成果を出す人で終わるな。マニュアル化できる人が組織を伸ばす
瀬谷崎コラム
うまくいった方法を、ひとり占めしない
現場で成果を出す人は貴重です。ただ、本当に組織を伸ばすのは、自分の成果をマニュアル化し、他の人も成果を出せる状態に変えられる人です。
治療院で成果を出す人は評価されます。
リピートが取れる。
患者さんから信頼される。
売上が高い。
難しい症状にも対応できる。
もちろん、それは素晴らしいことです。
ただ、組織として考えると、そこで終わるのは少しもったいない。
一人が100の成果を出すことも大事です。
でも、10人の成果をそれぞれ10から11に上げられる人は、会社にとってもっと価値があります。
そのために必要なのが、マニュアル化です。
自分がうまくいった方法を、他の人も使える形にする。
現場で出した成果を、会社全体の再現性に変える。
ここまでできる人は、単なるプレイヤーではなく、組織を伸ばす人です。

まなぶ先生

瀬谷崎
圧倒的成果だけでは、個人技で終わる
現場で圧倒的な結果を出す。
これは大切です。
ただ、それを自分だけの技術、自分だけの感覚、自分だけのセンスにしている限り、影響範囲は自分の患者さんと自分の店舗に限られます。
もちろん、それでも価値はあります。
でも、会社全体から見ると、まだ伸びしろがあります。
大事なのは、成果を出した後です。
なぜ成果が出たのか。
どの順番で何をしたのか。
どの言葉が患者さんに伝わったのか。
どの判断が離反を防いだのか。
どの所見を見落とさなかったのか。
ここを言語化できると、成果は個人技から共有財産に変わります。
圧倒的成果を出す。次に、それをマニュアル化する。そして周囲の成果まで上げる。ここまでできると、会社にとっての価値は一気に変わります。
リーダーの時間は、同じ質問で削られていく
リーダーの時間を奪うものの一つが、同じ質問への個別対応です。
新人が毎年同じところでつまずく。
別のスタッフから同じ質問を何度も受ける。
同じようなミスが、店舗をまたいで起きる。
そのたびにリーダーが口頭で説明する。
これを続けていると、リーダーの時間はずっと消費されます。
しかも、説明するたびに少しずつ内容が変わります。
伝える人の体調、忙しさ、機嫌、時間の余裕によって、教育の質がブレる。
それは、かなりもったいないです。
毎回個別に答えるのではなく、Q&Aとして残しておく。
注意喚起ではなく、ミスが起きる構造ごとマニュアルにする。
迷う場面ほど、判断基準と言葉の使い方を共有しておく。
マニュアルは、リーダーの代わりに考えてくれるものではありません。
ただ、毎回同じ説明をしなくて済むようにしてくれます。
リーダーの時間を、より難しい判断や育成に使えるようにするための仕組みです。
マニュアル化できる人は、給与交渉の土台も作れる
会社員として働くなら、成果を出すだけでなく、その成果が会社にどれくらい利益を生むかを説明できると強いです。
例えば、自分の問診でリピート率が上がった。
自分の説明で離反が減った。
自分の施術戦略で単価や通院継続が安定した。
ここまでは個人の成果です。
さらに、その方法をマニュアル化して他のスタッフもできるようにする。
すると、会社全体の売上や生産性に関わります。
この状態であれば、給与交渉や役職の交渉もかなり意味が変わります。
「自分は頑張っています」ではなく、「この仕組みによって会社にこれだけ貢献しています」と言えるからです。
圧倒的成果から給与交渉に行くより、圧倒的成果をマニュアル化してから給与交渉に行く方が強いです。会社は、あなた一人の成果だけでなく、周囲の成果まで上げられる人を欲しがります。
ルールがない自由は、だいたい誰かを苦しめる
マニュアルやルールを嫌う人は多いです。
稟議書が多い。
確認事項が多い。
自由度がない。
融通が利かない。
たしかに、不要なルールやくだらないマニュアルはあります。
それには嫌悪感を持っていいと思います。
ただ、ルールには背景があります。
過去に誰かが大きなミスをした。
患者さんに迷惑をかけた。
スタッフが責任を負えない問題を起こした。
店舗ごとに対応がバラバラになった。
その結果として、ルールができていることがあります。
ルールがなくなった時に、どんな混乱が起きるのか。
ここまで考えずに「自由がいい」と言うのは、少し危ういです。

まなぶ先生

瀬谷崎
仕組みは、放置すると古くなる
マニュアルは作って終わりではありません。
現場が変われば、必要なマニュアルも変わります。
患者さんの層が変わる。
施術方針が変わる。
スタッフの習熟度が変わる。
使っていない資料が残る。
必要な練習が増える。
この棚卸しをしないと、「仕組みはあるはずなのに結果が出ない」という勘違いが起きます。
古いマニュアルは、現場を助けるどころか、現場の足を引っ張ることもあります。
- 今も使っているマニュアルか
- 現場の実態とズレていないか
- 新人が読んで実行できる粒度になっているか
- ベテランが見ても判断の軸になるか
- 不要なルールが残っていないか
仕組みは、あるだけでは機能しません。
使われて、修正されて、現場に合い続けて、初めて価値が出ます。
作る側が一番成長する
マニュアルや資料を作ると、自分の頭の中が見えます。
自分では分かっているつもりでも、文章にしようとすると言葉が出てこない。
説明しようとすると、順番がぐちゃぐちゃになる。
後輩に伝わらない理由が、実は自分の理解の曖昧さにあったと気づく。
こういうことはよくあります。
マニュアル作りは、後輩のためだけではありません。
自分の臨床やマネジメントを言語化する訓練でもあります。
だから、作る側が一番成長します。
自分の中にある感覚を、他人が使える形にする。
これはかなり難しいですが、できるようになると臨床家としてもリーダーとしても強いです。
成果を共有できる人は、組織の価値を上げる
現場で成果を出すことは大切です。
でも、それを自分だけの成果にしておくのはもったいないです。
問診でうまくいったこと。
患者さんへの説明で反応が良かったこと。
離反を防げた声かけ。
新人がつまずきやすいポイント。
店舗で起こりやすいミス。
こうしたものをマニュアル化すると、組織の再現性が上がります。
そして、リーダーの時間が空きます。
教育の質が安定します。
患者さんに届けられる価値も安定します。
個人の成果を、組織の資産に変える。
それができる人は、どの会社でもかなり強いと思います。

瀬谷崎













