靴下をはくときに動かしにくかった左の股関節が施術を経て動かしやすくなった例(40代女性)
主訴
2025年2月6日、左の股関節の動かしにくさでご来院されました。痛みが主ではなく、ストレッチをしているときに左右の股関節で動く範囲に違いがあることに気づかれたのがきっかけです。いつからか、何がきっかけかははっきりせず、靴下をはくときに左足だけはきづらいことにお困りでした。
当院の評価
患者様への説明
股関節の動く範囲を確かめると、ご自身で動かしたときも、こちらで動かしたときも、左の股関節を曲げる動きと、曲げた状態で外に開く動きに制限がありました。太ももの内側の筋肉(内転筋群)、太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)、お尻の奥の筋肉(梨状筋)が張っており、お尻の横の筋肉(中殿筋)には力の入りにくさが見られました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】靴下をはくときに左足がはきづらい/ストレッチ中に左右の股関節で動く範囲に差がある/痛みは主訴ではない 【所見】左股関節の屈曲、屈曲位での外旋に自動・他動ともに制限
身体機能評価
内転筋群・大腿筋膜張筋・梨状筋の筋緊張/中殿筋の筋力低下/左股関節の屈曲および屈曲位外旋の可動域制限
判断
靴下をはくときのように股関節を深く曲げて外に開く動きで、太ももの内側や外側、お尻の奥の筋肉が張ったまま動きを止めていることと、お尻の横の筋肉が働きにくく股関節を安定させづらいことが重なって、左の股関節が動かしにくくなっていると判断しました。痛みが主ではないため、張っている筋肉をゆるめつつ、働きにくい筋肉を使えるようにしていく方針を立てました。
施術の様子
患者様への説明
張っていた太ももの内側と外側、お尻の奥の筋肉をゆるめ、ストレッチで伸ばしやすくしたうえで、働きにくかったお尻の横の筋肉のトレーニングを行いました。靴下をはく動作が楽になってからは、動く範囲の制限は残っているものの生活に大きな支障がないため、ご本人と相談のうえ、腰や股関節まわりのメンテナンスを中心にした進め方に切り替えています。途中からは鍼灸も加えて、継続して通っていただいています。
専門的内容
【手技療法】内転筋群・大腿筋膜張筋・梨状筋のリラクゼーションとストレッチ/【運動療法】中殿筋の筋力トレーニング/【方針転換】7回目以降は腰部・股関節周囲のメンテナンス中心/【鍼灸】22回目以降、鍼灸を加えて継続
施術の経過
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初期
初回から4回目までは、施術のあとには動かしやすくなるものの、次の来院までにもとに戻ってしまい、持続した変化は見られませんでした。この時期は張っている筋肉をゆるめることと、お尻の横の筋肉のトレーニングを繰り返し行いました。
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中期
5回目ごろから、靴下をはく動作が楽になってきました。左右の差はまだ残っていましたが、日常の動作で困ることは少なくなりました。
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後期
7回目以降は、股関節の動く範囲の制限は残っているものの、生活に大きな支障がないため、腰や股関節まわりのメンテナンスを中心にした進め方へ切り替えました。22回目以降は鍼灸も加え、現在も継続して通っていただいています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 2,750円
2回目以降の料金
ー(22回目以降は鍼灸を加え、1回あたり2,200円を加算)
通院の目安
施術回数
22回以上(現在もメンテナンスで継続中)
施術期間
5回目ごろから靴下をはく動作が楽になり、7回目以降はメンテナンス中心に切り替えて継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「痛みは強くないものの、靴下をはくときやストレッチのときに片側の股関節が動かしにくい状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
痛くないのに、どうして片方の股関節だけ動かしにくいの?
