ハイボルテージの周波数はどう選ぶか。100Hz(ヘルツ)の境界とスイープの考え方
施術・検査ガイド
周波数は、目的から逆算して選ぶ
ハイボルテージ(高電圧電気刺激)の周波数設定について、100ヘルツの境界をどう考えるか、スイープ(周波数を範囲内で変動させる設定)をどう使うかという質疑を取り上げます。
ハイボルテージは、鎮痛や筋収縮、リラクゼーションなど目的によって設定を変えていく電気刺激機器です。カンファレンスでは、100ヘルツを境界とする周波数の考え方について、施術者同士で認識を確認し合う場面がありました。境界のとらえ方、スイープの使い方、低い周波数域の使いどころを、その質疑に沿って取り上げます。
結論:ハイボルテージの設定は目的から逆算して選びます。100ヘルツを境にした使い分けは説明のための目安で、効果はグラデーションと捉えるのが実態に合います。強すぎる刺激を避ける原則も忘れずに。
ハイボルテージは、目的で設定を変える機器
ハイボルテージ(高電圧電気刺激)は、一つの設定だけで使う機器ではありません。鎮痛を狙うのか、筋の収縮を促したいのか、リラクゼーションを目的にするのか。目的によって、周波数(1秒間に電気刺激が変化する回数、単位はヘルツ)の選び方が変わってきます。
話題になったのは、外部のセミナーで聞いた周波数の考え方と、普段使っている設定の認識に差があると感じた、という相談でした。境界の数値を暗記することよりも、何を目的にその数値を選んでいるかを押さえることが、設定を考えるうえでの土台になります。
100ヘルツを境に、優位になる神経が入れ替わるという目安
確認されたのは、100ヘルツを境にした次の使い分けの目安です。
| 100ヘルツより高い周波数域 | 交感神経優位に働きやすいとされる。急性期の炎症に向く。 |
|---|---|
| 100ヘルツより低い周波数域 | 副交感神経優位に働きやすいとされる。慢性的なこりや緊張の緩和に向く。 |
ただし、この境界は数値できっちり切り替わるものではありません。反応はグラデーション的に変化するため、75ヘルツと81ヘルツのような近い値を比べても、どちらが優れているという差にはならないという点も合わせて確認されています。
80ヘルツ前後からでも交感神経優位の設定として十分に機能するという捉え方も共有されました。
100ヘルツという数値は、あくまで説明のしやすさを優先した境界であり、厳密な切り替わりの線ではないという前提を置いておきたいところです。
急性期は、100〜200ヘルツのスイープで使うことが多い
100ヘルツという周波数を単体で使う場面は、実はそれほど多くありません。100ヘルツ単体は、外傷の鎮痛というよりも、筋の疲労回復に向いた周波数とされています。
急性期の鎮痛を狙う場面では、100ヘルツから200ヘルツのあいだをスイープ(周波数を範囲内で変動させる設定)で使うことが多いという考え方が共有されました。
スイープの幅と出力の関係は、次のようになっています。
- 幅を狭めるほど、その範囲内の周波数がより多く出力される
- 幅を広げるほど、一つひとつの周波数に到達するまでの時間が延びる
たとえば80ヘルツから200ヘルツまで幅を取ると、1ヘルツ刻みで100段階以上を巡ることになり、同じ周波数が再び出力されるまでの時間もそのぶん延びます。幅を100から200ヘルツ程度に絞ると、その範囲の周波数がより短い間隔で繰り返し出力される、という関係です。
筋収縮を狙うなら、30〜50ヘルツより低い周波数域
低い周波数域は、鎮痛とは違う目的で使われます。30ヘルツから50ヘルツあたりは、筋に収縮を起こす、EMS(電気的筋肉刺激)に近い使い方に向く周波数帯とされています。
さらに低い、5ヘルツ前後の周波数を好んで使う場面もあり、目的に応じて低周波域のなかでも使い分けが生まれます。
周波数だけでなく、強さの設定も合わせて考えたいところです。感じるか感じないかのギリギリ手前くらいの強さにとどめる場面もあります。特に刺激に敏感な方や、電気刺激そのものに不安を感じやすい方には、強い刺激をかけることが良い対応とは限りません。同じ設定でも、患者さんによって感じ方は違います。
周波数の設定を考えるときに
- 目的が鎮痛(急性期向き)か、筋収縮か、リラクゼーションかを先に決める
- 100ヘルツ前後を交感神経優位・副交感神経優位の目安として捉える(厳密な境界ではない)
- 急性期の鎮痛は、100〜200ヘルツ程度のスイープで使うことが多い
- 30〜50ヘルツ前後は、筋収縮(EMS的な使い方)を狙う設定
- 強さは、感じるか感じないかのギリギリ手前にとどめる場面もある
- 同じ設定でも患者さんごとに感じ方は違うため、反応を見ながら調整する
設定は、目的と反応から組み立てる
とんとん整骨院では、周波数の数値を暗記して当てはめるのではなく、狙いたい目的(鎮痛か筋収縮かリラクゼーションか)から逆算して設定を選び、実際の反応を見ながら調整することを大切にしています。
電気刺激の使い分けは、TENS(経皮的電気神経刺激)を「とりあえず」使わない考え方をこちらで、EMSの使いどころをこちらで、超音波の使い方をこちらでそれぞれ取り上げています。




