腕を上げるときや手を後ろに回すときに出ていた左肩の痛みが施術を経て楽になってきた例
主訴
2026年8月、左肩の痛みでご来院されました。8か月ほど前から続いていた症状で、腕を上げる動きと、手を後ろに回す動きで痛みが出る状態でした。
当院の評価
患者様への説明
痛みの出る動きを確かめると、腕の骨(上腕骨)が内側へねじれすぎる動きが目立ちました。この内側へのねじれを手で止めた状態で同じ動きをしてもらうと、痛みが軽くなりました。腕の骨が内側へねじれすぎたまま動くと、肩の関節の中で骨同士がぶつかりやすくなります。肩の前側の筋肉(三角筋の前部・大胸筋)と、腕を内側へねじる背中側の筋肉(大円筋・広背筋)が張っていました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】腕を上げると左肩が痛む/手を後ろに回すと左肩が痛む(8か月前から) 【所見】肩関節の挙上・結帯動作で疼痛誘発、上腕骨の過剰な内旋を徒手で止めると症状が減弱
身体機能評価
上腕骨の過剰な内旋/三角筋前部線維・大胸筋・大円筋・広背筋の緊張/棘下筋の働きを引き出す必要あり
判断
腕の骨(上腕骨)が内側へねじれすぎることで、肩関節の部分で骨と骨が衝突し、痛みが出ていると判断しました。内側へのねじれを止めると症状が軽くなったことが、その根拠です。腕を内側へねじる筋肉の張りが強く、外へねじる棘下筋が働きにくいことで、ねじれすぎる動きが続いていたと考えました。
施術の様子
患者様への説明
腕の骨を内側へねじる方向に引っぱっていた、肩の前側(三角筋の前部・大胸筋)と背中側(大円筋・広背筋)の筋肉をゆるめました。そのうえで、腕の骨を外へねじる肩の後ろ側の筋肉(棘下筋)を働かせるトレーニングを取り入れ、腕を上げるときに骨同士がぶつかりにくい動きを目指しました。痛みを抑える目的で、物理療法もあわせて行いました。
専門的内容
【手技療法】三角筋前部線維・大胸筋・大円筋・広背筋のリラクゼーション/【運動療法】棘下筋のトレーニング/【物理療法】疼痛抑制を目的に実施
施術の経過
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初期
初回の施術後から、腕を上げたときの痛みが軽くなりました。
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中期
5回目には、手を後ろに回す動きで出ていた痛みも軽くなりました。
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後期
現在は症状のない日がほとんどですが、たまに痛みが出ることもあるため、継続して通っていただいています。全5回の経過です。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円
2回目以降の料金
施術 8,400円+物理療法 990円
通院の目安
施術回数
5回(たまに症状が出るため継続中)
施術期間
初回で腕を上げる痛みが軽くなり、5回目で手を後ろに回す痛みが軽くなって現在も継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「8か月ほど前から、腕を上げるときや手を後ろに回すときに左肩の痛みが出る状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
腕のねじれを手で止めると痛みが軽くなるのは、どうして?
