肉離れは最初の数日で経過が変わる。とんとんの肉離れアプローチ

ブチッと切れた筋肉、守る時期と動かす時期

肉離れは、筋肉が急な伸ばされ方や強い収縮に耐えきれず、筋線維が部分的に切れてしまうケガです。ダッシュやジャンプ、急な方向転換で起こりやすく、急なケガへの対応は柔道整復師が力を入れている領域です。とんとん整骨院が肉離れをどう見て、どう考え、どうアプローチをするのか。とんとん社長 瀬谷崎将也と臨床技術責任者 伊藤聡史が分かりやすくご紹介します。

肉離れの回復のカギは「時期に合わせた対応」です。初期は適切に守り、その後は早すぎず遅すぎず段階的に戻す。このさじ加減が、長引かせず再発を防ぐ分かれ目になると言われています。まず、肉離れがどんなケガなのかから整理します。

運動中にふくらはぎを押さえる男性
ダッシュや切り返しの動作で起こりやすい肉離れ。ふくらはぎや太ももの裏に多く、受傷直後の対応が経過を左右すると言われています。

肉離れは「筋肉が切れるケガ」。つるのとは違う

伊藤聡史伊藤聡史

社長、肉離れとこむら返りを混同している方は結構多いですよね。

瀬谷崎将也瀬谷崎

多いですね。こむら返りは一時的な筋肉のけいれんで、多くは数分でおさまります。肉離れは、筋肉が引き伸ばされながら強く収縮したときに、負荷に耐えきれず筋線維や筋膜が部分的に切れるケガです。切れているので、つった後もズキズキ痛みが続く・押すと痛い・時間差で内出血(あざ)が出る、という形で残ります。

伊藤聡史伊藤聡史

起こりやすい場所は、ふくらはぎと太ももの裏が代表ですね。中高年のテニスやダッシュで多いふくらはぎ(いわゆるテニスレッグ)、全力疾走で最も多い太ももの裏(ハムストリング)。太ももの前や内ももにも起こります。

瀬谷崎将也瀬谷崎

ええ。準備運動の不足・疲労・柔軟性の低下・加齢・冷えが重なると起こりやすいと言われています。伸ばしたとき・力を入れたとき・押したときの痛み、へこみ、あとから出るあざ。これは筋肉が切れているという体の信号なので、軽く見ないことが大事です。

ここがポイント

肉離れは筋肉の部分的な断裂です。つった後も続くズキズキした痛み・押すと痛い・時間差の内出血は、けいれん(こむら返り)ではなく肉離れを疑うサインと言われています。

つっただけかの見分けはとんとんのこむら返りアプローチ、応急対応の考え方は肉離れになったらどうする?やってはいけないことと復帰の考え方にまとめています。

重症度の見極めと、急いで受診したいサイン

伊藤聡史伊藤聡史

肉離れは程度の幅が大きいですよね。目安として3段階に分けられる、と。

瀬谷崎将也瀬谷崎

ええ、奥脇(おくわき)分類という目安があります。Ⅰ型は筋肉内の出血が主で、伸ばすと痛むが歩けることが多い。Ⅱ型は筋肉と腱のつなぎ目の部分断裂で、はっきりした圧痛やへこみが出る。Ⅲ型は腱の完全断裂や、付着部が骨ごとはがれる裂離骨折(れつりこっせつ)で、力が入らず、手術を検討することもあります。正確な判断には画像検査が必要なので、あくまで目安ですが。

伊藤聡史伊藤聡史

歩けるから軽い、とは限らないのが注意点ですね。それと、似ているけれど別のケガもある。ふくらはぎを蹴られたような衝撃のあとにつま先立ちができないなら、アキレス腱断裂を疑う。

瀬谷崎将也瀬谷崎

そうです。強いへこみがあって力が入らない、腫れや内出血が急に広がる。そういうときは施術より先に整形外科です。それと、けがの覚えがないのにふくらはぎが腫れて痛む場合は、血のかたまり(深部静脈血栓症)のおそれがあるので、これも先に医療機関で確認してほしいケースです。

こんなときは医療機関へ

次のようなときは、重い断裂や別の問題が隠れていることがあります。施術より先に医療機関の受診をおすすめします。

  • 筋肉に強いへこみ(陥凹)があり、力が入らない(完全断裂の疑い)
  • ふくらはぎを蹴られたような衝撃のあと、つま先立ちができない(アキレス腱断裂の疑い)
  • 腫れや内出血が急に大きく広がる・強い痛みが引かない
  • けがの覚えがないのにふくらはぎが腫れて痛む・熱を持つ(深部静脈血栓症のおそれ)
  • しびれや、足先の色が悪い・冷たい(血行や神経の問題のおそれ)

