転職と引っ越しが重なり夜勤で強まった看護師の首肩のこりが施術を経て仕事中もそこまでつらさを感じなくなってきた例(20代女性)
主訴
2026年8月、肩こりでご来院されました。看護師として働いており、8月から職場が変わったうえ、東京へ引っ越してきたばかりで、不慣れな環境が重なるなかで首肩のこりが強まっていました。夜勤もある勤務で、つらさが抜けにくいとのことでした。
当院の評価
患者様への説明
首と肩の動き、肩甲骨の位置、腕まわりの張りを確かめました。胸の前の筋肉(小胸筋)と脇の下から肋骨につく筋肉(前鋸筋)に張りがあって肩甲骨が外側へ引かれ、腕の前側の筋肉(上腕二頭筋)と首の横の筋肉(斜角筋)にも張りがありました。看護の仕事では腕を前に出して使う場面が多く、患者さんの介助などで腕に力が入る時間も長くなります。腕と首の前側の筋肉が張ることで肩甲骨が外へ引かれ、首の後ろが常に引き伸ばされながら支える形になっていると考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】勤務中〜勤務後の首肩のこり/夜勤が続く期間に強まる/環境が変わってから悪化 【所見】肩甲骨の外転位・腕の前側と首の横の張り
身体機能評価
小胸筋・前鋸筋の短縮(肩甲骨の外転位)/上腕二頭筋・斜角筋の過緊張/僧帽筋中部の筋出力低下(肩甲骨の内転・支持)
判断
職場や住まいが変わった直後は、慣れない動きや緊張が続き、腕や首の前側の筋肉に力が入ったままになりやすいと言われています。この方は、肩甲骨を外へ引く小胸筋・前鋸筋に加えて、腕を使う仕事で張りやすい上腕二頭筋と、首の横の斜角筋にも張りがあり、肩甲骨を内側から支える僧帽筋中部が働きにくい状態でした。まずは張っている前側をゆるめてつらさを下げ、落ち着いてきた段階で支える側のトレーニングを加える方針としました。夜勤の多い時期は戻りやすいことを前提に、経過を確かめながら進めています。
施術の様子
患者様への説明
肩甲骨を外へ引いていた胸の前の筋肉(小胸筋)と脇の下の筋肉(前鋸筋)、腕の前側の筋肉(上腕二頭筋)、首の横の筋肉(斜角筋)をゆるめる手技を行い、物理療法もあわせました。初回に胸の筋肉のストレッチをお伝えし、つらさが減ってきた段階で、肩甲骨を内側から支える僧帽筋中部のトレーニングをお伝えしています。
専門的内容
【手技療法】小胸筋・前鋸筋・上腕二頭筋・斜角筋へのアプローチ(肩甲骨の外転位と頸部前面・上肢前面の張りに対して)/【物理療法】併用/【運動療法】初回に胸筋のセルフストレッチ指導、つらさの軽減後に僧帽筋中部トレーニングを導入
施術の経過
-
初期
初回の施術後はつらさがはっきり軽くなりました。2回目までの期間は夜勤が多く、来院時にはつらさが強く戻っていましたが、施術後には再び落ち着きました。
-
中期
3回目からは僧帽筋中部のトレーニングなどを加え、一日中続くようなつらさは出なくなってきました。
-
後期
4〜6回目には、仕事をしてもそこまでつらいと感じなくなりました。7回目以降は来院の間隔を少しずつあけながら、現在も継続しています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円+物理療法 2,200円
2回目以降の料金
施術 7,136円+物理療法 990円
通院の目安
施術回数
7回以上(間隔をあけながら継続中)
施術期間
4〜6回目で仕事中もそこまでつらさを感じなくなり、7回目以降は間隔をあけて継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「職場や住まいが変わった時期に首肩のこりが強まり、夜勤や忙しい期間に戻りやすい状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
環境が変わった時期に、首や肩のこりが強まるのはなぜ?
