その検査、何を疑って使っていますか。技術チェックが問う臨床の理解
セラピスト向け
やり方を知っているだけでは、現場で使えない。技術チェックが問う臨床の理解
とんとん整骨院では、水曜の定休日に若手有志の技術練習会を続けています。そこでの技術チェックで問われるのは、検査の手順だけではありません。「何を疑って行い、陽性なら何を意味するのか」まで理解しているか。代表が約1年ぶりに練習会をのぞいた回を題材に、臨床で使える検査の考え方を見ていきます。
検査の手技は、動画や本で見れば形だけはまねできます。ただ、実際の臨床で役立てるには、その検査が何を疑って行うもので、陽性のときに何を意味するのかまで、言葉にできる必要があります。
今回は、とんとんの若手練習会で行われた技術チェックの様子を題材に、レッドフラッグ(危険信号)の検査や病的反射を、現場で使えるレベルで理解するとはどういうことかを考えます。まずは、その練習会の様子をご覧ください。
検査は「やり方」を超えて「何を疑うか」で使う
練習会の技術チェックでは、レッドフラッグの検査、腰部の関連疾患や神経障害の検査、腰部の施術、股関節の技術などが、実技形式でテストされます。責任者の伊藤が、手順の正確さだけでなく、口頭での説明も求めていきます。
問われるのは、検査のやり方に加えて、「それが陽性だったとき、どんな疾患を疑うのか」「そもそも何を疑ってその検査を選ぶのか」です。手技ができても、意味を説明できなければ、現場では使えない、という考え方が背景にあります。
病的反射が教えてくれるのは、中枢の障害
この日のチェックで論点になったのが、上肢の病的反射であるホフマン反射(中指の爪を弾き、母指の内転を見る反応)でした。ここは、現場でも混同されやすいところです。
ホフマン反射のような病的反射は、脊髄や脳といった中枢神経の障害があるときに現れます。言い換えると、神経根の障害(末梢のレベル)では、病的反射は出ません。だからこの検査は、頚椎症性脊髄症のように脊髄のレベルで起きている状態や、脳血管障害などを考えるために使います。
やり方を覚えているだけでは、この使い分けはできません。陽性なら中枢を疑う、という意味とセットで初めて、末梢と中枢の切り分けに役立ちます。
まなぶ先生
教子先生
伊藤聡史
運動療法は「どの筋を、どう出すか」で精度が変わる
技術チェックと並行して、若手への技術指導も行われていました。1年目のスタッフには頸肩部の運動療法、2年目には胸郭の実技、という具合です。
頸肩部の運動療法では、頚長筋(けいちょうきん)の収縮感が出ているかを確認しながら補助を加えたり、僧帽筋の走行を意識して肩甲骨を引く位置を作ったりします。ここで重要になるのが、代償動作の確認です。狙った筋以外でカバーする動き、たとえば肩の内旋などが入っていないかを見ながら進めます。
「動かしてもらう」だけなら簡単に見えますが、どの筋を、どの肢位で、どう声をかけて出すか。その精度が結果を左右します。とんとんでは、この声かけ(キューイング)や操作方法を画像つきのマニュアルにして、指導者がいなくても質を保って練習できるようにしています。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎
厳しさと温かさが、技術を育てる
技術チェックは、決してゆるくありません。この日も、再チェックとなった場面がありました。前回の指摘が一部直りきっていなかったため、来週もう一度、という判断です。
ただ、その厳しさは、相手を追い込むためのものではありません。現場で患者さんに使う技術だからこそ、細部まで確認する。責任者が「最終的には自分の責任だから」と引き受けたうえで、繰り返し向き合っていく。厳しさと、やり直せる空気の両方があることが、続けて成長できる環境につながっています。
実際、この日は代表が約1年ぶりに若手スタッフの鍼施術を受け、切皮の滑らかさや狙った深さでの止め方など、一年での確かな成長を体感する場面もありました。日々の練習が、患者さんに届く技術として積み上がっていることが見えた瞬間でした。練習会そのものの様子は、ブログの練習会レポートでも紹介しています。
やり方の先にある、臨床の理解
検査も運動療法も、手順を覚えることは入口にすぎません。何を疑って行い、陽性なら何を意味し、どの筋をどう働かせるのか。その理解があって初めて、技術は現場で患者さんの役に立ちます。
とんとんでは、こうした理解を、厳しくも温かいチェックと、言葉にしたマニュアルで積み上げています。院の教育の雰囲気に触れてみたい方は、通常の見学に加えて、水曜の練習会を見学いただくこともできます。公式LINEからお気軽にお問い合わせください。
瀬谷崎