股関節を深く曲げて外に開く動きは、太ももの内側や外側、お尻の奥の筋肉がゆるんで伸びることで成り立っています。これらの筋肉が張ったままだと、関節そのものに問題がなくても動く範囲が狭くなり、靴下をはくときのような動作でつかえる感じが出ることがあると考えられています。片側だけに差が出るのは、立ち方や座り方、脚を組むくせなどで左右の筋肉の使われ方が偏ることが一因と言われています。
ゆるめるだけでは戻ってしまう理由
張っている筋肉をゆるめると、その直後は動かしやすくなります。ただ、股関節を支えるお尻の横の筋肉(中殿筋)が働きにくいままだと、日常の動きの中で周りの筋肉がまた張りやすく、次の来院までにもとに戻ってしまうことがあります。この症例でも、はじめの数回は施術のあとだけ変化が出る状態が続き、トレーニングを重ねることで靴下をはく動作から楽になっていきました。
動く範囲の差が残っても、目標の立て方で続け方は変わる
動く範囲の左右差は、長い時間をかけてできた体の使い方の結果であることも多く、すべてが取れるとは限りません。生活で困らない状態を保つことを目標に置き直し、メンテナンスや鍼灸を組み合わせて続ける進め方が取られることもあります。どこまでを目指すかは、ご本人の生活や希望と相談しながら決めていくことが大切と言われています。
靴下をはくときや脚を開くときの股関節の動かしにくさは、どの方向の動きに制限があるかを確かめたうえで、太ももの内側や外側、お尻の奥の筋肉の張りと、お尻の横の筋肉の働きを見ていくことが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
新谷 優樹痛みはないけれど片方の股関節だけ動かしにくい、靴下をはくときにつかえる、という方は少なくありません。どの方向の動きが制限されているのか、どの筋肉が張っていてどの筋肉が働きにくいのかを一緒に確かめながら、ご自宅でできるストレッチやトレーニングも含めてご提案します。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 靴下をはくとき、片方の足だけはきづらい
- ストレッチで左右の股関節の動く範囲に差を感じる
- あぐらや脚を開く姿勢が片側だけ取りにくい
- 痛みは強くないが、股関節がつかえる感じがある
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 太ももの内側を伸ばすストレッチを、反動をつけずにゆっくり行う
- 横向きに寝て上の脚を軽く持ち上げ、お尻の横の筋肉を使う運動を数回行う
- 長く座ったあとは、立ち上がって股関節を軽く動かす時間をつくる
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 股関節に強い痛みがあり、体重をかけられない
- 転倒や強い衝撃のあとに股関節が動かしにくくなった
- 安静にしていても痛みが続く、夜間に痛みで目が覚める
- 脚のしびれや力の入りにくさを伴う
- 発熱や股関節まわりの腫れ、熱感を伴う
よくある質問
股関節の動かしにくさは、何回くらいで変わりましたか?
この症例では、初回から4回目までは施術のあとだけ動かしやすくなる状態が続き、5回目ごろから靴下をはく動作が楽になってきました。7回目以降は動く範囲の制限は残るものの生活に大きな支障がないため、メンテナンス中心に切り替えて継続しています。経過には個人差があります。
痛くないのに通う必要はありますか?
痛みがなくても、片側だけ動かしにくい状態が続くと、腰や膝など別の部位に負担がかかることがあると言われています。この症例では、ご本人が気になっていた靴下をはく動作が楽になることをまず目標にし、その後は生活で困らない状態を保つためのメンテナンスに切り替えています。通う頻度や目標はご相談のうえで決めています。
鍼灸はどのタイミングで加えましたか?
この症例では、22回目以降にご本人と相談のうえで鍼灸を加えました。手技と運動を中心に進めてきた状態を保ちながら、腰や股関節まわりのメンテナンスの一環として続けています。鍼灸を加えるかどうかは、状態やご希望に応じてご相談しています。
新谷 優樹痛みがなくても、股関節の動かしにくさは日常のちょっとした動作に影響します。どの筋肉が関わっているのかを確かめながら、無理のない進め方を一緒に考えますので、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








この方は痛みではなく、ストレッチ中に気づいた左右の差と、靴下をはきづらいという動かしにくさが主訴でした。はじめの数回は施術のあとだけ動かしやすくなる状態が続きましたが、張っている筋肉をゆるめることと、働きにくいお尻の横の筋肉のトレーニングを重ねるうちに、靴下をはく動作から楽になっていきました。動く範囲の差がすべて取れたわけではありませんが、生活で困らない状態を保つことを目標に、ご本人と相談しながらメンテナンスと鍼灸を続けています。