座り続ける仕事でつらかった肩こりが施術を経て楽になった例(70代女性)
主訴
2021年7月、肩こりのつらさでご来院されました。デスクワークのお仕事をフルタイムで続けておられ、座り続けることで肩こりの症状がつらくなる状態でした。
当院の評価
患者様への説明
動きの検査では、首を前に倒す動きと横に倒す動きで肩の張り感が強く出ていました。肩甲骨が外側へ開いて下がった位置になり、肩甲骨を支える僧帽筋の働きが弱まっていることで、座り続ける姿勢のなかで首から肩の筋肉に負担が集まりやすくなっていたと考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常動作】長時間の座位で肩こりが増悪 【検査】頸部屈曲・側屈で肩の張り感が強い
身体機能評価
肩甲骨の外転・下制方向へのアライメント不良/僧帽筋の出力低下
判断
肩甲骨が外側へ開いて下がった位置で固定され、支える僧帽筋の働きが弱まっていることで、座位の姿勢が続くほど首から肩の筋肉へ負担が集まりやすくなっていたことが主な要因と考えられます。
施術の様子
患者様への説明
この方は、胸の前や腕の前側の筋肉の硬さで肩甲骨が前下方へ引かれ、首から肩の筋肉が引き伸ばされたまま働き続けている状態と考えられました。硬さのある筋肉をゆるめて肩甲骨が戻りやすい状態をつくり、あわせて僧帽筋のトレーニングと胸まわりのセルフストレッチで、座り続けても負担が集まりにくい姿勢を目指す方針で進めました。
専門的内容
【手技療法】小胸筋・上腕二頭筋・板状筋へのアプローチ/【運動療法】僧帽筋のトレーニング/【セルフケア指導】胸筋のストレッチ
施術の経過
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初期
初回の施術後には、張り感を感じないところまで軽くなりました。2回目のご来院時には、お仕事で座り続けるうちにつらさが戻ってきている状態でした。
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中期
3〜5回目にかけて、仕事中に戻ってくる程度が小さくなり、安定してきました。
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後期
8回目ごろには、日常ではほとんど気にならない程度まで落ち着き、月1回のメンテナンスへ移行しました。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円+物療 1,650円
2回目以降の料金
施術 7,480円+物療 990円
通院の目安
施術回数
約8回
施術期間
改善後、月1回のメンテナンスへ移行
ここでは、この症例の記録とは別に、「座り続けるとつらくなる肩こり」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どうして座り続けると肩こりが戻ってくるの?
座って腕を前に出す姿勢が続くと、胸の前や腕の前側の筋肉が縮んだ状態で固まり、肩甲骨が外側へ開いて下がった位置に引かれやすいと言われています。この位置では、肩甲骨を支える僧帽筋が引き伸ばされたまま働き続けることになり、施術で一度ゆるんでも、同じ姿勢に戻れば負担がまた集まると考えられています。戻ること自体は自然な反応で、戻り幅を小さくしていくことが目標になります。
座り続けると戻ってくる肩こりでは、こりの場所をゆるめるだけでなく、肩甲骨がどの位置で固定されているか、支える力が足りているかを確かめることが役立つと言われています。
塩谷 健太仕事で座り続ける以上、肩こりは仕方ないと思っておられる方は多いです。ただ、ゆるめることと支える力を鍛えることを組み合わせると、戻り幅は少しずつ変えていけます。ご年齢を理由にあきらめる前に、まずはご相談ください。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 座り続けると肩こりがつらくなる
- 施術やマッサージで楽になっても、仕事をすると戻ってくる
- 首を前や横に倒すと肩に張り感が出る
- 肩が前へ入り、背中が丸まりやすいと言われる
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 1時間に一度は立ち上がり、腕を後ろへ引いて胸を開く時間をはさむ
- 胸の前の筋肉をゆっくり伸ばすストレッチを習慣にする(反動をつけず、痛みのない範囲で)
- 画面の高さや椅子の位置を見直し、頭が前へ出にくい環境をつくる
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 手や腕のしびれ、力の入りにくさを伴う
- これまでに経験のない強い頭痛や、めまい・吐き気をあわせて感じる
- 安静にしていても痛みが強まり続けている
- 発熱や、転倒・強くぶつけたあとの痛みを伴う
よくある質問
高齢でもトレーニングは必要ですか?
年齢にかかわらず、支える筋肉の働きは積み上げられると言われています。この症例の方も70代でフルタイム勤務を続けながら、僧帽筋のトレーニングと胸まわりのストレッチを組み合わせて、仕事中の戻り幅が少しずつ小さくなっていきました。負荷はお一人おひとりの状態に合わせて調整しています。
施術で楽になっても戻るのは意味がないのでしょうか?
座り続ける環境が変わらなければ、一度ゆるんでも戻ること自体は自然な反応です。この症例の方も2回目には戻っていましたが、回を重ねるごとに戻り幅が小さくなり、8回目ごろには気にならない程度で安定しました。戻り幅の変化を一緒に確かめながら進めています。
月1回のメンテナンスは何をしますか?
状態を確かめながら、硬さが戻りやすい部位をゆるめ、支える力が保てているかを確認しています。通い方はご希望と状態に合わせてご相談しています。
塩谷 健太肩こりは、こりの場所だけを見るより、肩甲骨がどこで固定されているか、支える力が保てているかという順番で確かめることが大切だと考えています。座り続けるお仕事の方は、環境の工夫とセルフストレッチもあわせて、一緒に見直していきましょう。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








お仕事を続けながら座り続ける環境そのものは変えにくいので、施術で楽になっても戻る、を繰り返しやすい症例です。この方は、ゆるめて終わりにせず、肩甲骨を支える僧帽筋を鍛えることと胸まわりのセルフストレッチを組み合わせて、戻り幅が少しずつ小さくなっていきました。年齢にかかわらず、支える力は積み上げられることを感じた症例です。