腕の骨(上腕骨)が内側へねじれすぎたまま腕を上げると、肩の関節の中で腕の骨の出っぱりと肩甲骨の屋根の部分がぶつかりやすくなると考えられています。ねじれを手で止めた状態で痛みが軽くなるなら、骨同士のぶつかりが痛みに関わっている可能性が高いと言われています。この確かめ方は、肩そのものを傷めているのか、動かし方のくせで負担がかかっているのかを見分ける手がかりになります。
腕を内側へねじる筋肉と、外へねじる筋肉の関係
肩の前側(三角筋の前部・大胸筋)や背中側(大円筋・広背筋)の筋肉は、腕を内側へねじる方向に働きます。これらが張っていると、腕は内側へねじれた位置に引っぱられやすくなります。一方で、肩の後ろ側にある棘下筋は腕を外へねじる役割を持ち、腕を上げるときに骨同士がぶつからない位置を保つと言われています。この筋肉が働きにくいと、ゆるめただけでは同じ動きに戻りやすいと考えられています。
腕を上げる痛みが先に軽くなり、後ろに回す痛みがあとから軽くなった理由
腕を上げる痛みは、張っていた筋肉がゆるんでねじれが減ると軽くなりやすいと考えられます。手を後ろに回す動きは、腕を内側へねじりながら後ろへ引く複雑な動きのため、外へねじる筋肉が働くようになるまでは負担が戻りやすいと言われています。この症例の方も、初回で腕を上げる痛みが軽くなり、後ろに回す痛みが軽くなったのは5回目でした。
数か月続く肩の痛みでは、腕を上げる・後ろに回す動きのどこで痛むかに加えて、腕の骨が内側へねじれすぎていないか、ねじれを止めると痛みが変わるか、外へねじる筋肉が働いているかを確かめることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
伊藤 聡史肩の痛みが長く続くと、肩を傷めてしまったのかと不安になりますが、腕のねじれを止めると痛みが軽くなるなら、動かし方のくせで負担がかかっている可能性があります。腕を上げる痛みは早めに軽くなることが多い一方、手を後ろに回す動きは外へねじる筋肉が育つまで少し時間がかかります。順番に進めていきましょう。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 腕を上げる途中で肩の前や横が痛む
- 手を後ろに回す、背中に手を届かせる動きで肩が痛む
- 肩が前に巻き込まれた姿勢になりやすい
- 肩の前側や胸の前が張っている感じがある
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 腕を上げるときは、手のひらを少し外へ向け、腕を外へねじる意識で上げてみる
- 胸の前や脇の下を、痛みのない範囲でゆっくり伸ばす時間をつくる
- 肘を90度に曲げて脇を締め、手を外へ開く動きを無理のない回数で行い、肩の後ろ側の筋肉を働かせる
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 腕や手にしびれが出る、力が入りにくい
- 肩が腫れて熱を持ち、安静にしていても痛みが続く
- 転倒や強い衝撃のあとに痛みが出た、腕が上がらなくなった
- 夜間の痛みで眠れない日が続く
- 数週間たっても痛みが強まり続けている
よくある質問
8か月続いた肩の痛みは、何回くらいで変わりましたか?
この症例では、初回の施術後に腕を上げたときの痛みが軽くなり、5回目には手を後ろに回す動きで出ていた痛みも軽くなりました。現在は症状のない日がほとんどですが、たまに痛みが出ることもあるため継続して通っていただいています。経過には個人差があります。
肩が痛いのに、胸や背中の筋肉を施術したのはなぜですか?
この症例では、肩の前側と背中側の筋肉の張りによって腕の骨が内側へねじれすぎ、肩の関節の中で骨同士がぶつかっていました。これらの筋肉をゆるめ、腕を外へねじる棘下筋を働かせることで、腕を上げるときにぶつかりにくい動きを目指しました。
痛みが軽くなったあとも通っているのはなぜですか?
この症例の方は、腕の骨が内側へねじれすぎる動きのくせが痛みの出どころでした。まだたまに痛みが出る日があり、同じ動きに戻ると骨同士がまたぶつかりやすいため、状態を確かめながら継続していただいています。
伊藤 聡史数か月続く肩の痛みは、腕のねじれを止めると痛みが変わるかを確かめることで、進め方が見えてきます。腕を上げるときや手を後ろに回すときに肩がつらい方は、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








8か月続いていた肩の痛みでしたが、腕の骨が内側へねじれすぎる動きを手で止めると痛みが軽くなったことが、見立ての手がかりになりました。前側と背中側の張りをゆるめると腕を上げる痛みは早めに軽くなり、外へねじる筋肉が働くようになってきた5回目には、手を後ろに回す痛みも軽くなりました。まだたまに痛みが出る日がありますので、ねじれすぎる動きに戻らないよう確かめながら続けていただいています。