脊柱管狭窄症と言われた立ちっぱなしで強まる腰の痛みと太もものしびれが施術を経て楽になった例(40代女性)
主訴
2026年1月、腰の痛みと、太ももの前側から外側にかけてのしびれでご来院されました。整形外科では脊柱管狭窄症と言われていたとのことです。立ちっぱなしの状態が続くと腰の痛みとしびれが強まり、日常の中で立っている時間が長くなる場面がつらい状態でした。
当院の評価
患者様への説明
お体を確かめると、股関節が後ろに伸びる動き(伸展)が硬くなっていて、太ももの前側の筋肉(大腿直筋)、股関節の前側の筋肉(腸腰筋)、太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)に強い張りがありました。股関節が後ろに伸びにくいと、立っているときに骨盤が前に倒れたまま腰を反らせて姿勢を保つことになり、腰の反りが強まります。脊柱管狭窄症と言われている方では、腰を反らせた姿勢で症状が強まりやすいと言われており、立ちっぱなしで腰の痛みとしびれが強まることは、この反りすぎの姿勢と関わっていると考えました。腰の横の筋肉(腰方形筋)にも緊張がありました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】立ちっぱなしの状態が続くと腰痛と太もも前〜外側のしびれが増悪/整形外科で脊柱管狭窄症と言われている 【所見】股関節伸展制限/立位での腰椎過伸展(反りすぎ)
身体機能評価
大腿直筋・腸腰筋・大腿筋膜張筋の短縮/腰方形筋の緊張/股関節伸展可動域の低下/立位での腰椎前弯の増強
判断
脊柱管狭窄症と言われている腰の痛みとしびれで、立ちっぱなしで強まることと、股関節が後ろに伸びにくいことがそろっていたことから、立っているあいだ腰を反らせて姿勢を保つ時間が長くなり、腰への負担が集まっている状態と考えました。狭窄そのものを施術で変えることはできませんが、方針は、股関節の前側をゆるめて股関節が後ろに伸びる範囲を広げ、立っているときの腰の反りすぎを戻すことで、腰にかかる負担を減らすこととしました。医療機関での評価を踏まえたうえで、体の使い方の側からできる範囲を進めています。
施術の様子
患者様への説明
股関節が後ろに伸びにくい状態に対して、太ももの前側の筋肉(大腿直筋)、股関節の前側の筋肉(腸腰筋)、太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)をゆるめる手技を行いました。腰の反りすぎに対しては、腰の横の筋肉(腰方形筋)の緊張を落とし、立っているときに骨盤が前に倒れすぎないよう、腰を反らせずに立つ姿勢を確かめながら進めています。
専門的内容
【手技療法】股関節伸展制限に対して:大腿直筋・腸腰筋・大腿筋膜張筋へのアプローチ。腰椎過伸展に対して:腰方形筋へのアプローチ/立位での骨盤前傾・腰椎前弯の修正
施術の経過
-
初期
初回から数回は、股関節の前側をゆるめて腰の反りを戻すことを中心に進めました。4回目には、太ももの前から外側にかけてのしびれを感じなくなり、腰の痛みが残る状態になったとのことです。
-
中期
しびれが落ち着いたあとは、立っているときの腰の負担を減らすことに重点を置きました。10回目には、立ちっぱなしでの腰の痛みは出なくなりましたが、お子さんを抱っこしていると腰に痛みが出る状態が残っていました。
-
後期
抱っこの場面で腰が反りすぎないよう、股関節の前側の張りと立ち方を確かめながら進め、12回目には抱っこの場面でも痛みが出なくなったとのことです。約16回、6〜7か月の施術を経て、現在はメンテナンスを継続されています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
3,740円
2回目以降の料金
6,480円
通院の目安
施術回数
約16回(その後はメンテナンスを継続中)
施術期間
約6〜7か月(その後も継続中)
ここでは、この症例の記録とは別に、「脊柱管狭窄症と言われていて、立ちっぱなしの状態が続くと強まる腰の痛みと太もものしびれ」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
立ちっぱなしで腰の痛みとしびれが強まるのはなぜ?