職場や住まいが変わった直後は、慣れない動きや気を張る時間が続き、体の前側の筋肉に力が入ったままになりやすいと言われています。腕を前に出して使う仕事では、胸の前や脇、腕の前側の筋肉が肩甲骨を外側へ引き、首の横の筋肉も張って、首の後ろが常に引き伸ばされながら支える形になります。この状態で夜勤や忙しい期間が重なると、休む時間が足りないまま同じところに負担が積み重なり、こりが強まりやすいと考えられています。
戻りやすい時期は、ゆるめることを優先する
忙しい時期にこりが戻ること自体は、体が悪くなっているというより、負担が支える力を上回っている状態と見ることができます。戻りやすい時期はまず張っている前側の筋肉をゆるめてつらさを下げ、落ち着いてきた段階で肩甲骨を内側から支える僧帽筋中部のトレーニングを加えるという順番が取られることがあります。この症例でも、夜勤が多い期間は施術で戻りを受け止めながら、3回目からトレーニングを加えていきました。
忙しさで強まる首肩のこりとの共通点
仕事が忙しくなると首肩のこりや頭痛が強まるという方は、職種を問わず多くいらっしゃいます。当院では忙しくなると強まる首肩のこりと頭痛の症例も記録しています。どんな時期に強まるかを教えていただけると、ゆるめる段階と鍛える段階の切り替えどきが見えやすくなります。
環境の変化で強まった首肩のこりでは、こりが戻る時期を悪化と決めつけず、腕や首の前側の張りをゆるめる段階と、肩甲骨を支える力をつける段階を分けて進めることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
塩谷 健太新しい職場や新しい土地で頑張っている時期は、体の前側に力が入りっぱなしになりがちです。夜勤のあとにこりが戻るのは自然なことなので、まずはゆるめてつらさを下げ、落ち着いてきたら支える力をつけていきましょう。無理のないペースで一緒に進めていきます。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 職場や住まいが変わってから、首肩のこりが強まった
- 夜勤や忙しい期間が続くと、こりがはっきり戻る
- 腕を前に出して使う仕事で、腕の前側や首の横が張りやすい
- 胸の前や脇の下が硬く、肩甲骨を寄せる動きがしづらい
- 仕事中は気が張っていて、終わると一気にこりを感じる
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 勤務の合間や帰宅後に、両手を後ろで組んで胸の前を開き、肩甲骨を寄せる時間をつくる
- 腕の前側を伸ばすように、手のひらを前に向けて腕を軽く後ろへ引く動きを数回くり返す
- 夜勤明けは深く息を吐きながら肩の力を抜く時間をとり、首の横の張りをゆるめる
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 腕や手にしびれが出る、力が入りにくい、感覚が鈍い
- これまでにない強い頭痛が急に出た、ろれつが回らない、めまいを伴う
- 発熱や体重減少など体調の不調を伴っている
- 安静にしていても、夜間も痛みが強く続く
- 気分の落ち込みや眠れない状態が続いている
よくある質問
環境の変化で強まった首肩のこりは、何回くらいで変わりましたか?
この症例では、初回の施術後に楽になり、2回目までは夜勤が多く戻りましたが、3回目から一日中続くようなつらさは出なくなり、4〜6回目には仕事をしてもそこまでつらいと感じなくなりました。7回目以降は間隔をあけながら続けています。経過には個人差があります。
夜勤のあとにこりが戻るのは、施術が効いていないということですか?
この症例では、夜勤が多い期間に来院時のつらさが強く戻っていましたが、施術後には落ち着き、回を重ねるごとに戻り幅が小さくなっていきました。忙しい時期に戻ること自体は、負担が支える力を上回っている状態と見て、ゆるめる段階を優先しながら支える側のトレーニングを加えています。
肩こりなのに腕や首の横の筋肉に施術したのはなぜですか?
この症例では、胸の前や脇の筋肉に加えて、腕の前側の筋肉(上腕二頭筋)と首の横の筋肉(斜角筋)に張りがありました。腕を前に出して使う仕事では、これらの筋肉が肩甲骨を外へ引き、首の後ろが引き伸ばされながら支える形になりやすいため、こっている場所だけでなく引っ張っている側をゆるめることを目指しました。
塩谷 健太環境が変わった時期の首肩のこりは、ゆるめる段階と支える力をつける段階を分けて進めると見通しが立ちやすくなります。どんな時期につらさが強まるかを教えていただければ、そこから一緒にたどっていきますので、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。









転職と引っ越しが同じ時期に重なると、体は思った以上に力が入ったままになります。この方は看護の仕事で腕を前に出して使う場面が多く、肩甲骨を外へ引く胸や脇の筋肉だけでなく、腕の前側と首の横の筋肉にも張りがありました。夜勤が多い期間はどうしても戻りやすいので、最初はゆるめることを優先し、落ち着いてきてから支える側のトレーニングに移っています。いまは仕事をしてもそこまでつらさを感じない状態まで来ており、間隔をあけながら経過を確かめています。