感覚障害の分布図はどう見る?全部に症状が出るとは限らない

しびれや感覚低下を、分布図だけで決めつけない

感覚障害の分布図は、範囲すべてに症状が出るという意味ではありません。その分布の中のどこか、または複数箇所に症状が出る可能性があると考えて読みます。

この記事について

感覚障害は、しびれ、感覚低下、違和感として訴えられることがありますが、図に示された範囲すべてに症状が出るとは限りません。ここでは、分布図の読み方、症状が一部に出る場合の考え方、口周りと手指の感覚障害から脳卒中を疑う場面まで整理します。

著者アイコン
伊藤聡史

分布図を見ると、その範囲全部に症状が出るように見えてしまいます。ただ、実際にはその中の一部だけ、あるいは複数箇所だけに出ることがあります。そこを忘れないことが大切です。

結論:感覚障害の分布図は、範囲全体に症状が出る図ではなく、症状が出る可能性のある領域を整理する図として読むのが実用的です。

しびれや感覚の違和感を評価するとき、分布図はとても便利です。どの神経、どの領域、どの中枢・末梢の問題を考えるべきかを整理する助けになります。

ただし、分布図をそのまま「この範囲全部に症状が出る」と読んでしまうと、実際の訴えと合わない場面で判断がずれます。感覚障害は、図の中の一部だけに出ることもあれば、離れた複数箇所に出ることもあります。

感覚障害の分布として見る図
感覚障害の分布として見る図。図の範囲すべてではなく、この分布内のどこか、または複数箇所に症状が出る可能性として確認します。

分布図は「全部出る図」ではない

感覚障害の分布図を見ると、色が塗られている範囲すべてに症状が出るように感じるかもしれません。しかし、臨床ではその範囲の一部だけにしびれや感覚低下が出ることがあります。

たとえば、図の範囲の中でも口周りだけ、手指だけ、あるいは口周りと手指のように複数箇所に分かれて症状が出ることがあります。図は「症状が出る可能性のある領域」を示すもので、すべての場所に症状が出ることを保証するものではありません。

分布図は、症状の場所を照らし合わせるための地図です。地図に色がついている範囲全部が痛む、しびれる、という読み方はしません。

症状は一部、または複数箇所に出る

感覚障害の訴えは、患者さんによって表現も範囲も違います。「右手の親指だけ」「口の右側だけ」「親指から3指まで」「口周りと手指」など、局所的に出ることもあります。

一部に出る 図で示された領域の中でも、限られた場所だけにしびれや感覚低下が出ることがあります。範囲が狭いから重要ではない、とは考えません。
複数箇所に出る 離れた場所に同時に症状が出ることがあります。たとえば口周りと手指のような組み合わせでは、中枢性の可能性も忘れずに考えます。
左右差がある 片側だけに症状がある場合は、末梢神経だけでなく、脳や脊髄など中枢神経系の所見も含めて慎重に見ます。
急に出た 突然出た感覚障害は特に注意が必要です。時間経過、随伴症状、筋力低下、ろれつ、ふらつきなども確認します。

口周りと手指の感覚障害で脳卒中のこともある

頻度は高くありませんが、右口周りと右母指から3指の感覚障害の訴えで、脳卒中だったというケースもあります。こうしたパターンは多くないからこそ、見落とさないように注意が必要です。

口周りと手指のように、離れた部位の感覚障害が同時に出る場合は、末梢神経だけで説明しきれるかを慎重に確認する必要があります。

手指のしびれだけを見ると、末梢神経の絞扼や頚椎由来の症状を考えたくなることがあります。しかし、口周りの感覚障害が同時にある場合、手だけの問題として片付けると危険です。

急な片側の顔・腕・脚のしびれや脱力、言葉の出にくさ、ふらつき、視野の異常、強い頭痛などを伴う場合は、脳卒中を含めた中枢神経系の問題を疑い、速やかな医療機関での確認が必要になります。

頻度が低い所見ほど、記憶から抜けやすい

よく見る症状は自然と覚えます。一方で、頻度が高くないパターンは、知っていても現場で思い出しにくくなります。口周りと手指の感覚障害のような組み合わせは、だからこそ意識して残しておきたい所見です。

問診で確認したいこと

感覚障害を評価するときは、症状の部位だけでなく、発症の仕方と経過を確認します。突然出たのか、徐々に広がったのか、同時に出た症状があるのかで、考えるべき方向が変わります。

  1. どこに出ているかを確認する口周り、手指、前腕、顔、体幹、下肢など、症状が出ている場所を具体的に確認します。
  2. 全部なのか一部なのかを聞く図のような範囲全体ではなく、その中のどこに症状があるのかを確認します。指なら何指か、顔ならどの部分かまで聞きます。
  3. いつ、どのように出たかを見る突然出たのか、徐々に出たのか、症状が広がったのか、改善と悪化を繰り返すのかを確認します。
  4. 同時に出た症状を確認する脱力、ろれつ、ふらつき、視野の変化、頭痛、顔面の違和感などがないかを確認します。
整理

感覚障害は、症状の場所だけでなく「どのように始まったか」「どこと一緒に出たか」を確認します。分布図と問診を組み合わせることで、末梢神経だけで説明できるのか、中枢性の可能性も考えるべきかを整理しやすくなります。

関連症状:こんな訴えと合わせて見る

  • 手指の一部だけにしびれがある
  • 口周りと手指に同時に違和感がある
  • 片側だけに感覚障害が出ている
  • 突然しびれや感覚低下が出た
  • しびれに加えて、脱力、ふらつき、言葉の出にくさがある
重要

急に片側の顔・腕・脚にしびれや脱力が出た、ろれつが回らない、言葉が出にくい、ふらつく、視野がおかしい、突然の強い頭痛がある場合は、脳卒中を含む緊急性の高い状態の可能性があります。まず医療機関での確認が必要です。

分布図は「出る可能性のある場所」を見る

感覚障害の分布図は、症状が出る可能性のある領域を整理するための資料です。図に示された範囲すべてに症状が出るとは限らず、その中の一部、または複数箇所に症状が出ることがあります。

特に、口周りと手指の感覚障害のような組み合わせでは、末梢神経だけで説明できるかを慎重に考える必要があります。頻度が高くないパターンほど、現場では忘れやすいため注意が必要です。

とんとん整骨院では、しびれの場所だけでなく、発症の仕方、症状の組み合わせ、筋力や反射、動作での変化を確認しながら、身体の状態を多角的に見極めることを大切にしています。

著者アイコン
伊藤聡史

感覚障害の分布は、きれいに全部出るとは限りません。図の中の一部だけ、複数箇所だけに出ることがあります。口周りと手指のような組み合わせは、頻度が高くないからこそ忘れないようにしたい所見です。

伊藤聡史
株式会社とんとん/とんとん整骨院。臨床技術責任者。柔道整復師。

臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」講師。院内では臨床研修責任者として若手の技術指導を担い、論文抄読会の主催など、根拠に基づく施術(EBM)の浸透に取り組んでいる。

監修:瀬谷崎将也
とんとん整骨院代表・柔道整復師

読みもの

瀬谷崎コラム

施術・検査ガイド

とんとんブログ

電話
タップで電話がかかります
LINE
24時間予約受付中
東武練馬店
ときわ台店
下板橋店
南浦和店