検査を増やせば良い施術になるのか?
瀬谷崎コラム
「念のため」の検査が、患者さんのためにならないこともある
検査は大切です。ただし、何でもかんでも調べれば正確になるわけではありません。むしろ、目的のない検査は判断を濁らせ、患者さんにとって不要な説明や施術につながることがあります。
この記事は、瀬谷崎のYouTube動画をもとに、検査に対する考え方をコラムとして整理したものです。特定の医療機関・整骨院・整体院を批判する目的ではありません。患者さんにとって本当に必要な評価と説明を考えるための問題提起です。
結論:検査は「数」ではなく「狙い」が大切です。問診で絞り込み、必要な検査を選ぶから、結果に意味が出ます。
患者さんの身体をきちんと見るために、検査は欠かせません。これは大前提です。
ただ、ここで勘違いしてはいけないことがあります。検査をたくさん並べることと、患者さんの状態を正しく理解することは、同じではありません。
むしろ、目的が曖昧なまま検査を増やすと、「何かそれっぽい異常」を見つけてしまい、それを原因のように扱ってしまう危険があります。これは患者さんのためになりません。
「丁寧に検査しているつもり」が、逆効果になることがある
施術者側は、見落としを減らしたいと思っています。だから、あれもこれも確認したくなる。その気持ちは分かります。
しかし、全員に同じ検査を機械的に行うことが、本当に丁寧なのか。ここは一度、立ち止まって考える必要があります。
検査は、たくさんやれば正確になるものではありません。必要な人に、必要な検査をするから、結果に意味が出ます。
たとえば腰痛の方に対して、姿勢、可動域、筋肉の硬さ、左右差、細かいアライメントを片っ端から見ていけば、何かしらの「違い」は必ず見つかります。
でも、その違いが今の痛みに関係しているとは限りません。ここを混同すると、患者さんは「悪いところがたくさんある」と思い込んでしまいます。
検査結果には、外れる結果も含まれている
検査というと、「陽性なら原因がある」「陰性なら原因がない」と考えたくなります。しかし、実際はそんなに単純ではありません。
| 真陽性 | 検査が陽性で、実際にもその状態がある。 |
|---|---|
| 偽陽性 | 検査は陽性だが、実際にはその状態がない。 |
| 偽陰性 | 検査は陰性だが、実際にはその状態がある。 |
| 真陰性 | 検査が陰性で、実際にもその状態がない。 |
ここで大事なのが、偽陽性です。つまり、本当は関係がないのに、検査上は陽性に見えてしまうケースです。
動画内では、感度99%、特異度99%というかなり優秀な検査でも、事前の絞り込みをしないまま全員に使うと、陽性結果の信頼性が大きく下がるという例を紹介しています。
これが怖いところです。検査そのものが悪いのではありません。検査を使う順番と対象を間違えると、良い検査でも判断を誤らせるということです。
問診で可能性を絞る前に検査を増やすと、検査結果の意味が薄くなります。臨床では「何を疑って、その検査をするのか」が重要です。
「異常を見つけること」と「原因を見つけること」は違う
身体を細かく見れば、左右差や硬さ、動きにくさはたくさん見つかります。人間の身体は、きれいな左右対称ではありません。
問題は、それをすぐに「これが原因です」と言ってしまうことです。
もちろん、見つかった所見が症状と関係していることもあります。しかし、関係していないこともあります。ここを確認せずに施術を進めると、患者さんは不要な不安を抱え、必要のない介入を受けることになりかねません。
「ここが硬いですね」「骨盤がズレていますね」「左右差がありますね」だけで話を終えるのは、説明として不十分です。大切なのは、それが今の症状とどう関係しているのか、施術で何を変えたいのかまで説明することです。
筋骨格系の医療・施術の分野では、過剰検査、過剰診断、過剰治療が問題になることがあります。
必要以上に検査をする。臨床的に重要とは限らない異常を「問題」として扱う。その結果、患者さんにとって利益がはっきりしない施術が増えてしまう。
これは、施術者側が本気で気をつけなければいけない問題です。
