勉強や試験で出る首肩のこりと頭痛、学生の首こりをどう考えるか。症例をスタッフで検討

勉強で出る首肩のこりと頭痛、なぜ「姿勢と首を支える力」に着目したのか

1つの症例を、担当した二宮寿己先生(とんとん整骨院 ときわ台店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。勉強で机に向かう時間が長く、首肩のこりと頭痛に悩む学生の方。首肩そのものでなく、姿勢と首を支える力に出どころを見た判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、薬学の勉強をされている学生の方。1か月前から机に向かうとこり感・張り感・頭痛を感じ、試験期間など机に向かう時間が長く、集中できないことにお困りだった20代の男性の症例です。医療機関ではストレートネックと言われていました。事実と結果から見ていきます。

症例カルテ:勉強で出る首肩のこりと頭痛、姿勢と首を支える力に着目
今回検討する症例(担当:二宮先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=机に向かうと出る首肩のこり・張り感・頭痛(20代・男性/学生)。背景=1か月前から、薬学の勉強で机に向かう時間が長く、試験期間に強まる。集中できないことが困りごと。医療機関でストレートネックと言われている。所見=力を入れる・座っているとこり感や頭痛、首の屈曲・回旋の制限、首を支える筋肉(僧帽筋・首の深い筋肉)の働きの低下。とらえ方=首を支える力が働きにくく、長く座って勉強する姿勢が続いたことで、首肩に負担が積み重なっていたと考えた。対応=頚部外側の筋・胸の前の押圧、首を支える深い筋肉のトレーニング、肩甲骨を寄せる運動指導、頚肩部への鍼。経過=頭痛が出ない時期が出てきて、授業中や日常はつらさなく過ごせるように。試験期間以外はほとんど気にならなくなった。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

勉強で出る首肩のこりと頭痛、原因は姿勢と首を支える力か

主訴は勉強中に出る首肩のこりと頭痛。けれど二宮先生は、首肩そのものより、姿勢と首を支える力に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

二宮先生二宮先生

主訴は、机に向かうと出る首肩のこりと頭痛でした。所見をとると、首を支える筋肉の働きが落ちていて、頭が前に出た姿勢で長く座っていました。痛む首肩そのものより、その姿勢と、首を支える力に出どころがあるのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

頭痛もあると、頭そのものが心配になります。それでも首肩の姿勢に目を向けたのはなぜですか。

二宮先生二宮先生

頭痛のなかには、首肩の張りや姿勢が関わると言われるものがあります。頭が前に出たままだと、その重さを支える首の後ろの筋肉が一日じゅう引っぱられ続ける。机に向かう時間が長い日や試験期間に強まる、という出かたが、その積み重ねと一致したんです。だから断定でなく、まずその仮説で進めました。

ストレートネックと言われた首を、どう考えるか

この方は、医療機関でストレートネックと言われていました。そこをどう受け止めるかを確かめます。

教子先生教子先生

ストレートネックと言われているんですよね。念のため、突然の激しい頭痛やこれまでと違う頭痛、手のしびれや力の入りにくさ、発熱を伴う頭痛といった、急いで受診すべきサインは外せていましたか。

二宮先生二宮先生

そこは確認しました。突然の激しい頭痛や手足の神経症状、発熱を伴うものはなく、症状は机に向かう姿勢や試験期間に伴って変わりました。こうしたサインがあれば、すぐ医療機関の受診をご案内します。今回はそれらがないことと、画像での評価を踏まえたうえで進めました。

瀬谷崎瀬谷崎

首の並びには個人差があると言われていて、並びそのものより、それを支える力と姿勢の習慣のほうが日々の負担に効いてくる。ストレートネックと言われると不安になりますが、支える力を使えるようにして、同じ姿勢を続けない工夫をする。その方向が、学生さんの生活にも無理なく合うと思います。

勉強を続けながら、首肩の負担を減らす介入と経過

首肩を直接ほぐすだけで終わらせない、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

首肩そのものでなく、姿勢や支える力のほうから整えていったんですね。

二宮先生二宮先生

はい。胸の前や首の外側の張りをゆるめて、首を支える深い筋肉を使えるようにし、肩甲骨を寄せる動きも一緒に。鍼で患部の負担もやわらげました。机に向かう合間に姿勢を変える工夫も続けてもらって、頭痛の出ない時期が増え、試験期間以外はほとんど気にならなくなっています。

瀬谷崎瀬谷崎

首肩のこりと頭痛の出どころを、首肩そのものでなく、姿勢と首を支える力に戻して整えにいっているのが要点ですね。支える力が使えれば、同じ勉強時間でも首肩に集まる負担が小さくなる。落ち着いた経過もその方向を支持しています。ただ試験期間は姿勢が増える前提なので、こまめに休む習慣と支える力づくりは続けたいところです。

考察:姿勢と首を支える力からとらえる、勉強で出る首肩のこりと頭痛

所見という事実(首を支える筋肉の働きの低下・頭が前に出た姿勢・首の動きの制限)と、経過という結果(頭痛の出ない時期が増え、授業中や日常はつらさなく過ごせ、試験期間以外はほとんど気にならなくなったこと)。この両方が、「首肩そのものでなく、姿勢と首を支える力に出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。勉強で首肩がこって頭痛が出るのは、頭が前に出た姿勢を支える首肩の筋肉が引っぱられ続けるため。その場をほぐすだけで終わらせず、支える力を使えるようにし、こまめに姿勢を変える。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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