脊柱管狭窄症は、神経の通り道が狭くなることで腰や脚に症状が出ると言われており、腰を反らせた姿勢で通り道がさらに狭くなり、症状が強まりやすいとされています。立っているときに腰が反りやすい方では、立ちっぱなしの時間が長いほど反った姿勢が続くため、腰の痛みや脚のしびれが強まることがあります。逆に、少し前かがみになったり座ったりすると楽になるのも、同じ理由で説明されることがあります。
腰が反る背景に、股関節の前側の硬さがあることも
股関節が後ろに伸びにくいと、立っているときに骨盤が前に倒れたままになり、腰を反らせることで上半身を起こして姿勢を保つことになります。この症例では、太ももの前側と股関節の前側、太ももの外側の筋肉に強い張りがあり、股関節が後ろに伸びる範囲が狭くなっていました。狭窄そのものを施術で変えることはできませんが、股関節の前側をゆるめて腰の反りすぎを戻すことで、立っているときに腰へ集まる負担を減らす組み立てが取られることがあります。
しびれ、立ちっぱなしの腰痛、抱っこの痛み。落ち着いていく順序
この症例では、まず太ももの前から外側のしびれが気にならなくなり、次に立ちっぱなしでの腰の痛みが出なくなり、最後にお子さんを抱っこする場面の痛みが落ち着くという順序で変化しました。抱っこは腕の前に重さがかかるため、腰を反らせて支えやすい動作で、反りすぎを戻す工程の最後に残りやすい場面だと言えます。同じように脊柱管狭窄症と言われた方でも、重い物を持ったあとに痛みとしびれが出た50代男性の例や、数分歩くと休まないといけなかった60代女性の例のように、症状が強まる場面によって見るところは変わります。
脊柱管狭窄症と言われている腰の痛みとしびれが立ちっぱなしで強まるときは、狭窄の有無だけでなく、立っているときに腰がどれだけ反っているか、その反りを股関節の前側の硬さがつくっていないかをあわせて見ることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
稲毛田 和磨「狭窄症だから仕方ない」と痛みやしびれをあきらめている方にこそ、立ち方と股関節の動きを確かめていただきたいです。狭窄そのものは変えられなくても、腰が反りすぎている時間を減らすことで、立っているときの負担は変わることがあります。医療機関の評価を踏まえながら、一緒に進めていきましょう。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 立ちっぱなしの時間が長くなると、腰の痛みや脚のしびれが強まる
- 少し前かがみになったり座ったりすると楽になる
- 立っているとき、腰が反っていると言われたことがある
- 太ももの前側や付け根が硬く、うつぶせで膝を曲げるとつっぱる
- 子どもの抱っこや荷物を前で持つ場面で腰が痛む
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 立っているときは片足を低い台に乗せるなど、腰が反りすぎない立ち方を試す
- 仰向けで片膝を胸に引き寄せ、反対側の太ももの前側をゆっくり伸ばす
- 立ちっぱなしの時間はこまめに区切り、座る・少し前かがみになる時間を挟む
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 歩ける距離が急に短くなった、または両脚にしびれや力の入りにくさが広がってきた
- 排尿や排便の感覚に変化がある、お尻のまわりの感覚が鈍い
- 安静にしていても痛みが強く、夜も眠れない
- 足首や足の指に力が入りにくく、つまずきやすくなった
- 発熱や体重減少など体調の不調を伴っている
よくある質問
脊柱管狭窄症と言われていても施術を受けられますか?
医療機関での評価を踏まえたうえで、体の使い方の側からできる範囲を確かめて進めています。この症例では、股関節の前側の硬さが腰の反りすぎをつくっていたため、そこをゆるめて立ち方を整えました。狭窄そのものを施術で変えることはできませんので、しびれや力の入りにくさが広がる場合は先に医療機関にご相談ください。
どのくらいの回数と期間がかかりましたか?
この症例では、4回目でしびれを感じなくなり、10回目で立ちっぱなしの腰痛が出なくなり、12回目で抱っこの場面の痛みも落ち着きました。約16回、6〜7か月を経て、現在はメンテナンスを継続されています。経過は体の状態や生活によって異なります。
しびれが先に落ち着いたのはなぜですか?
この症例では、腰を反らせた姿勢の時間が減ったことで、神経の通り道への負担が先に減ったと考えています。腰の痛みは立っているあいだの支え方と関わるため、立ち方や股関節の前側の張りが変わるのに合わせて、あとから落ち着いていきました。順序は体の状態によって異なります。
稲毛田 和磨脊柱管狭窄症と言われていて、立ちっぱなしで腰の痛みやしびれが強まるという方は、立ち方と股関節の前側の硬さから確かめると進め方が見えてきます。どんな場面で強まるかを教えていただければ、医療機関の評価も踏まえながら一緒にたどっていきますので、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。









脊柱管狭窄症と言われていると、「もう良くならないのでは」と不安になる方が多いのですが、この方の場合、立っているときに腰を反らせて姿勢を保っていることが、痛みとしびれを強めている一因でした。股関節の前側が硬いと、立っているだけで腰が反りやすくなります。そこをゆるめて反りすぎを戻していったところ、まずしびれが気にならなくなり、次に立ちっぱなしの腰痛、最後に抱っこの場面の痛みという順で落ち着いていきました。狭窄と言われていても、体の使い方の側で変えられる部分はあると感じた症例です。