だから、最初に大切なのは問診です
とんとん整骨院では、検査を軽視しているわけではありません。むしろ、検査は大切にしています。
ただし、検査の前に「何を疑うのか」を整理します。そのために必要なのが問診です。
- いつから症状があるのか
- どの動きで悪化するのか
- どの姿勢で楽になるのか
- 痛みやしびれの範囲はどこか
- 日常生活で何に困っているのか
- 医療機関での検査や診断歴があるか
こうした情報を整理すると、必要な検査が見えてきます。逆に言えば、問診が曖昧なまま検査を始めると、検査結果の解釈も曖昧になります。
検査時間が長いことが、丁寧さの証明ではありません。短い時間でも、狙いが明確で、患者さんの状態を判断するために必要な検査であれば意味があります。
患者さんに起きやすい誤解
いろいろな検査で「悪いところ」をたくさん言われると、患者さんはこう感じやすくなります。
- 自分の身体はかなり悪いのではないか
- 全部を治さないと痛みは取れないのではないか
- 通い続けないともっと悪くなるのではないか
- 結局、何が原因なのか分からない
これは、患者さんのせいではありません。説明する側の責任です。
本当に患者さんのためを思うなら、不安を増やす説明ではなく、判断の根拠を分かりやすく伝える必要があります。
業界として、ここはもっと厳しく見た方がいい
施術者は、患者さんの身体に触れます。痛みで困っている人の相談を受けます。だからこそ、曖昧な説明や、その場しのぎの対応で済ませてはいけないと思っています。
「痛いところを揉んでおきます」「硬いのでほぐしましょう」「歪んでいるので整えます」だけでは足りません。
なぜそこに負担が出ているのか。何を確認したのか。どの所見を重視したのか。施術によって何を変えたいのか。
ここを説明できないまま施術を続けるのは、患者さんに対して誠実とは言えません。
厳しい言い方になりますが、検査も説明も曖昧なまま「通えば良くなります」と言うのは、施術者側にとって都合が良すぎます。
もちろん、身体のことは一度で全て分かるわけではありません。経過を見ながら判断を修正することもあります。
だからこそ、最初から決めつけず、問診・検査・説明を丁寧に積み重ねる必要があります。
とんとん整骨院が大切にしていること
とんとん整骨院では、痛い場所だけを見て施術を組み立てるのではなく、なぜそこに負担がかかったのかを考えます。
腰が痛いから腰だけ。肩が痛いから肩だけ。もちろん、それで変化することもあります。しかし、それだけでは足りないケースも多くあります。
大切なのは、患者さんの話を聞き、症状の出方を確認し、必要な検査を選び、その結果を分かりやすく説明することです。
検査を増やすことより、判断の精度を上げること。施術を増やすことより、患者さんに必要なことを見極めること。ここを大切にしています。
こんな方は一度ご相談ください
- 検査や説明を受けても、原因がよく分からないまま通院している
- 痛いところを揉んでもらっても、すぐ戻ってしまう
- 腰痛、肩こり、しびれなどが長引いている
- 「年齢のせい」「姿勢のせい」と言われたが、納得できていない
- 自分の身体で何が起きているのか、きちんと説明を受けたい
強い痛みが急に出た、しびれや脱力が強い、排尿・排便の異常がある、発熱や外傷を伴うなどの場合は、整骨院だけで判断せず、まず医療機関での確認が必要になることがあります。
検査は、患者さんを不安にさせるためのものではありません
検査は、患者さんの身体を理解するために必要です。しかし、目的なく増やせば良いものではありません。
問診で可能性を絞り、必要な検査を選び、結果を症状と照らし合わせて説明する。そこまでして初めて、検査は患者さんのために働きます。
とんとん整骨院では、曖昧な説明やその場しのぎの施術ではなく、患者さんが自分の身体を理解し、納得して施術を受けられることを大切にしています。
参考動画:瀬谷崎 将也 | リアル治療家チャンネル「【無意味な検査】より多くの評価がより良い結果に繋がらない理由」https://www.youtube.com/watch?v=Fr8T-URh1uwより












