骨(上腕骨)が肩の中で上へ引き上げられるような力が強く働いており、腕を動かすたびに肩関節の中で骨どうしが近づいて負担がかかっている状態と考えました。この状態では、髪を結ぶ・背中に手を回すといった大きな動きほど、関節の中で挟み込むような負担が出やすくなります。
日常動作・解剖学的動診
【日常動作】寝起きに強い肩の痛み、寝返り・結髪・シャツの着脱が困難、結帯動作はほぼ不可、夜間も痛みで睡眠がとりにくい 【検査】上腕骨が上方へ引き上げられる力が強く、挙上・結髪・結帯動作で疼痛
身体機能評価
上腕骨頭の上方偏位傾向(引き上げる筋の過緊張)/肩関節内での負担の集中/結帯動作ほぼ不可
判断
腕の骨を上へ引き上げる筋肉の働きが強すぎることで、動きのたびに肩関節の中で負担が集まり、寝ている姿勢でも痛みが出る状態になっていたと考えられます。
施術の様子
患者様への説明
腕の骨を引き上げていた肩の表面の筋肉(三角筋)をゆるめる施術と、関節の中の過剰な動きを抑えながら行う可動域改善のストレッチを組み合わせました。あわせて、痛みをやわらげる目的で物理療法を行いました。
専門的内容
【手技療法】三角筋の押圧/過剰な関節運動を抑えた可動域改善ストレッチ/【物理療法】疼痛抑制を目的に実施
施術の経過
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初期
初回から5回目までは週1回のペースで通院いただき、少しずつ寝返りが打てるようになってきました。
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中期
6回目から11回目にかけて、髪を結ぶ動作や朝の症状がおさまってきたため、施術の間隔を10日〜2週間に1回へ広げました。
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後期
12回目から16回目では、腕を背中に回す動作に違和感が残る程度になり、現在は症状のない状態で、再発予防のメンテナンスとして月1回の通院を続けられています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円+物理療法 990円
2回目以降の料金
施術 7,480円+物理療法 990円
通院の目安
施術回数
全16回
施術期間
改善後、月1回のメンテナンスを継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「きっかけがないのに、寝起きや夜間に強く出る肩の痛み」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どうして寝ている間や寝起きに肩が痛むの?
肩の関節は、腕の骨がちょうどよい位置に保たれることで、こすれずに大きく動けると言われています。腕の骨を上へ引き上げる筋肉の働きが強すぎると、関節の中のすき間がせまくなり、動くたびに負担が集まりやすくなると考えられています。横向きで寝ると肩は体重や腕の重みの影響を受け続けるため、夜間や寝起きに痛みが強く出る方が多いと言われています。
きっかけのない肩の痛みでは、痛む場所だけでなく、腕の骨が関節の中でどんな位置に引かれているかを確かめることが役立つと言われています。
鈴木 英二「ぶつけた覚えもないのに肩が痛い」という方は少なくありません。夜の痛みで眠れない状態は体力も気力も削られますので、我慢比べにせず早めにご相談ください。動きの検査で、肩のどの動きにどれだけ余裕があるかから確かめていきます。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 寝起きや夜間に肩の痛みが強い
- 髪を結ぶ・背中に手を回す動作がつらい
- シャツの着脱や寝返りで痛みが出る
- 思い当たるきっかけがない
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 痛いほうの肩を下にして寝るのを避け、抱き枕などで腕の重みを支える
- 痛みの強い時期は、無理に大きく動かしたり強く揉んだりしない
- 痛みが落ち着いてきたら、振り子のように腕を軽く揺らす運動を痛みのない範囲で行う
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 転倒や強くぶつけたあとから痛みが続いている
- 腕のしびれや力の入りにくさを伴う
- 発熱や、肩の腫れ・熱っぽさを伴う
- 痛みが数週間単位で強まり続けている
よくある質問
五十肩とは違うのですか?
きっかけなく始まり、夜間痛と動きの制限を伴う肩の痛みは、いわゆる五十肩(凍結肩)と呼ばれる状態と重なる部分があります。この症例では、腕の骨が上へ引き上げられる状態に着目して施術を進めました。状態の見極めには動きの検査が役立ちます。
どのくらいの期間がかかりますか?
この症例では、週1回のペースから始めて、寝返り→髪を結ぶ動作→朝の症状の順に落ち着いていき、全16回の経過で症状のない状態になりました。動きの制限を伴う肩は時間がかかることも多いため、間隔を調整しながら進めています。経過には個人差があります。
無理にでも動かしたほうがよいと聞きましたが。
痛みを我慢して大きく動かすと、かえってこじれることがあると言われています。この症例では、関節の中の過剰な動きを抑えながら可動域を広げるストレッチを使い、段階的に動きを取り戻しました。時期に合った動かし方を確かめることが大切です。
鈴木 英二夜眠れる・朝痛くない、という当たり前が戻るだけで、毎日はずいぶん変わります。できる動作をひとつずつ増やしていく進め方で、一緒に取り組んでいきましょう。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。





きっかけのない肩の痛みで、夜も眠りにくいという状態は、本当におつらかったと思います。この方は、肩を無理に大きく動かすのではなく、腕の骨を引き上げていた筋肉をゆるめ、関節の中の余計な動きを抑えながら少しずつ可動域を広げる進め方をとりました。寝返り→結髪→結帯と、できる動作がひとつずつ増えていく経過をたどり、いまは月1回のメンテナンスで良い状態を保てています。