痛いほうを下にして眠れなかった右肩の痛みが施術を経て楽になった例(50代女性)
主訴
2025年6月、右肩の痛みでご来院されました。腰に手を回すような動きで痛みが強く出ており、就寝中も痛みで目が覚めてしまう状態でした。
当院の評価
患者様への説明
動きの検査では、腕の骨(上腕骨)が内側にねじれすぎ、さらに前へずれた位置にあることで、肩を動かすたびに関節の中で負担がかかって痛みが出ている状態と考えました。腰に手を回す動きは、この内側へのねじれと前へのずれが最も強まる動きのひとつで、痛みが強く出るのはそのためと考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常動作】腰に手を回す動き(結帯動作)で右肩に強い痛み、就寝中も痛みで覚醒 【検査】上腕骨の過剰な内旋と前方への変位、肩関節の動きで疼痛
身体機能評価
上腕骨頭の過剰内旋/上腕骨頭の前方変位/結帯動作での疼痛、夜間痛
判断
腕の骨が内側にねじれて前へずれた位置で動き続けることで、肩関節の中に負担が集まり、腰に手を回す動きや、横向きで寝る姿勢で痛みが強く出ていたと考えられます。
施術の様子
患者様への説明
腕の骨を内側へねじり、前へ引き出していた胸や脇の筋肉(大胸筋・大円筋・広背筋)をゆるめ、腕の骨を正しい位置に保つ肩の後ろ側の筋肉(棘下筋)にアプローチして、関節の中での負担を減らす方針で進めました。あわせて、痛みをやわらげる目的で物理療法を行い、無理に痛みの出る動きを取らないよう日常での注意点もお伝えしました。
専門的内容
【手技療法】大胸筋・大円筋・広背筋のリラクゼーション/棘下筋へのアプローチ/【物理療法】疼痛抑制を目的に実施/疼痛誘発動作を避ける生活指導
施術の経過
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初期
初回から8回目までは週1回のペースで通院いただきました。就寝中の痛みは楽になってきましたが、まだ目が覚めてしまうことがありました。
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中期
9回目から18回目は、10日から2週間に1回のペースに広げました。この時期に、右を下にして横向きでも眠れるようになりました。
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後期
19回目から24回目にかけて、日常の動作では気にならない状態になりました。とっさに手をついた際に一度痛みが出ましたが、その後は問題なく、現在は症状のない状態で、再発予防のメンテナンスとして月1回の通院を続けられています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円+物理療法 990円
2回目以降の料金
施術 7,480円+物理療法 990円
通院の目安
施術回数
全24回
施術期間
改善後、月1回のメンテナンスを継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「腰に手を回す動きや横向きの寝姿勢で強く出る、肩の痛み」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どうして横向きに寝ると肩が痛むの?
横向きで寝ると、下になった肩には体重がかかり、腕の骨は前へ押し出される方向の力を受け続けると言われています。腕の骨がもともと内側にねじれて前へずれている方では、この姿勢で関節の中の負担がさらに強まり、痛みで目が覚めやすくなると考えられています。腰に手を回す動きでも同じ方向の負担がかかるため、この2つの場面で痛みが強く出る方が多いと言われています。
横向きで眠れない肩の痛みでは、痛む場所だけでなく、腕の骨がどの方向にねじれ・ずれているかを確かめることが役立つと言われています。
鈴木 英二夜眠れないと、痛みそのものより疲れが取れないつらさが積み重なります。まずは眠れる姿勢を取り戻すことを最初の目標にして、腕の骨の位置を整えながら、間隔を少しずつ広げて進めています。横向きで寝られない方は、我慢せずご相談ください。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 痛いほうの肩を下にして眠れない
- 腰に手を回す・背中に手を伸ばす動きで肩が痛む
- 夜、肩の痛みで目が覚めることがある
- 肩が前に出た姿勢、巻き肩と言われる
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 眠るときは痛いほうの肩を上にして、抱き枕などで腕を支える
- 痛みの強い時期は、腰に手を回す動きを無理にくり返さない
- 痛みが落ち着いてきたら、胸の前を軽く開くストレッチを痛みのない範囲で行う
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 転倒や強くぶつけたあとから痛みが続いている
- 腕のしびれや力の入りにくさを伴う
- 発熱や、肩の腫れ・熱っぽさを伴う
- 痛みが数週間単位で強まり続けている
よくある質問
どのくらいの期間がかかりますか?
この症例では、週1回から始めて眠れるようになった段階で間隔を広げ、日常で気にならなくなるまで全24回の経過でした。動きの制限や夜間の痛みを伴う肩は時間がかかることも多いため、状態に合わせて間隔を調整しながら進めています。経過には個人差があります。
途中で痛みがぶり返すことはありますか?
あります。この症例でも、とっさに手をついた際に一度痛みが出ました。ただその後は戻らなかったため、関節の中の負担が減ってきていると判断して進めました。ぶり返しの有無だけでなく、そのあとどう落ち着くかを一緒に確かめています。
眠れない時期はどう過ごせばいいですか?
痛いほうの肩を上にして横向きになり、抱き枕などで腕の重みを支えると楽になる方が多いです。この症例でも、無理に痛みの出る動きや姿勢を取らないよう、日常での注意点をお伝えしながら進めました。
鈴木 英二夜ちゃんと眠れる、という当たり前を取り戻すだけで、日中の痛みの感じ方も変わってきます。眠れる姿勢を取り戻すところから、一緒に進めていきましょう。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








「痛いほうを下にして眠れない」というのは、肩の痛みで生活の質がいちばん削られるポイントのひとつだと思います。この方は週1回から始めて、眠れるようになった段階で間隔を広げ、日常で気にならなくなるまで全24回。途中でとっさに手をついて痛みが出た場面もありましたが、そこで戻らなかったことが、関節の中の負担が減ってきた証拠だと感じています。