足首まわりの急なケガはとんとんの足首アプローチもあわせてどうぞ。

初期はしっかり守り、時期に合わせて戻す

伊藤聡史伊藤聡史

対応の考え方は、時期で大きく変わりますね。まず受傷直後から数日。

瀬谷崎将也瀬谷崎

ここが治りを大きく左右します。筋肉が切れると、内側で内出血(血腫=けっしゅ)が起こります。この時期に動かすと再出血して傷そのものが広がってしまう。だから受傷直後はシーネ(副木)などでしっかり固定して、切れた筋肉の端を寄せ、内出血を最小限に抑えることを優先します。固定は私たち柔道整復師が得意とするところです。初期の固定が不十分だと、置き換わる「しこり(瘢痕=はんこん)」が大きく硬くなって、痛みや再発が残りやすくなると言われています。

伊藤聡史伊藤聡史

一方で、固めすぎもよくない。かつてのRICE(ライス)=とにかく安静・冷却は見直されていて、いまはPEACE & LOVE(ピース・アンド・ラブ)という指針が主流です。炎症は治すために必要な反応なので、冷やしすぎ・安静のしすぎでかえって回復が遅れる。数日守ったら、痛くない範囲で早めに段階的に動かしていく。

瀬谷崎将也瀬谷崎

ええ。回復期は、手技で周囲のこわばりをゆるめて瘢痕が硬く残りにくいように整えながら、段階的なストレッチ、PNF(ピーエヌエフ=筋をやさしく縮めてゆるめる手技)、超音波などの物理療法、そして等尺性(じっと力を入れる)から遠心性(伸ばされながら力を出す)へ進める筋力訓練を組み合わせます。復帰前には再発予防として、遠心性のトレーニングを段階的に入れます。ハムストリング向けのノルディックハムストリングは、大規模な研究の解析で肉離れの発生がおよそ半分になったと報告されているんです。

ご自宅でできる工夫
  • 固定している間は無理に動かさない。患部を高く上げ、軽く圧迫する
  • 痛む動作や無理なストレッチは避ける(急性期の無理な伸ばしは逆効果と言われています)
  • 落ち着いてきたら、痛くない範囲でのやさしいストレッチと軽い等尺性運動から段階的に
  • 復帰は「日数」ではなく「左右差なく全力で動けるか」で判断する
  • 運動前後の準備とケア、日ごろの柔軟性づくり、疲労をためない・冷やさない工夫を

体のつながりは痛い場所が、悪い場所とは限らない。体の「運動連鎖」とはもあわせてどうぞ。

とんとんの肉離れへのアプローチの流れ

ここまでの考え方を、実際の進め方として整理すると、次のような流れになります。

  1. 重い断裂のサインを外す強いへこみ・力が入らない・つま先立ちができないなど、完全断裂や骨折を疑うサインを最初に確認します。疑わしいときは医療機関と連携します。
  2. 重症度と時期を見極めるどこがどの程度傷んでいるか、受傷からの時期を踏まえて、いま守るべきか動かすべきかを判断します。
  3. 初期はしっかり固定して守るシーネなどで固定して内出血を最小限に抑え、傷を小さくまとめて治る土台を作ります。
  4. 段階的に動きと筋力を戻す手技・物理療法・段階的な筋力訓練で回復を進め、復帰前には遠心性トレーニングで再発しにくい状態を目指します。

肉離れは、守る時期と動かす時期の見極めがすべて

肉離れは、自己判断で早く動きすぎても、こわがって固めすぎても、長引きやすく再発しやすいと言われています。初期の数日はしっかり固定して守り、その後は時期に合ったちょうどよい負荷で段階的に戻す。このさじ加減を一緒に見極めていくのがとんとんの肉離れへのアプローチです。変化の出方には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。

※本記事は一般的な情報です。症状の感じ方や経過には個人差があります。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、自己判断せず医療機関への受診もご検討ください。

よくある質問

歩けるのですが、肉離れでしょうか?

軽いⅠ型では歩けることもあります。歩けるから軽いとは限らないので、伸ばすと痛い・押すと痛い・あざが出るなどがあれば、早めに一度ご相談ください。

どれくらいで治りますか?

程度によって数週間から数か月と幅があります。復帰は日数ではなく、筋力や動作が左右差なく戻ったかで判断します。焦った早期復帰は再発のもとと言われています。

すぐ冷やして安静が一番ですか?

受傷から数日はしっかり固定して守るのが基本です。そのうえで、必要以上に冷やしすぎず、落ち着いたら痛くない範囲で早めに動かしていくのが今の考え方(PEACE & LOVE=ピース・アンド・ラブ)です。

肉離れを繰り返すのはなぜですか?

前の傷が硬いしこり(瘢痕)として残っていたり、柔軟性・筋力・動きのクセが戻りきっていないと繰り返しやすいと言われています。回復期から復帰までの作り込みが再発予防のカギです。

ストレッチはいつから始めればいいですか?

急性期の無理な伸ばしは逆効果です。痛みの落ち着き具合を見ながら段階的に始めるので、時期の見極めはご相談ください。

肉離れでお困りの方へ

お近くのとんとん整骨院にご相談ください

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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