検査を増やせば良い施術になるのか?

検査は、増やすより問いを絞って使う

検査は大切です。ただ、何でもかんでも調べれば正確になる、という話ではありません。目的のない検査は、判断を助けるどころか、患者さんの不安を増やしてしまうことがあります。

検査は数ではなく、狙いです。何を疑って、何を確認したくて、その検査をするのか。そこが曖昧だと、結果の意味も曖昧になります。

患者さんの身体をちゃんと見るために、検査は必要です。

これは大前提です。問診もせず、検査もせず、なんとなく触って「ここですね」と言うのは、さすがに雑です。

ただ、その反対側にも落とし穴があります。

検査をたくさん並べれば、それだけ丁寧になるのか。検査項目が多ければ、それだけ正確になるのか。

僕は、そこはかなり疑って見た方がいいと思っています。

まなぶ先生
まなぶ先生

検査って、多くやった方が見落としが減るんじゃないんですか?

瀬谷崎
瀬谷崎

気持ちは分かります。でも、目的がないまま増やすと、逆に判断がぼやけることがあります。

「丁寧に見ています」が、逆に不安を増やすこともある

腰痛の方に対して、姿勢、可動域、筋肉の硬さ、左右差、アライメント、細かい動きの癖まで全部見る。

それ自体が悪いわけではありません。

ただ、人の身体を細かく見れば、何かしらの違いは必ず見つかります。左右差もあります。硬いところもあります。動きにくいところもあります。

問題は、それをすぐに「これが原因です」と言ってしまうことです。

異常っぽいものを見つけることと、症状に関係しているものを見つけることは、同じではありません。

患者さんは、たくさん指摘されるほど「自分の身体はかなり悪いのでは」と感じやすくなります。

施術者側は丁寧に説明しているつもりでも、受け取る側には「悪いところリスト」を渡されているように見えることがあります。

検査結果には、外れる結果も混ざっている

検査というと、「陽性なら原因がある」「陰性なら原因がない」と考えたくなります。

でも、実際はそんなに単純ではありません。

真陽性 検査が陽性で、実際にもその状態がある。
偽陽性 検査は陽性だが、実際にはその状態がない。
偽陰性 検査は陰性だが、実際にはその状態がある。
真陰性 検査が陰性で、実際にもその状態がない。
真陽性

検査が陽性で、実際にもその状態がある。

偽陽性

検査は陽性だが、実際にはその状態がない。

偽陰性

検査は陰性だが、実際にはその状態がある。

真陰性

検査が陰性で、実際にもその状態がない。

ここで特に気をつけたいのが、偽陽性です。

本当は今の症状と関係が薄いのに、検査上は陽性っぽく見える。そういうことはあります。

だから、検査そのものが悪いのではありません。検査を使う順番と対象を間違えると、良い検査でも判断を迷わせるということです。

まなぶ先生
まなぶ先生

検査で陽性が出ても、それだけで原因とは言えないんですね。

瀬谷崎
瀬谷崎

そうです。陽性という結果を、症状の出方や問診の内容と合わせて見る必要があります。

だから、最初に大切なのは問診です

とんとん整骨院では、検査を軽視しているわけではありません。

むしろ、必要な検査は大切にしています。

ただし、検査の前に「何を疑うのか」を整理します。そのために必要なのが問診です。

  • いつから症状があるのか
  • どの動きで悪化するのか
  • どの姿勢で楽になるのか
  • 痛みやしびれの範囲はどこか
  • 日常生活で何に困っているのか
  • 医療機関での検査や診断歴があるか

こうした情報を整理すると、必要な検査が見えてきます。

逆に、問診が曖昧なまま検査を増やすと、結果の解釈も曖昧になります。

少し辛口に言うと

「ここが硬いですね」「骨盤がズレていますね」「左右差がありますね」だけで話を終えるのは、説明としてかなり足りません。それが今の症状とどう関係しているのか、施術で何を変えたいのかまで話す必要があります。

悪いところ探しをされると、患者さんは不安になる

いろいろな検査で「悪いところ」をたくさん言われると、患者さんはこう感じやすくなります。

  • 自分の身体はかなり悪いのではないか
  • 全部を治さないと痛みは取れないのではないか
  • 通い続けないともっと悪くなるのではないか
  • 結局、何が原因なのか分からない

これは患者さんのせいではありません。説明する側の責任です。

本当に患者さんのためを思うなら、不安を増やす説明ではなく、判断の根拠を分かりやすく伝える必要があります。

まなぶ先生
まなぶ先生

丁寧に見ているつもりでも、不安を増やしてしまうことがあるんですね。

瀬谷崎
瀬谷崎

あります。だから、何を見たのかより、なぜ見たのか、どう判断したのかを説明することが大切です。

業界として、ここはもう少し厳しく見たい

施術者は、患者さんの身体に触れます。痛みで困っている人の相談を受けます。

だからこそ、曖昧な説明や、その場しのぎの対応で済ませてはいけないと思っています。

「痛いところを揉んでおきます」「硬いのでほぐしましょう」「歪んでいるので整えます」だけでは足りません。

なぜそこに負担が出ているのか。何を確認したのか。どの所見を重視したのか。施術によって何を変えたいのか。

ここを説明できないまま施術を続けるのは、患者さんに対して誠実とは言えません。

検査も説明も曖昧なまま「通えば良くなります」と言うのは、施術者側にとって都合が良すぎます。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、痛い場所だけを見て施術を組み立てるのではなく、なぜそこに負担がかかったのかを考えます。

腰が痛いから腰だけ。肩が痛いから肩だけ。もちろん、それで変化することもあります。でも、それだけでは足りないケースもあります。

大切なのは、患者さんの話を聞き、症状の出方を確認し、必要な検査を選び、その結果を分かりやすく説明することです。

とんとんの基本姿勢

検査を増やすことより、判断の精度を上げること。施術を増やすことより、患者さんに必要なことを見極めること。ここを大切にしています。

こんな方は一度ご相談ください

  • 検査や説明を受けても、原因がよく分からないまま通院している
  • 痛いところを揉んでもらっても、すぐ戻ってしまう
  • 腰痛、肩こり、しびれなどが長引いている
  • 「年齢のせい」「姿勢のせい」と言われたが、納得できていない
  • 自分の身体で何が起きているのか、きちんと説明を受けたい
医療機関の受診について

強い痛みが急に出た、しびれや脱力が強い、排尿・排便の異常がある、発熱や外傷を伴うなどの場合は、整骨院だけで判断せず、まず医療機関での確認が必要になることがあります。

検査は、安心につながる使い方をしたい

検査は、患者さんの身体を理解するために必要です。

ただし、目的なく増やせば良いものではありません。問診で可能性を絞り、必要な検査を選び、結果を症状と照らし合わせて説明する。

そこまでして初めて、検査は患者さんのために働きます。

瀬谷崎
瀬谷崎

検査は、患者さんを怖がらせるためのものではありません。納得して前に進むための材料として使いたいですね。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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