半年前から続き立ち上がりで強まっていた腰の痛みが施術を経て楽になった例(60代女性)
主訴
2024年8月、腰の痛みでご来院されました。半年ほど前から腰の痛みがあり、直近の1週間で痛みが強くなったとのことでした。特に、椅子や床から立ち上がる動作で痛みが強く出る状態でした。
当院の評価
患者様への説明
腰を反らす動きと、左へひねる動きで痛みが出ていました。股関節を後ろへ伸ばす動きに制限があり、あわせてお腹まわりの筋肉が体を支える力が弱まっていたため、立ったときに腰が反った姿勢になりやすく、立ち上がるたびに腰の関節まわりへ負担が集まっていたと考えました。太ももの前側(大腿直筋)や股関節の前側(腸腰筋)、太ももの外側(大腿筋膜張筋)が縮んで股関節の動きを制限していました。
日常動作・解剖学的動診
【日常動作】立ち上がる動作で腰の痛みが強まる 【検査】腰部の伸展・左回旋で疼痛誘発/股関節伸展制限
身体機能評価
股関節伸展制限(大腿直筋・腸腰筋・大腿筋膜張筋の短縮)/腹部の筋出力低下による姿勢の崩れ/中殿筋の筋出力低下
判断
股関節の伸展制限と、腹部の筋出力低下による姿勢の崩れが主な要因と判断しました。股関節が後ろへ伸びにくいぶん、立ち上がりや立位で腰が反って代償し、お腹まわりで支えきれない負担が腰部の伸展・回旋方向に集まって痛みが出ていたと考えられます。
施術の様子
患者様への説明
まず、股関節の動きを制限していた太ももの前側と外側、股関節の前側の筋肉をゆるめて、股関節が後ろへ伸びやすい状態をつくりました。そのうえで、お腹の横の筋肉(腹斜筋)と、骨盤を横から支えるお尻の筋肉(中殿筋)を働かせるトレーニングを取り入れ、腰が反って代償しなくても立ち上がれる土台をつくる方針で進めました。
専門的内容
【手技療法】大腿直筋・腸腰筋・大腿筋膜張筋・中殿筋へのアプローチ/【運動療法】腹斜筋トレーニング・中殿筋トレーニング
施術の経過
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初期
最初のうちは、施術のあとは楽になるものの、次の施術までは持たずに痛みが戻ってくる状態でした。この時期は週1回のペースで施術を続けました。
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中期
週1回のペースで10回ほど施術を重ねたころには、日常生活のなかで痛みを感じることはなくなり、歩く距離が長くなったときに痛みが出てくる、という状態になりました。
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後期
そこから2週に1回のペースに広げて6回ほど施術を行い、長く歩いたときの痛みも出なくなりました。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円
2回目以降の料金
施術 7,480円
通院の目安
施術回数
約16回(週1回で10回、その後2週に1回で6回)
施術期間
約5〜7か月
ここでは、この症例の記録とは別に、「椅子や床から立ち上がるときに腰が強く痛み、何か月も続いている状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どうして立ち上がるときに腰が痛むの?
立ち上がる動作では、股関節を後ろへ伸ばしながら体を起こしていきます。股関節が後ろへ伸びにくいと、足りない分を腰を反らして補うことになり、立ち上がるたびに腰の関節まわりへ負担が集まりやすいと考えられています。さらに、お腹まわりの筋肉が体を支える力が弱まっていると、反った腰をお腹側から止められず、負担がそのまま腰にかかり続けやすいと言われています。
半年続いた痛みが急に強くなるのはなぜか
股関節の制限とお腹の支えの弱さは、少しずつ進むことが多いため、はじめのうちは軽い痛みで済んでいても、負担が積み重なるとある時点から強く出ることがあると言われています。急に強くなった痛みでも、背景に何か月も前から続く体の使い方のくせがあれば、そこを確かめないと同じ動作でくり返しやすいと考えられています。
日常の痛みが落ち着いたあとに残るもの
この症例の方は、日常生活の痛みが先に落ち着き、そのあとしばらく「歩く距離が長くなると出る」痛みが残りました。長く歩くときは股関節を後ろへ伸ばす動きが何度もくり返されるため、支える力がまだ育ちきっていない段階では最後まで残りやすいと言われています。この段階では、施術の間隔を広げながら、支える筋肉を働かせる時間をとることが一般的に考えられています。
立ち上がるときに強まる腰の痛みでは、痛む腰そのものだけでなく、股関節が後ろへきちんと伸びているか、お腹まわりで体を支えられているか、立ったときに腰が反り過ぎていないかを確かめることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
稲毛田 和磨立ち上がりで痛む方は、腰そのものより股関節の動きに理由があることが少なくありません。股関節が後ろへ伸びないぶんを腰で補っていると、腰をいくらほぐしても同じ動作で戻ってきます。股関節の動きと、お腹で支える力の両方を確かめてみてください。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 椅子や床から立ち上がる瞬間に腰が強く痛む
- 腰を反らす動きや、体をひねる動きで痛みが出る
- 立ったときに腰が反っている、お腹が前に出ていると言われたことがある
- 長く歩くと腰が痛くなってくる
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 立ち上がる前に、いったん足を引いてお尻を浮かせてから体を起こすように動く
- 太ももの前側と股関節の前側を、痛みのない範囲でゆっくり伸ばす
- 横向きに寝て上の脚を軽く持ち上げ、骨盤を支えるお尻の筋肉を無理のない回数で働かせる
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 脚にしびれや力の入りにくさがあり、歩ける距離が急に短くなっている
- 安静にしていても痛みが強まり続けている、夜間に痛みで目が覚める
- 排尿や排便の感覚に変化がある
- 発熱を伴う、転倒や強くぶつけたあとに痛みが続いている
よくある質問
半年も続いている腰の痛みでも変わりますか?
この症例の方は、半年前から続いていた痛みが直近1週間で強まってご来院され、股関節の動きとお腹の支えから進めた結果、日常の痛みが先に落ち着き、最後に残った長く歩いたときの痛みも出なくなりました。続いている期間より、負担の出どころを確かめられるかどうかが要になると考えています。経過には個人差があります。
最初のうちは施術の効果が次回まで持ちませんでした。よくあることですか?
この症例の方も、はじめは施術のあとは楽でも次回までに痛みが戻る状態でした。支える筋肉がまだ働いていない段階では、ゆるめた効果が日常の負担で戻りやすいためです。トレーニングを重ねて支える力が育ってくると、戻り幅が小さくなっていく経過をたどることが多いと考えています。
何回くらい通いましたか?
この症例では、週1回のペースで10回ほど施術をしたころに日常の痛みが落ち着き、そこから2週に1回に広げて6回ほどで、長く歩いたときの痛みも出なくなりました。合計で約16回、期間としては5〜7か月ほどでした。回数や期間はお一人おひとりの状態で変わります。
稲毛田 和磨立ち上がりの痛みは、動作のたびに出るぶん、生活のなかで気になり続けやすいものです。股関節の動きと支える力から進めていけば、動作の負担そのものを変えていけます。半年、1年と続いている方こそ、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








半年前から続いていた痛みが、直近の1週間で強くなってご来院された方でした。立ち上がりで痛む出方でしたが、確かめてみると股関節が後ろへ伸びにくく、お腹で支える力が弱まったぶん腰を反って代償している状態でしたので、腰そのものより、股関節の動きと支える力の方から進めました。最初は施術の効果が次回まで持たないくり返しでしたが、支える筋肉が働きはじめてからは、日常の痛みが先に落ち着き、最後に残った「長く歩くと出る」痛みも間隔を広げながら出なくなりました。